ヲタク心に火をつけて
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め……
めっ…………
「(冥土の土産じゃァアアア!!!)」
顔面だけで絶叫してみせた
声は出せない
もちろん表情は土方さんに見せられない
沖田総悟に向かって激しく崩れた顔を向けた
「おまっ……」
「あ、あ、ありがとうございます!土方さん!」
「人気のやつみたいだからよ」
「大切に食べます!(食べません!)」
「…………」
満面の笑みの零
喜んで貰えて嬉しい土方
ついていけない沖田
設置してあるゴミ箱に空き缶を投げ入れて、不貞腐れたように土方を促した
「土方さん、行きやしょうぜ」
「ん?あぁ……最後に一本いいか?」
沖田の返事を待たずに火をつけた
別れは名残惜しいがルンルン気分で見送れる
今日の私には余裕がある
こんな短時間に色んな土方さんを見れた
もしかしたらこの沖田総悟が良い作用をもたらしてくれたのかもしれない
若造だけど、まだ未来があるわ
一人勝手に納得していると沖田総悟が口を開いた
「土方さん、今日は何箱買ったんでィ?」
「二箱だけど」
「なんでカートンで買わないですかィ?」
「!!!」
前言撤回
彼はまだまだ若かった
それは私だって気が付いていた
毎日わざわざ足を運ぶくらいなら、まとめて買った方がいいに決まっている
それでもそれを切り出せなかったのは、会える回数が減ってしまうから
土方さんのご尊顔を拝めなくなるから
土方さんが気にしてないなら言わないでおこうと、ずるい気持ちが生まれてしまった
それをこの糞坊主がっ……!!
「あー……やっぱそう思うか?」
土方さんも気付いてたんだ
そりゃそうか
終わった……
「今まとめて買ったらどうです?当分来なくていいように」
ニタァと笑って私に目で訴える
いい気味だと
コイツ……わかってやってやがる!!
「いや、やめとく」
「「え!?」」
同時に振り向いたけど気持ちは真逆
土方さんの真意を聞きたくて、沖田総悟よりも前のめりに聞いていた
「どうしてっ……いいんですか!?」
「え?あー……うん」
「こんな店に通わなくてもいいんですぜ?」
キッ!!
「こんな店で悪かったね!」
「おい、ケンカすんなって。別に買いに来るくらいどうってことねぇよ」
ほらぁ!と謎のドヤ顔を向けて沖田総悟を見下す
チッ!と舌打ちが聞こえたがそんなものどうってことはない
「土方さんも非効率的なことするんですねェ、非効率的なこと」
「なんだよその言い方。カートンで買うとよ……普段より多く吸っちまうんだよ」
「は?何でです?」
「あればあるだけ吸っちまうっていうか……別に今更気にしてもしょうがねぇんだけど」
頭をポリポリ掻いて、何処が恥ずかしそうにする土方さん
健康には気を付けて欲しいけど、貴方の煙草を吸う姿は眼福極まりない
眉目秀麗とは貴方の為にあるお言葉!
それが拝めるならカートンだって悪くないっ……でもここに来てくれなくなる……
私は一体どうしたらいいのだ!!
「はぁあ……そんな事気にしてたんでィ?今更過ぎんだろ」
「別に身体を気遣ってるわけじゃねぇ。ただ……好きなもんは我慢出来ねぇ性分なんだよ」
ふと目が合った
そして一瞬で逸らされた
随分短くなった煙草を消して、沖田総悟と二人で仕事に戻るようだ
面倒くさいという相棒をなだめながら片手を上げて、また来るなと背中で言う
沖田総悟が苦々しい顔を向けていたが無視してやった
「土方さん!」
「ぁん?どうした零」
「私も好きなものは我慢出来ません!!」
「ん?あ、あぁ……そうだな」
「カートンでも単品でも、また買いに来て下さいね!」
「……当たり前だろ」
ブンブン手を降って土方さんを見送る
カウンターから見える範囲は限られているけど、最後のギリギリまで手を振った
「土方さん」
「なんだよ総悟」
「『当たり前だろ』ってなんなんでィ」
「……また店に買いに行くってことだろ」
「へー……あぁそう……」
それ以降二人は黙って歩き続けた
沖田の頭の中はパニック状態だったが
まさか大丈夫だよな
いや別にどうでもいいんだけど
逆に未成年に手ェ出したらこの人の人生が終わるわけで、俺的には結果オーライだ
けど……
わけわかんねェ……
推しに好かれたらどうするんだろう?
推しが恋愛対象になるんだろうか
そもそも推しと恋の違いはなんだろうか
「いや、どうでもいいだろ」
「あ?何が」
「すいやせん、ひとり言です」
自分には無縁の事を考えるのは意味が無いと悟って、隣の上司を警戒しながら屯所へ向かっていた
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