戦線前夜/Optimus
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青い目をした巨大ロボットの体には、ピータービルトと同じ燃え上がる炎の塗装が施されている。
もしかして、あの車が……?
《隠れていろ》
人形を掴むみたいに、私の体を掴んでいた手がゆっくり地面に近付けられる。
"彼"が喋った。わけがわからなくて頭がおかしくなりそうだ。
でも、彼の冷静な声はどうしてか体の中にすとんと落ちてきて、声が出ない代わりに私は何度もぶんぶん頷いた。
腰が抜けていたがなんとかほふく前進で近くのコンテナの後ろに隠れた。コンテナ同士の隙間からピータービルトを見る。
私を降ろす為に折っていた膝が伸ばされると、改めて彼が巨体の、人間には到達しえない何かなのだと理解した。
吹き飛ばされてバラバラになったとばかり思っていたミキサー車が戻ってきた。あんなパンチをくらって少しの破損で済んでいるアイツも、きっと"彼"と同じ存在に違いない。
ミキサー車が停車した。
カチカチ、ガキンガキン、キリキリキリ
沢山の金属部品がかち合ったり、噛み合ったりする音がすると、ミキサー車は"彼"のように人型に変形した。
《お前の首をメガトロン様への土産にしてやるぜ!オプティマスーッ!!》
《土産になるのは果たしてどっちかな?!》
ミキサー車はオプティマスと呼ばれた彼よりかは小柄だったが、右腕部分にあたる生コンクリートの入ったドラムはなんだか強そうだった。
私が目で追うよりも早く、2人は掴み合い、殴り合い、見たこともない武器のようなものでマーシャルアーツを繰り広げはじめた。
体の大きな彼らが倒れたり、手をついたりするだけで地面が揺れ、私はお尻が浮いたりした。
今気付いたが右足のルブタンがいなくなっている。ワンピースの裾もビリビリに破れて、膝部分のストッキングが破れて血が滲んでいた。遅れて痛みがやってくる。
「っあ!!」
持っていたハンカチで応急処置をし終えた途端、こっちになにかが飛んでくるのが見えた。
それは軍が使うミサイルに似ているが、手のひら位の大きさしかない。
飛んできたのは2発ほどで、流れ弾がこっちにきてしまったらしかった。
足が震えてしまって動けなかった。へたりこんだまま頭を抱えて伏せる。
ドガァアアーーーンッ!!!!
轟音がすぐそばで響いて、真っ白い閃光が視界を奪う。
私は意識を失った。