お前に娘はやらん!!!/+Jetfire,Optimus
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《お・じ・い・ちゃーんッ!!!》
《うぉーーっ?!!》
滑走路に着陸する寸前でオプティマスがYF-12から飛び降りると、クインがロボットモードに変形しながらジェットファイアーの方へ飛び込んできた。
傍にいたジャズは巻き添えを喰らわぬように慌てて飛び退くが、努力虚しく片足を下敷きにされて轢き殺された蛙のような排気が出てしまった。オートボット随一大柄な戦闘機2人にのしかかられ、ジャズの左足はギリギリと悲鳴をあげる。あと発声回路も。
《いだだだだだだっ!!!》
《ハッハッハッー!!よくぞ戻ってきた!我が孫娘よ!!さっきの飛行、マッハ4は出てたんじゃないか?!それでこそ我が一族の意志を継ぐ者だ!!》
《それは言い過ぎ!あたし、最高でもマッハ3.35しか出ないんだから。おじいちゃんには適わないよ》
《あ”ーーーッ!!俺の足の上でじゃれるな!!ウッ、だめだ!千切れるッ!アーーーッ!!》
《クイン、ジェットファイアー。ジャズの足が取れてしまう。ほら、起き上がるんだ》
《あっごめんごめん》
ジャズの発声回路からは今まで出したことの無いような高音が出て、それに気付いたオプティマスが慌ててクインに手を差し出した。
クインは素直にそれに掴まってジャズの上から起き上がったが、ジェットファイアーはその手を払い除けて杖で立ち上がった。
やっと開放されたジャズは左足の回路が無事なことを確認すると、装甲の一部が有り得ないくらい凹んでしまったことに絶句してしまい、遅れてやってきた激痛に失神してしまった。オォウ……ジャァズ……と呟いたオプティマスに続くように、クインも(自分が原因である自覚はなく)ジャズの不幸を悲しんだ。
《ッケ……それで?プライム。なぜお前は俺の可愛い可愛い孫娘の上に乗ってたんだ?ん??答えによってはお前のスパークを捻り潰すぞ》
ジェットファイアーはオプティマスの両肩に手をかけ、全力で圧をかける。が、当の本人は瞬きを一度したくらいで全く動じておらず、ただでさえ孫娘を誑かして気に入らないのに、その様子でさらに腸が煮えくり返る思いになっていた。
《大事な話の前に、クインが仲間であることを改めてNESTのみなに示しておきたくてな……。"2人で協力して"先程のスモークを描くためにしがみつかせて貰っていたのだ》
("2人で協力して"だぁ〜〜ッ?!)
その言葉に苛立ちすぎてジェットファイアーの頭部からパーツがひとつ飛んだが、彼は怒りを何とか抑え込んで、オプティマスの話を聞こうと努力し始めた。
オートボットの証である青いオプティックを、クインは持っていない。彼女は祖父と同じディセプティコンによって造られ、鞍替えをしたトランスフォーマーだからだ。
体に刻まれたエンブレムを自ら傷付けて、違う場所にオートボットのエンブレムを刻んでも、それだけは変えることが出来なかった。
NEST基地内には、元ディセプティコンの彼女に対して未だに当たりが強い上層部の人間もいる。
クインを取られてしまうという感情のせいでいつもこんな態度になってしまうが、オプティマスは、プライマスの子孫であり最後のプライムである。
オートボットの司令官として、常に人とトランスフォーマーとの関係を考えてきた彼になら、孫娘の辛く厳しい運命を変えられるかもしれない、というのはジェットファイアーは痛いほどわかっていた。
《大事な話とは、なんだ》
《クイン》
大きく排気した後、問うとオプティマスはクインを呼んだ。
彼女は《はぁーい!》と元気よく返事すると、さも当然のようにオプティマスの隣に立った。
その時である、
《なっ?!!》
《っ?!!!!!!?!!》
クインはオプティマスの首に腕を回して、キスをしてしまったではないか!!!!
この場にいる誰よりも言葉を失ってフリーズしたのはジェットファイアーであることに間違いなかったが、打ち合わせと違っていたのか、オプティマスも負けず劣らずオプティックを丸くしてクインを見ていた。
金属同士の接吻であるためリップ音などはなく、ガシャガシャとオプティマスが手をさまよわせる音や、唇同士がぶつかるガキン!という音しかしなかったが、仮に彼らが人間であると想定してオノマトペで表現した場合「ちゅう〜〜〜〜ッ」、という擬音語が妥当だと言うくらいに2人は暫くそうしていた。
(お、俺の目の前で……今、何が起こっているんだ……?)
再びあんぐりと口を開けたジェットファイアーのオプティックに光が戻ってきたのは、クインが満足気にオプティマスから顔を離した後だった。
《あたしたち!結婚しよーと思うの!ね、いいでしょ?!》
オプティマスと変わらない背丈のクインは楽々と彼の肩に腕を回し、未だ混乱する婚約者の代わりにそう言い放った。
オプティマスはブレインが冷静になってくると、ひとつ咳払いをしてから呆然とするジェットファイアーに追撃を与えた。
《あー…。本来なら私から言うべきだったかもしれないが…彼女の言う通りだ。なので、ジェットファイアー。私とクインの結婚を、どうか認めてくれないだろうか》
アフターバーナーが爆音で点火した時のような衝撃がジェットファイアーのボディを襲った。
二人の電撃結婚(ジェットファイアーが認めていなかっただけだが)にショックを受けたのもそうだが、幸せそうに寄り添う二人が決定事項のような口振りで報告してきたことが、一番ジェットファイアーのスパークを抉っていたのだ。
《んぁっ?!俺、寝てた?!》
失神していたジャズがタイミング悪く目覚める。
なぜなら、あと数秒で、全身の燃料を滾らせたジェットファイアーが地面を揺らすような大声で叫ぶからであった──。
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fin.《お前に娘はやらん!!!》