軒下の知らない君/*Optimus
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突然降り出した土砂降りで、今まで忙しなかったロサンゼルスの街並みはガラリと雰囲気を変える。
午前中まで観光客や通行人でごったがえしていたメインストーリートは嘘のように人の姿が見えなくなり、ここに残っている人間は主に二つに分類された。
傘片手に余裕そうな顔で歩く者と、濡れ鼠のような姿で屋根の下、待ちぼうけをくらっている者だ。
もちろん、お気にのダイナーの軒下で不機嫌そうな顔をしているクインは後者に当てはまる。
彼女は水分を含んだパーカーの裾や髪を絞ると、数分前まで天気予報を宛にしていた自分にパンチを送りたい気持ちで握りこぶしを作っていた。
今彼女が頼れるのは、家を出る時にポケットに押し込んだ財布と充電切れ寸前のケータイだけ。
給料日前とあって、財布の中身はコーヒーを2杯飲むのが精一杯な金額しかなかったが、それでも冷たい雨から逃れて今すぐ体を温められるなら、常連の嫌な爺さんに「コーヒーしか飲めない貧乏人だと」揶揄われたって良かった。
少しでも温かくなるように、両腕で体をさする。
クインは、"CLOSE"の看板が掛けられたダイナーのドアを背に、立ち往生するばかりだった。