寝不足③
名前変換について
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無言で沖田隊長の部屋に入ってきた土方さんは、私を見つけると勢いよく腕を取って立ち上がらせた
その拍子に少しだけ触れた身体に胸が高鳴ったのはもちろん言えない
「どうしたんでさァ土方さ「総悟、明日朝早いんだろ?もう寝ろ」
「え、いやだから、こうして今まで「疲れを次の日に残すわけにはいかねぇ。ちゃんと"一人で"寝ろ」
「その台詞そっくりそのままお返し「俺は大丈夫だから。気にするな」
突如現れた土方さん
その様子を見れば不機嫌なのは明らかで、二人の険悪なムードに何かしなければという咄嗟の判断が火に油を注いだ
「ひ、土方さん!すみません、私の為に沖田隊長が時間を作ってくれて……沖田隊長は悪くないんですっ……」
「……仕事に支障が出ることはするなと言ってるだけだ」
瞳孔が開きっぱなしの目で睨まれて咄嗟に顔を背ける
何だか冷や汗も出てきたような
この一触即発の雰囲気の中、沖田隊長に目を向ければめんどくさそうに欠伸をしていた
「そういうことだ総悟。コイツは連れてくからな」
「はいはい、好きにしなせェ。あ、零」
「は、はい!」
土方さんに引っ張られながらも呼ばれた方に顔を向ける
ごろんと再び横になって、私が寝ていたスペースをトントン叩きながら
「また一緒に寝ような」
意味ありげに言うもんだから反論しようと口を開けたけど、土方さんに引き摺られてそれは叶わなかった
ピシャンッッ!!
「……おー怖っ」
ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスッッッ!!
私の手首を引きながら、無言で歩く土方さんはいつもの様子とは全く違っていた
冷静沈着で隙がなくて、感情なんて顕にしない人
後ろから様子を伺うも、背中から漂う不機嫌オーラは暫く収まりそうになかった
「ひ、土方さん……床、抜けちゃいますよ……?」
私の言葉に反抗するように更に足音を荒くして、辿り着いた自室の戸を乱暴に開けた
そして中に放り込まれた私は無意識にも正座で座り込む
なんたって、仁王立ちの腕組み副長が私の前に立ちはだかっているのだから
「っ…………」
「お前……」
「は、はいっ……」
顔なんて上げられなかった
声色が恐ろしい
目の前の鬼の影がゆらゆらと近付いてくる
というか、私は一体何に怯え恐怖しているのか
土方さんの機嫌が悪い理由はと、それが口に出た
「あ、のっ……!」
「……なんだ」
「もしかして……沖田隊長から……連絡いってませんでしたか……!?」
「……さっき見た」
「す、すみません、勝手なことをして。沖田隊長に添い寝のことがバレてまして……上手く断る理由も見つからなくて……それに」
「それに?」
「土方さんの貴重な時間を無駄にしてるって思ったら……沖田隊長にお願いしようと思いました」
仁王立ちしていた土方さんが私の高さまで腰を落とす
下を向いて思いっきりため息をついて、頭をポリポリ掻き始めた
呆れられていると否が応でもわかる
気不味い空気が私の身を更に縮こませて出来るなら逃げ出したかった
「零」
名前を呼ばれてついに顔を上げる時がきた
確認もせず勝手に約束を変更して、その連絡さえ沖田隊長に任せてしまった
土方さんが怒るのも当然と、意を決して怖い怖い土方さんの顔を見―――
ぽんっ
「へ……?」
いつも私を優しく包み込む大きな手が、頭の上に静かに乗った
お風呂には入ったから大丈夫
汚くない
その髪をゆっくり撫でて、下がった手が頬にかかる
流石に目が合って、どうしていいのか戸惑いの目を向けてしまった
「お前なぁ……」
「はいっ……」
「なんでっ……んな堂々と……浮気なんか……」
「うわっ!?き!?」
素っ頓狂な声を上げたのは言うまでもない
むにっと頬を摘まれて、意地悪に引っ張ってくる土方さん
その表情は不貞腐れている子供のように随分幼く見えた
「……違うのか?」
「ち、違ひまふ!わらしはおひたたいひょうとは「ぶっ!!」
土方さんが頬を摘むから
勝手にやって勝手に笑わないで下さいと言いたかったのに
この人の笑顔を見れば心が満たされて、胸の奥がきゅっと締め付けられた
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