お前に娘はやらん!!!/+Jetfire,Optimus
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その日、ジェットファイアーはNEST格納庫内をそわそわと落ち着きない様子で、何度も同じ場所をぐるぐると歩いていた。
円を描くようにループしていたため、そこだけ、脆くなってしまった彼から崩れ落ちた古いパーツが散らばりマキビシのようになっている。
実際、そこを通った待機中のオートボットの何人かはそれを踏んで痛がっていた。
《ええい!そこを通るお前が悪いんだ!!キャンキャン吠えるな!》
今日何度目かわからない彼の怒鳴り声が格納庫内に反響して、ジャズは音楽を聴いていた手を止めた。
ロックを堪能している所を邪魔されて、渋々様子を伺うことにした、という方が正しいかもしれない。
ともかく彼は、聴覚回路に爆音で流していたQueenを一時停止すると、キャノン砲を構えて抗議するアイアンハイドと、戦斧を今にも振り下ろさんとしているジェットファイアーの間に割り込んだ。
短気で好戦的な仲間を説得するのには骨が折れたが、アイアンハイドはなんとか武器をしまって立ち去ってくれた。
《ふん、腰抜けが……俺があと10年若かったら、今頃掴みかかってたわ》
問題はこっちのご老体である。
たまたまアイアンハイドがここから去ったから良かったものを……。今のを聞かれていたら確実にここは戦場と化していただろう。
エネルゴン不足でガタが来た体のため、他のオートボットよりかは出動する機会も少ないが、ジェットファイアーは未だ現役なのだ。
しかし、ジャズは彼の冷静な面(ヒステリックな面もあるが)を知っていたため、理由もなくピリピリとしていることを不審に思い、またぐるぐる歩き出した彼に話を聞いてみることにした。
《ちょいちょい、落ち着きなって。何をそんなにピリピリしてるんだよ》
《別にピリピリなどしていない!!そんな事より、クインとオプティマスを見なかったか!?》
《クインとオプティマス?……そういや見てないな。でも、二人のことだし、どっかでデートでもしてるんだろ。心配ないよ》
《バカヤロウ!!プライムだから心配なんだ!!ああっ……!俺の孫娘よ……!無事でいておくれ……!》
プライマスに祈るように膝から崩れ落ちて懇願しだしたジェットファイアーに、もはや乾いた笑いしか出ない。
故郷に家族を残し、フォールンの命令で地球へ来たものの眠りについてしまい、長い年月が経った後に目覚めたら生きて残った家族がクインしかいないとなれば、そういう反応になるのも理解できなくない。しかし、オプティマスと彼女が既に良い仲であるというのはオートボット……ひいてはNEST内での、数年前からの常識だ。
それは、スミソニアン博物館でジェットファイアーとクインが再会した時に、彼にも伝わったはずなのに。子煩悩ならぬ孫煩悩な彼には、その現実がどうしても受け入れられないようだった。
2人がいないだけでこの慌てよう。もし、2人が結婚しますだなんて言い出したら口の歯が全て抜け落ちてしまうんじゃないだろうか。と、ジャズは青い空を見上げ、早くふたりが帰ってきてこの孫バカを黙らせてくれないだろうか、と切に思った。