寝不足
名前変換について
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「な?こうしてくっつけばあったかいし、ウトウトすんだろ?」
「全然しません!!というか土方さん……ま、前が、その、はだけてますがっ……」
「男所帯に勤めてんだ、見慣れたもんだろ」
そう言って懐に芽衣の手をもっていく
「人肌、あったかいか?」
「だァァァァ!!何触らせてるんですか!!見慣れてはいますが触り慣れてはいませんから!!」
「ふーん……触り慣れてねぇんだ……」
墓穴を掘った事に芽衣は気付かない
そのまま更に距離を縮めて芽衣の手は土方の背中に滑り込む
「ひじっ、土方、さん……!これはさすがに接近しすぎだと思われます!早急に離れた方が安全です!!」
「安全?何が危ねぇってんだ」
また余計な事を言うと頭を胸に押し付けられた
「……そうだな、こんなにくっついてたらヤバいよな……色んな意味で……」
呟く土方の甘い吐息が前髪にかかる
くすぐったくて目を瞑った
「あ………」
「なんだ?どうした……?」
今度は芽衣から擦り寄る
「お、おいっ……どうしたって聞いてん「しっ!」
遮られて唾を飲み込んだ
急に形勢を逆転された気がして戸惑った
「土方さんの心臓の音が聞こえる……」
トクン……トクン……
「そんなもん聴いて何が面白ぇ?」
「面白いといいますか、なんか…………ってアレ?少し速くないですか、土方さんの鼓動」
「たた、たりめーだろ!状況っ……考えろ!」
「あ……なんだかんだ言って土方さんも緊張してたんですね」
「だ、誰がするか!緊張なんざ!!」
あまのじゃくな事を繰り返す土方は放っといて、静かに目を閉じた
どのくらいそうしていただろうか、目を閉じたまま動かない芽衣
「……おい、芽衣?」
声をかけられて微かに動かす唇
「土方さんが言った事、あながち間違いではないみたいです……子供は添い寝して寝かせるってやつ……」
「は?」
「赤ちゃんてお母さんの心音が安心するらしいです。だから……私も土方さんの心音聞いてたら、なんだか眠たくなってきました……」
「はァァァ!?」
よく見れば、既に口がむにゃむにゃ言っている
目だってもう開ける気はないようだ
「ちょっ……お前寝るの!?この状況で寝ちゃうの!?なっ……途中までいいカンジだったってのに……」
言いかけて口をつぐむ
けれどそれはまるで意味はない
喋ろうがやめようが、芽衣は寝てるのだから
スースーと寝息をたてて自分に抱き着く芽衣を恨めしそうに見つめると、前髪を退かしてそっと口づけた
「……次はちゃんとするからな……覚悟しとけよ」
自分に言い聞かせて身体を離す
はみ出した腕を布団に戻してやると寝言が聞こえた
「寝れないんれす~……」
ふっと笑うと部屋を後にした
「しっかり寝てんじゃねぇか馬鹿野郎……じゃあな……おやすみ、芽衣」
襖を閉めて自分の部屋へと戻っていく
楽しみが少し先に延びただけ
それも中々甘美なもどかしさ
明日会ったらなんて声をかけようか、想像するだけで頬が緩んだ
.
終
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