片想い
名前変換について
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「失礼します」
私に気付いて体を起こそうとする近藤さん
「いいですよ、無理しないで下さい」
そう言って瞼におしぼりを宛がう
「…いや、大丈夫です!このくらいいつもの事ですから!!」
そんな日常嫌じゃないですか?
そのくらいの事言ってやればよかったのに何故か口をつぐむ
「よし…!お妙さんが寂しがってたら困るから行かないとっ…」
ギシギシの体で立ち上がろうとするからとっさに止めた
「近藤さん何考えてるんですか。こんなに瞼腫れてるんですよ?所々血だって出てるのに……」
袖を引っ張って無理矢理座らせる
「いやだ「だってじゃないですよ!」
いきなりの怒鳴り声にしんとなる空間
「近藤さん怪我してるじゃないですか!お妙のせいですよ!?それも毎日毎日どつかれて……見て下さい!お妙が寂しがってる様に見えますか!?」
らしくない上擦った声でまくし立てた
向こうでは楽しそうに客と戯れるお妙の姿
「アレはホラ、仕事だし」
っ…!!どうしてこの人は……
自分でもハッキリわかる
イライラしてる
どうして?
お妙の何処がいいの?
傷付くのはいつも近藤さんじゃない
あたしずっと見てきたんだから
いつの間にか近藤さんの事……
ずっと見てたんだからっ……
「ありがとうございます!心配してくれて」
真っ直ぐな声がした
「さっきの訂正します!お妙さんが寂しがるんじゃなくて、俺が寂しいんです!!」
そう言ってゆっくりと立ち上がる
「……惚れた弱みっていうか……とにかく一分一秒でも傍にいたいんです!!」
ボロボロの顔で笑ってみせた
「じゃあ行ってきます!!ありがとう芽衣ちゃん」
ぜぇぜぇ息を切らしながらもお妙に近づいていく
それに気付いたお妙の目の色が変わる
繰り返されるいつもの光景
懲りもせず毎日毎日……
ビップルームに取り残された私は動けずにいた
繰り広げられている騒ぎがどうでもいい様な気さえしている
「………私の名前、知ってたんだ……」
嬉しかった様な、酷の様な……
力無く立ち上がり、宙に舞う近藤さんを見た
「……馬鹿な人…」
自分もかと思うと笑えてきた
.
終
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