寝不足③
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沖田隊長の言い分はこうだった
「土方さんで失敗したんだろィ?なら人変えねェと」
失敗とは違う
ただ土方さんが寝てしまっただけ
普通に逆のことをしていたら私が眠っていたはずだ
その実績がある
けれどそれが土方さんのミスのように伝わりそうで言えなかった
ただひたすらに、遠回しに拒否をアピールするしか出来なかった
「いえ……沖田隊長の貴重な時間を奪う訳にはいきません」
「何言ってんでィ。副長の時間盗っといて今更だろ」
「それは……」
「俺も……可愛い部下が寝不足だって聞いて、居ても立っても居られなくて」
ようやくと言うべきか、目をいやらしく細めて口角を上げた喋り方を見せてきた
昼間の出来事を思い返してため息しか出ない
何故私は今夜、沖田隊長に添い寝をされなければいけないのか
確かに沖田隊長の言うことにも一理ある
そもそも土方さんの時間を奪っているわけで、あんな多忙な人に迷惑をかけるわけにはいかないのだ
例え言い出しっぺが土方さんだとしても、それに甘えるわけにはいかないのだから……
「はぁ……」
準備が整い次第部屋に伺うことになっている
土方さんには俺から伝えておくからと、その連絡すら出来なかったことが妙に心残りで
「今日……朝にしか会ってないな……」
今晩会えると思っていたから、添い寝してくれると思っていたから
胸の奥がチクリと痛んだのを咳をして紛らわせた
コンコン
「沖田隊長、零です」
「おー、入んなせェ」
障子を開ければ土方さんとは対照的な姿が目に飛び込んできた
既に布団は敷かれ、その上でゴロゴロしたまま目で早くと促す
さっと戸を閉めて沖田隊長の横に膝を折った
「えっと……今日はよろしくお願いします」
「挨拶なんかして……遊女にでもなったんでィ?」
「ちちち違いますよ!何言ってるんですか!添い寝をよろしくお願いします!」
「似たようなもんだろ」
「違います!!」
私が真っ赤になったのをからかいながら身体を起こす沖田隊長
着流し姿のせいか、胡座をかいてちょこんと座る姿は喋る言葉より随分幼く見えた
「それで……まだ9時ですがもう始めていいんでしょうか?」
「あぁ、別に俺は何時でも寝れるから」
なんて羨ましい台詞だろうか
昼寝までしておいてまだ眠れるらしい
本当、若いって素晴らしい
沖田隊長が特殊かもしれないけれど
「で?どうするんでィ?」
「あ……そうですね」
早速始まった添い寝タイムにピリッと緊張が走る
土方さんの時とは違う緊張感が私の顔を引き攣らせた
失礼しますと布団に入りつつ説明をする
こうして二人で並んで寝て、目を閉じるだけです、と
「電気は?」
「そのまま点けていて下さい。何かあったら大変なので」
「んで?上向いて寝ればいいのか?」
「はい。黙ってればそのうち寝ますから」
「ふーん」
暗くないとダメなんでィと、愛用しているアイマスクを取り出して瞼を覆う沖田隊長
隣で寝転がって、もう私のことは文字通り眼中にない
狭い一人用の敷布団じゃ当たり前だけど腕なんかは触れている
沖田隊長の体温を感じながらも腑に落ちない気持ちになる
男の人と同じ布団に入っているのに、触れているはずなのに、あの人の時に感じた恥じらいや胸の高鳴りがない
何より―――
「なァ」
「えっ……な、何ですか?」
「これ…………添い寝か?」
「…………一応……添い寝です」
どうして嘘をついているんだろう
こんなのただの雑魚寝だ
なんの感情もない
部屋だって暗くしていたし
もっとくっついて互いの体温を感じていた
そして胸に耳を当てて、あの心地よい音に癒される―――
二度あった土方さんとの添い寝を思い出して赤くなる
今思えば男の人とあんなコトをするなんて、どう考えても普通じゃない
それでも身体は求めている
あったかくて気持ちよくて、ドキドキはしたけど安心出来て
誰でもいいってわけじゃなかったんだ
私がしたいのは
土方さんとの添い寝だ
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