君と地獄に行きたかった/※+Smokescreen
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石が積み上げられてできた小さな塔の前に跪き、持ってきた花を供える。
基地から近い場所に密かに作った彼女の墓は、岩陰の薄暗い、肌寒いとこにひっそりと佇んでいて、こんな場所でしか彼女を弔ってやれない自分の甲斐性のなさに、墓参りする度に嫌気がさす。
ディセプティコンになってしまった彼女の居場所は、ディセプティコンにも、オートボットにも無い。
だからこんなふうにしか悼んであげられない。
《自分は2等賞がお似合いとか言ってたけど、違うんだ本当は……。俺はユースティシアがずっと、諦めずに俺を追いかけ続けてくれたから、焦って、追い抜かされないようにしようって頑張れてただけなんだ。君がいなければ今頃……》
今となってはもう言っても無駄なセリフだが、もし本当に地獄があるんだとしたら、この供えた花が彼女のいるあの世と、俺のいるこの世に繋がる橋となって、この言葉を運んでくれたらいいと思った。
《……君と地獄に行きたかった》
もっとずっと一緒にいたかった。
これからも俺は、ユースティシアのいない世界で何度も君の死ぬ悪夢を見て生きていくんだろう。
それでも、君に救われた命だ。
簡単に死んでたまるもんか。
だから少し、そこで待っててくれ。
一陣の風が吹いて、リコリスの花弁が少し散った。
白い花弁は風に煽られて、どこまでもどこまでも遠くにひらひらと空を泳いでいた。
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fin.君と地獄に行きたかった
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