寝不足③
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お昼過ぎ
いよいよ睡魔が私を襲って来ている
一晩の徹夜くらいなんとかなると、高を括っていたのが間違いだった
「ふぁ〜……」
人が疎らになった食堂で、誰の目を気にすることなく大欠伸
腕を天に向けて伸びをして、午後からの仕事に切り替えようと何とか身体を動かしてみた
「お、零じゃねェか」
後ろから声をかけられて、そのまま前に座ってきたのは沖田隊長だった
お盆に乗った生姜焼き定食をテーブルに置いて、今から昼休みに入るようだ
「今日はいつもより遅いんですね」
「ん?まァな。昼寝してたらこんな時間でィ」
「……そうですか」
何とも羨ましい行動だったが社会人として軽蔑の目を向ける
そんな目を向けようとも沖田隊長には何の効果もないけれど
「そういや……」
「どうかしましたか?」
ご飯を咀嚼しながらまじまじと見られた顔に、何か付いているのかと手をやってしまった
「眠そうだな、お前」
「え?あぁ……そうですね。寝不足の日々は続いてます……」
まさか徹夜明けとは言えずに事実だけを伝える
数日前にあった睡眠薬事件のことは覚えていそうだ
「沖田隊長、ちゃんと睡眠薬戻してきましたか?」
「当たり前だろ。俺を誰だと思ってんでィ」
昼寝が職務に含まれる様な人に何て返せばいいのかと、案外難しい質問だと黙ってしまった
その合間に食べ進める沖田隊長
お腹が空いていたようで減りが早い
気持ちのいい食べっぷりについ凝視していたようだ
それを勘違いされたらしい
「ぼーっとして……そんなに眠いんでィ?」
「いや……」
「上手くいかなかったのか?添い寝」
「え……そういうわけじゃ…………って、ぅぇえええええ!?」
人口密度の低い食堂に、私の絶叫が響き渡った
一瞬でパニックに陥る
どうして沖田隊長が添い寝のことを知っているのか
私が言うわけないし、土方さんも言い触らすような人ではない
それじゃあなんでっ……
表情がこれでもかという程戸惑っていたようで、察した沖田隊長がお茶を啜りながら話してくれた
「今朝、お前の部屋に入ってく土方さんを見かけてねィ。枕なんて持ってるからこりゃ何かあると思って隣の部屋に潜んでたんでィ」
「そう、でしたか……」
一番知られたくない人に知られてしまった
添い寝だなんて、どれだけコトを大きく出来る単語だろうか
隊士達に広まって、近藤局長まで伝わるのも時間の問題
私事で副長である土方さんに多大な迷惑がかかってしまう
これは何としてでも早急に、ここで火を消しておかなければ……!
「お、沖田隊長……!」
「ん?なんでィ?」
「あの……この事に関しましては私が無理にお願いしたことでして……そのっ……土方さんは嫌々私に付き合ってくれてるんです!だから……!」
「だから……?」
どうか口外しないで下さい!と、すっと口に出来ないのはこの人に弱味を握られる恐ろしさを知っているから
部下だけど、貴方の癖は周知していますと身体中から警戒音が鳴っている
ましてや土方さんが関わっていることを、勝手に一人で処理していいのかという思いもある
それが私に躊躇いを生んだ
「です、からっ……」
「あー……そういえば」
「は、はい!?」
何を言われるのかつい過剰に反応してしまう
相手はあの沖田総悟なのだからしょうがないといえばしょうがない
「今日も添い寝するって言ってたな」
「は、はいっ……」
「それ……」
私が冷や汗を垂らす中、沖田隊長は表情一つ変えずにこう言った
「今日は俺がやってやらァ」
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