サテライト/※Jazz
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ミカエラの親友として、ダメそうな男に捕まりそうな彼女を見てられなかった。
へにゃへにゃしてて、授業中におじいさんの遺品でオークションとかするし、先生にだる絡み?して成績を変えるようお願いしてたし。だからバイクで彼を追ったミカエラを、私もこっそりタクシーで追いかけたんだ。
そこからの記憶はほとんどない。
だって文字通り、死に物狂いで逃げたから。
爆速で疾走するオンボロカマロのせいで失神はするし。本当に命がいくらあっても足りない体験だった。
でも、あの時の死ぬような思いがあったから、私は彼に出逢えた。
手を繋ぎ合う2人の邪魔にならないように、私は反対のドアから4つの流れ星を見送って。
ラジオで隕石被害のニュースを聴きながら辿りついたのはなんの変哲もない汚い路地裏。
そこへ集結した、誇り高い異星の戦士たち。
今でこそ司令官である彼と私は、サムやミカエラに次いで友人だけれど、初めて見た時は膝から崩れ落ちるほどその巨体が怖かった。
だからだったのか。
彼の仲間はみんな大きいけれど、とりわけ人間に背丈が近い彼に親近感を覚えたのは。
友達以上恋人未満になりつつある2人に遠慮して別の人……車に乗りたいと言い出した私に、快く手を貸してくれたのはシルバーのポンティアックソルスティス。オートボットの将校さんだった。
サムの家へメガネを探しに行って、橋の下で守ってくれて、フーバーダムから逃げる私を拾って、ミッションシティでも庇ってくれたね。
出会ってから日は浅くて、お互いを知り合う余裕なんかなかった。地球の音楽を気に入って、車内でよく流してメロディのようなものを口ずさむ癖くらいしか、彼のことを知らない。
けどそれで良かった。
それだけで十分だった。
好きな曲をリクエストした時に、何も言わずにチャンネルを変えてくれたり、私が曲に合わせて下手くそに口ずさむとマネをしてからかってきたり、瓦礫に躓いた時に手を差し出してシートへ乗せてくれたり。
笑った声も、顔も、全部がかっこよくて、私はとっくにあなたに落ちていた。
愛のパワーはすごい。
と、最近改めて思う。
彼はもう隣にいない。時間もとうに過ぎた。
それなのに、好きな曲を聴いた時、夢で会った時、同じ車を見かけた時、泣いてしまうから。ずっとずっと、忘れられないから。
愛と執着はきっと、コインの裏表のような関係で結ばれているんだろう。