横恋慕
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キラキラと、たかが屋台の照明ひとつでここまで上機嫌になれるのは相当酔っている証拠だろう
「あんた……偉く気分が良さそうだな」
頼んでもいないが出されたグラスに手を伸ばして横の女に話しかける
「ふふ……そう見える?でもね……実は真逆なんですぅ~」
真逆と言いながらも女は変わらず笑っている
それがコイツに及ぼす酒の力なのだと、高杉は特に気に留めなかった
「真逆ってことはァ、落ち込んでるってコトだからね~、わかってる?包帯のお兄さん」
赤い顔を近付けて肩に腕を回してくる
普段の高杉ならばとっくに刀を抜いていたかもしれない
しかし今宵の奴は、それこそ真逆に上機嫌だったのだ
「落ち込んでるなんて……愚痴でも聞いてやろうか?」
空いてる女のグラスに酒を注ぎ、話しを促した
一気に酒を飲み干して、更に頬の赤が増した様に見えた
女は髪を耳にかけ直し、また酒を注ぐ
一連の動作が妙に色気を誘い、高杉は残された右目で執拗にその動きを追っていた
「………恋人が居たんだけどね……」
ポツリと話し始める
「……三年くらいかな……結婚も考えててね、ちゃんと付き合ってたつもりだったんだけど……」
さっきまでの楽しげな表情とは一転、暗く影を落とした顔
「一ヶ月くらい前からね……急に彼と連絡取れなくなっちゃって……ケータイも繋がらない、家にも居ない、仕事場にも聞いてみたけど突然姿を見せなくなったって言われてさ……そして今日までなんの音沙汰も無し……ね?酔いたくもなるでしょう?」
言い終えるとむなしい笑顔を浮かべた
「……失踪したのか……お前が嫌で逃げ出したのか…」
「それならまだましよ……どこかで野垂れ死んでなきゃいいんだけど……とにかく最悪の自然消滅よ」
泣いてはいなかったが、そう見えた
酒と照明と、女の瞳に反射して輝いて見えたから
屋台の親父が小便と一言言って席を外したのを機に、高杉も話し始めた
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