手合わせ願います/+Jazz
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ラボから離れて数分経った。
でもまだ、副官の手は私を離さなかった。
《師匠。ひとりで歩けますから、もう大丈夫ですよ》
リハビリも兼ねて歩きたかったので、やんわり伝えてみる。
師匠はピタリと足を止めると、ボソボソと発声回路を動かした。
《……オプティマスには……、のに》
背中を向けられたままだからというのもあるけれど、想像以上に小さな声に思わず聞き返してしまった。
《?……司令官が?》
《っ、オプティマスには親しげなのに、なんで俺には他人行儀なんだよっ?!》
《え》
バッと振り返った彼から放たれたのは、そんな言葉。
予想していたお叱りや世間話ではないセリフに驚き、思わずフリーズしてしまった。
《俺との訓練では、勝てるまで畏まった態度をとるのはわかる。お前のそういうところいいと思うしな。
…でもなんで同じ立場なはずのオプティマスにはあんなに距離近いんだよ!》
両手をワナワナさせて訴える師匠の顔は本気だった。
《えっと…オプティマスは司令官ですが、直属の上司では無いので…友人の感覚で話してましたね。
師匠は、私の一番の目標ですごい人、なので……タメ口を使ったりするのが恐れ多いと言いますか……》
あまりの迫力にしどろもどろしながら言うと、私の言葉でなんとなく納得してくれた師匠の纏う空気が柔らかくなった気がした。
《友達、なんだな》
《え?はい…オプティマスは友人です》
《……そうかよ》
くるりとまた背を向けた師匠に置いていかれ、慌ててその後を追う。
今は、師匠に振り向いてほしくないと強く思った。
_友達、なんだな。
そう不安そうに確認して、安堵した時の彼の顔が、まるで私を1人の女として扱っているようで……。
(熱い、)
顔に燃料やオイルがせり上る感覚がして、らしくない心境に小さくため息をついた。
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fin. 手合わせ願います