寝不足②
名前変換について
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土方さんの心臓の音を聞くと眠れる
その実績からまた今日があったわけで
それを何故貴方がするのですか
「……土方さんも寝不足なんですか?」
「特には……睡眠時間短いのなんて慣れてるからな」
「それなら……私のを聞く意味は……」
「単純に興味で。なぁ、いいだろ?」
「いいわけないじゃないですか!だって……!」
だっての次は言葉に出来ない
物凄く恥ずかしいから
心臓の音を聞くということは、胸に耳を当てるということ
私の胸に土方さんの耳を当てるということ……
「絶っっ対ダメです!!」
繋がれてた手を離して布団から抜け出そうと思った
のを先を越されて腰をホールドされた
「―――!!」
脚は絡まるわ腰は抱かれるわ、もう頭がついていかない
その上、胸に耳をだって?
既に口から心臓が飛び出そうなのに、これ以上何も求めないで欲しい
ダメと言っているのに頭を胸に近付けてくる土方さんをどう止めればいいのか
気がついたら文句を言っていた
「ひ、土方さんは女の人に慣れてるかもしれませんが……私は……」
「……別に慣れてねぇよ。俺をなんだと思ってんだ」
「……女の敵?」
「オイ。ったく……ちゅうするぞ」
「ばばばばば!!馬鹿なこと言わないで下さい!!ほら慣れてる!!」
「お前にしか言わないってんだ……」
そのままどさくさに紛れて胸に頭を預けてきた土方さんは、じっと黙って私の心臓の音を聞いていた
からかわれ続けて疲れ果てた私には丁度いい沈黙だった
「零」
「どうしました?土方さん」
黙っていた土方さんが不安げに私の名前を呼ぶ
その不安が移って、こちらも動揺した声を出してしまった
「お前……心拍数高すぎるぞ。死ぬんじゃねぇか?」
「貴方のせいですよ!貴方の!!どうして普通に寝かせてくれないんですか!!」
「俺のせいでドキドキしてんのか?」
「そうですよ!いい加減離れて下さい!」
ここまでハッキリ言ってやったのに、土方さんは動こうとしない
なんなら更に胸に耳を押し当てて、身体を密着させてくる
腰を抱かれているせいか、私が土方さんより小さいせいか、丸まった土方さんは赤ちゃんみたいだとぼんやり思ったりして
「……早く終わらせて下さいね」
「もう少しだけ、な……」
トクン……トクン……
さっきよりはマシになった鼓動の速さ
本当に心配になるくらい音を立てて動いていた
少しやり過ぎたかと反省してみる
でも零
お前は勘違いしてる
誰が女慣れしてるって?
女の敵?
笑わせるな
ここに好きな女にちょっかいしか出せない男がいるだろうが
俺が女慣れしてて口説き上手なら、とっくにお前を―――
ぽんぽんっ
「!」
「す、すみません……なんだか頭撫でちゃいました……」
「いや……別に、いい……」
「じゃ、じゃあこのまま……」
するする指の間をすり抜ける土方さんの髪の毛は、とても心地良かった
ずっと触っていたいくらい手に馴染んで止めたくない
何度も往復させて絡ませて、暫くその触り心地を楽しんだ
「あ……」
ぽんぽんじゃ振動が伝わってしまうから静かに頭を撫でる
もう少しこのまま身体をくっつけて土方さんが起きないようにしないと
「おやすみなさい、土方さん」
自分の胸の上から聞こえる静かな寝息にくすっと笑みが溢れる
当たり前だけど、誰よりも疲れているのは土方さんのはず
そんな人が部下一人の為にここまでするなんて……
「ありがとう、ございますっ…………ちゅっ」
お気に入りの髪の毛にそっと口づけを落として、静かに布団から出ていった
「やらかしたんだけどォオオオ!!」
いつも通りに目覚めたものの、自分の失態に絶叫する
起きたらもう零はいなかった
一人で能天気に爆睡していた
寝かしつけてやるはずが、自分が寝てどうするんだよ!!
「クソ!!」
あそこまで何とか持っていったのにこのザマ
悪い事はするなと神様が言っているんだろうか
生脚を触った手が妙に疼く
ふと見れば零の枕が忘れられたままだった
今すぐこれを取りにこないかな
それとも皆の前で返してやろうか
そうしたらどんな反応を見せるのか
昨日の反応のように、赤くなって取り乱すんだろうな
「ふ……」
思わず笑みが漏れて口を押さえる
そういえば調子に乗って零の唇も塞いだっけ
それに……
「…………柔らかかった」
何がとは言わない
何がとは
赤くなる自分を誤魔化す様にそそくさと着替え始めた
一歩前進したはずだ
それだけで十分だろ
もっと触りたいだなんて……
それは次にとっといてやるから……今度こそ覚悟しとけよ、零
終.
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