2.月に口付け星をかぶせ
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少佐が直属の上司になり、いかにもな歴戦の猛者の顔付きをしている先輩ばかりの部隊に配属され、任務に当たるようになってから3ヶ月が過ぎた。
人間とかけ離れた文明と文化を持つオートボット達との生活は大変で、体は大きすぎるわ、転ぶだけで基地を破壊するわ、アクの強すぎる個性の人ばっかりだわでまだ慣れない部分もままあれど、戦場で何度も助け合い、共に死線をくぐり抜けていくうちに、私は彼らの仲間としての自覚を徐々に芽生えさせていった。
最近は彼らも、そんな私を信頼してくれているように感じる。
そんなわけでここ最近は、彼らのいる第1格納庫へ入り浸る毎日だ。
訓練や任務、どうしても外せない用事以外は、基本的に壁際のベンチに座って武器の手入れや彼らの手伝いをし、出動の合図があるまで、たまに居眠りをする事もあった。
「結婚相手はまだか、孫はまだか」と催促してくる家族や、仕事の話ができない友達と遊びに行くよりも、ここで武器の手入れや彼らのメンテナンスに付き合う方が気を遣わなくてよくて楽だったのだ。
自分が父の助言のままに軍に入っていなければ、今頃どこぞの会社でOLとして働き、休日は会社の愚痴や恋バナなんかをして過ごすような普通の女の子らしい人生があったのかもしれない。
エイリアンと仕事をしているという秘密を抱えずに、大切な人たちに隠し事をしている後ろめたさも無い人生を生きることが出来たかもしれない。
でも私は後悔していなかった。
あの日輸送機に乗らなければ、地球を侵略しようと目論む敵がいるという事実を知って怯える事もなかったけれど、私たち人類を守ろうとしてくれている彼らと出会いは、この3ヶ月で私に大きな意味を持たせていたから。
…ただ1人を除いて。