雨宿り
名前変換について
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銀髪さんの名前は坂田銀時
近くで万事屋というお店を営んでいるという
あの後タオルを貸して、非常識だったかもしれないけど、お風呂にでもと提案してみた
「いや、いいわ。ウチこっから近いし。零も風邪引くんじゃねぇぞ?」
自己紹介をした名前をすぐさま呼び捨てで呼ばれるむず痒さに照れて、引き止めることが出来なかった
「坂田さんこそ風邪引いちゃうっ……」
「これがホントの水も滴るイイ男ってな。じゃあな」
あっという間に駆け出して、更に酷くなった雨に打たれに行った
これが一週間前の話である
仕事の休憩中に思い出して赤くなる
初めて会った男の人に顔を拭かれ、腰を抱かれて駆け出して、終いにゃ自分からお風呂はどうですか?なんて
「何してんのっ……」
反省はしてみるも、本題はそこじゃない
びしょ濡れになったけど、何だかワクワクした
二人で走って青春ごっこみたいだった
あの癖っ毛の銀髪さんにもう一度会いたい
「坂田さん、元気かな……」
つまんなそうに呟いて、サンドイッチの最後の一口を放り込んだ
午後から天気が崩れるという予報に、今日はしっかり傘を持ってきた
今のところ雨は降っていない
帰る頃には……そう思って持ってきたが、出来れば使いたくない
また通り雨に降られてあそこに立っていれば、あの人に会えるんじゃないかと淡い期待があった
退勤後、予想通りに降り出した雨
それでも小雨すぎて傘すらいらない気がした
「どうしよっかなぁ……」
別に雨宿りしたって会えると決まったわけじゃない
勝手に妄想して勝手に期待している
いつの間にか例の場所まで辿り着いた
この軒下に立っていれば会えるかもしれない
けれど傘は持っている
矛盾した行動に自分自身何がしたいのかわからなくなってきた
傘を持って雨宿り
全くもって意味不明だ
しばらく通行人を眺めて立っていた
少し強まった雨に足早に帰る人々
自分もそうしなきゃいけないのに動けないでいる
もう用はないのに
今日は空振りだ
「あれ?零じゃん。どうした?」
傘を差して近付いてくる
あの日とは違う姿に、一瞬誰だかわからなかった
それでもこの声を聞きたかった
子供みたいな笑顔を見たかった
「ま、また……会いましたね……」
なんて、嘘が下手すぎて恥ずかしくなった
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