それは確かに恋だった/Megatron
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体が熱いのに、頭がさむい。
額や背中からは冷や汗と脂汗が噴き出し、体の中心から溢れ出す血液と混ざりあって地面に滴っていた。
メガトロン様に撃たれたのだと遅れて気が付いてから、一気に吐き気が込み上げ、大量の血液を吐き出してその場に膝をつき跪いた。
朦朧として倒れる私の肩を誰かが掴み、支える。
サム…サムだ。
決してハンサムとは言えない三枚目顔が泣きそうな表情で私を見下ろしていた。
いや、彼は実際泣いていた。私の頬に伝う涙は、私のものでは無いと確信を持って言えるから。
(あなたは優しいのね)
そう言って嘲笑ってやりたかった。
ちょっと色目を使えば簡単に騙されて女の子にホイホイ着いてきちゃうロクデナシのくせに、私に騙されたくせに、ほとんど互いのことも知らないのに泣いちゃうんだ、って。
私は生まれた時からメガトロン様に従うよう育てられ、それを生きがいにしてきた人間だ。
だからこんな風に使い捨てのコマとして殺されようが本望だと思える人間なんだ。
そんな人間に対して憐れみや、同情から泣いて悲しむなんて、滑稽にしか思えなかった。
薄れる意識の中、やっとの思いでメガトロン様に視線を送る。
今まで、畏れ多くて目を合わせることすら避けていた。
でも、どうせ死ぬんだし。最期くらいは敬愛する人の顔を見てから逝きたかった。
赤い双眸が視界に入る。
しかし、メガトロン様は私を見ていなかった。
メガトロン様にとって、私は視界に入れることすらさせてもらえない、虫ケラ同然の存在だったのだと理解する。
頬に熱いものが伝った。
流れ落ちるサラサラとした感覚は血液ではなく、汗や涙に近いものだった。
私の目から流れたそれの意味を考える暇もなく、私は意識を失った。
*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
fin.それは確かに恋だった
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