寝不足③
名前変換について
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
眠れそうにない
土方さんが寝付いたのを見届けて自分の部屋に戻ってきたのはいいけれど
布団を敷きながらさっきの出来事を思い返す
「っ…………」
寝かし付けてくれるはずの土方さんが眠ってしまって、そっと身体を離そうとしたのに私ときたら
いやっ……何した……
何した私ィイイイイ!!
「ああああああ!!!」
ボフッと布団に顔を埋めてその奇声を何とか抑える
顔面が燃え上がったかのように熱い
一人でいるのに恥ずかし過ぎて穴があったら入りたい
目の前にあった土方さんの頭に
髪の毛に
「キキキキキキスしてっ……!!」
思い出した感触に身悶えして布団を転がる
誤魔化そうとしても消えない記憶にどうにかなってしまいそうだ
こんなコトをしてしまうなんてどうかしている
添い寝という非日常におかしくなってしまったとしか言いようがない
上司である土方さんに勝手に粗相をして、もしバレたなら切腹モノかもしれない
そう考えると恐ろしさもプラスされていく
「ね、寝てたよね……?」
バレていないかを確認する為にあの時のコトを思い出す
土方さんは確かに寝ていたはずだ
だから私も無意識に……
「私の馬鹿……!」
取り返しのつかない己の行動に、頭を悩ませていればあっという間に日が昇っていた
寝不足を通り越して一睡もしていない
敷いた布団も何の意味があったのか
重い腰を上げて身支度に入ろうとした時だった
ノックと同時に廊下から声がかかった
「零、起きてるか?」
その声に心臓が止まりそうになったのは言うまでもない
どうにか意識しないようにしなければいけない相手
動揺は隠し通さなければいけない相手
髪に口づけたことは一生の秘密
「お、起きてます……」
私の返事にゆっくりと戸を空けて顔を出した土方さん
朝だというのにどこか曇った表情が目に留まった
その姿はまだ隊服ではなかった
「おはようございますっ……どうしたんですか?朝から」
「いや……その、なんだっ……」
と、口籠りながら喋る土方さんはいつものハキハキした副長ではなかった
何処か喋りにくそうにしていて、思い出したように小脇に抱えていた物を私に手渡してきた
「これ……お前、枕忘れてったぞ」
「あ……全然気付きませんでした。すみません、わざわざ届けて頂いて」
「……零」
「はい?」
土方さんが喋りにくそうにしていたのはこのせいかとようやく気が付いた
「すまねぇ……!まさか自分が寝落ちするなんざ……」
「い、いえ!いいんですよ全然!土方さんがお疲れなのは重々承知してますから!逆に私の為に時間を割いてくれてありがとうございます」
「それとこれとは話が別だろ。現にお前……眠れなかったのか?」
「え……まぁ……」
無駄に散らかっている布団に私の疲労困憊の顔
両方を見比べながら感の鋭い土方さんはズバリ言い当ててくる
誤魔化せばいいものを素直に答えた自分が悪かった
「大丈夫か?顔色悪いみたいだけど……」
すっと伸びてきた土方さんの手
頬に添えられて撫でられると一気に体温が上がる
まだ顔を洗っていないのを思い出して、思わず身を引いた
「だ、大丈夫です!このくらい慣れたもんですよ、はは!」
「馬鹿野郎。んなもん慣れてどうすんだ。悪かったな、本当に」
「土方さんが謝ることじゃありません。私は大丈夫なので気にしないで下さい」
そろそろ本当に支度を始めなきゃいけないと、時計を見たのを気付かれた
土方さんは一歩下がって廊下に出る
何か言いたそうにチラチラ視線をこちらに向けながら
「……零」
「どうかしましたか?」
「あー……その……」
「はい?」
「こ、今夜……は、ちゃんと……する、からっ……」
「今夜……?」
「だからっ……添い寝……今日もするぞ」
「え……いいんで「とりあえず昨日の分を取り戻さなきゃなんねぇだろ。お前が寝不足だと体調にも影響しそうだからな……ね、寝る準備が出来たら俺の部屋にこい!」
パタンッ
勢いのまま早口で捲し立てて、土方さんは部屋を出ていった
「…………」
急に静かになって、ようやく落ち着き始めた私の心臓
突然の訪問者にどれだけ平静を装うのが大変だったか
朝っぱらから寿命が縮まったような気がして、今日の任務に支障が出なければいいなとぼーっとした頭で思っていた
この早朝の訪問者を、まさかあの人に見られていたなんて知らずに
.