寝不足②
名前変換について
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゴンッ
鈍い音が廊下に響く
状況を察した土方さんが沖田隊長の頭に拳を落としたからだ
「いって……」
「総悟、お前ついに盗っ人にでもなったのか?あ?」
「嫌だなぁ土方さん、ちょっと零の体調を気遣っただけじゃねェですか」
「お前なぁ!こんなもん素人がどうこうしていいもんじゃねぇだろうが!何度言わせんだ!睡眠薬は危ねぇって!」
はいはい
出ました土方さんの常套文句
や、本当に素人が弄っていいもんではないんだけれど
「土方さん、そんなに怒らないで下さい。沖田隊長は私の為に……」
「零!お前もだ!目ぇキラキラさせてヨダレ垂らして!」
「そ、そんな薬物中毒者じゃあるまいし……してません!」
というか、一体いつから見ていたのだろう
まだ睡眠不足で悩んでるなんて知られたくなかったんだけれど
沖田隊長は早急に睡眠薬を戻すよう指示されて、その場からいなくなった
去り際に
「羊数えなせェ、羊」
と言われたけど、そんな古典的な事でどうなるものでもなかった
沖田隊長がいなくなって、どことなく気不味い空気に下を向く
はぁ……と土方さんのため息が聞こえて、呆れられているのが手に取るようにわかる
眠れないし気不味いし、こんな事になるならさっさと病院に行って薬を貰ってくれば良かった
それが一番手っ取り早かったのに
いや、今からでも遅くはない
休憩を潰して病院に―――
「……目、充血してんな」
勝手に前髪を触ってかき上げて、眉間に皺を寄せて顔を近付ける土方さんと目が合った
「ななななな!!」
思わず後ずさりしておでこを押さえる
目が赤いのは知ってるけど、そんなに覗き込まなくてもいいじゃないか
「ひ、土方さん!近いです!」
「あ?この前はもっと近かっただろ」
沸騰しそうなくらい真っ赤になった顔を、なんだか嬉しそうに見つめてくる土方さん
こっちが目のやり場に困って目を回した
「あ、あの時は……仕方なく……」
「仕方なくで爆睡したんだ?」
「うぅっ……すみません……助かりました……」
困っている人間を前にして、笑える人間を人はドSと呼びます
沖田隊長、ここにもいました
隠れドSが
「……肌も荒れてんな」
「……触らないで、下さいっ……」
頬に手を重ねて確かめる
骨ばった手が優しく撫でてきた
「……どうすれば元に戻る?」
「そりゃあ……ちゃんと眠れば治ると思います」
どうしても顔を見れなくて伏目がちになる
部下にそんな態度を見せられて嫌な気を起こしたのか、頬にあった手が顎を持ち上げた
「じゃあどうすれば眠れる?」
「びょ、病院に行って薬を―――」
親指で唇を塞がれてそれ以上喋れなくなった
「んなもん危ねぇって言ってんだろ」
だから危なくないんですって
いや、飲み方を間違えれば危ないけども
私の唇の上を何度も何度も指を往復させて、何かを待っている土方さん
たまにぷにっと摘んで触感を楽しんでいる
その間ずっとニヤけ顔
さすがに私も気付いてますよ
土方さんが私に何を言わせたいのか
「んー、じゃあどうすりゃ眠れっかなぁ……総悟の言う通り羊でも数えるか?」
首を振って無意味だと答える
「本でも読んでりゃ眠くなるかもな」
それはもう実践済みで、失敗に終わってるって知ってるじゃないですか
どうしたものかと頭を掻く土方さんだったけど、そんなのは全部嘘
チラチラこっちを見て待ってるくせに
唇を弄ぶ手首を掴んで身体から離す
代わりに土方さんの隊服を掴んだ
「……土方さん」
「何」
その顔が意地悪く笑っていて癪に障ったけれど、自分の睡眠を確保するのに真っ当な理由だとこじつけて懇願した
「ま、また私と一緒に……添い寝……してくれませんか?」
.