隠し事
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「え……?」
予想外の言葉に口をぽかんと開けた間抜け面
それすらも愛おしい相手にもう一度言う
「ちゃんと自分の気持ち伝えろって言ってんだよ、聞こえなかったのか?」
ようやく身体を離して煙草を手にした
「自分の気持ちだなんてそんな……!第一近藤さんはお妙さんの事が大好きですし……」
「関係ねぇだろ、んなモン」
「私が余計な事言って困るのは近藤さんですし!」
「関係ねぇ」
煙りで霞む芽衣を優しく見た
「堂々としてろ、近藤さんみたいに。お前が惚れた相手の様に。好きなモンはしょうがねぇ……ただ……自分だけは貶めるな」
芽衣に近付き乱れた着物を直してやるともう少し付け足す
「色恋なんざ誰かが傷付く様に出来てんだろ……どっかで必ずいざこざが起きる。……だからってお前が自ら傷付く理由はねぇ。どうせ傷付くならフラれて傷付け」
障子を開いて退路を示す
もう近藤さんの所には行かないとわかったから
「……土方さん……私……」
「結局は自分が傷付きたくなかっただけなんだろうよ。そのくせいい思いはしたいって……ふざけんなって話だ」
下を向く芽衣にお構いなく続けた
でもそれは全て自分に対しての言葉
想いを告げることなく、それでも傍に置きたいと願う小心者の俺への言葉
『ちゃんと言え』だなんてよくもまぁ言えたもんだ
視線を落としたまま廊下に出る芽衣を黙って見つめる
あんなに騒いでいたのに肩を落として歩幅は小さい
「……土方さん……」
「なんだ?」
くるっと俺に向き直り
「近藤さんは……少しは私の事……好きでしょうかっ……?」
再び涙をいっぱい溜めて、震える唇で尋ねてくる
芽衣の頭をすっぽり包み込める手の平で髪を撫でながら
「当たり前だろーが」
と呟いた
一人になった部屋に黙って腰を下ろす
もちろん好意は持っているがこんなにもお節介を焼くのは、やはり自分と重なるからだろう
芽衣に言った言葉がそのまま自分に突き刺さる
そして言われた言葉が頭から離れない
芽衣は俺の事をどう思っているのか
少しは好きでいてくれてるのか
前なら嫌われてはいないくらい言えただろうが、今回の事でそれはかなり厳しくなった
それでもそれは"関係ない"のだ
どう思われていようが嫌われていようが、自分の気持ちは変わらないから
芽衣が今後どうするかはわからない
そして俺はどうするか
また眠れない日々が続きそうでため息をついた
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