戦線前夜/Optimus
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ガツンと金網の門に体をぶつけ、危うく転びそうになる。足元ばかり見てて、前方不注意だった。
自業自得ではあるが苛立ちながら門を睨むと、焼ききれた太い鎖と分厚い錠前が目に飛び込んでくる。
ここは頑固親父が営む中古車屋で、彼は自分のテリトリーを荒らされるのを極端に嫌うため、こんなところを見られたら面倒なことになる。
そう思って立ち去ろうとした。
……次の瞬間、私は目を見開き言葉を失った。
「な、なによこれ……?」
敷地内の地面が、ない。
いや、正確に言うとえぐれている……?
まるで隕石かUFOでも墜落してきたんじゃないか、という凄まじい破壊痕だった。
よく見ると、さっきぶつかった門も所々ボロボロだ。門の向こうの一部はまだ燃えているし……。
その内消防車なんかがここに来るだろう。
そうなれば、私はこの場にいた目撃者として、関係者やマスコミにつかまってめんどくさい事になるに決まってる。
けど、酔っぱらいの意識では正常な判断なんてできず。
得体の知れない災害に対する恐怖と、事件現場への野次馬根性が葛藤する。
数分格闘した後に、結局好奇心に身を任せることにした。
もはや意味を成していない門を押して敷地内に侵入する。
破壊の限りを尽くされた辺りを見回して、驚く。例の抉れた地面に近寄ってみると、その大きさが尋常ではなかったから。
車一台分は入りそうな丸い穴を気が済むまで観察した後は、こうなった原因が近くにないかと探索する。
……しかし、特に変わったところはない。
未だ燃え続ける瓦礫の破片と、不自然すぎるほどの沈黙しかここにはなかった。
なんだか気味が悪い。
そう思って身をひるがえすと、一台の車が入ってきた門のそばに佇んでいた。あれ?あんな所に車なんかあったっけ…。