正午、とある日曜日/Ironhide
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『はぁぁぁ……なんで俺が…………』
ショッピングモール横のパーキングエリアで、トップキックの運転席にいる男……ホログラムのアイアンハイドが苛立ちを隠せていないため息をついた。
車泥棒を寄せつけないために彼はホログラムを投影しているワケだが。
その効果はてきめんで、傍から見れば今の彼は普通の人間と違いはなく、街中によく馴染んでしっかり役割を全うしていた。
…しかしそれが余計に彼を苛立たせている。
オプティックセンサーから見える噴水や路面電車、その周囲に群がる人、人、人……。
弱っちくて、都合のいい時だけ自分たちを囃し立て、思い通りにならないとすぐに矛先を向けてくる人間。
彼はそんな人間を好きになれずにいた。
中には話のわかる奴もいるとは分かっていたが、自分や仲間たちを犠牲にしてまで守るほどの価値が奴らにあるのだろうか、と常々考えてしまう。
だからこんなホログラム消して、一刻も早く立ち去りたいのに。
モール内にいる"彼女"を置いて基地に帰れば、レノックスからどやされるのが目に見えている。
エンジンキーを回してウィンカーを出そうにも、それが出来ずにいた。
_そんな時、車内に装備されている人間用の無線機から応答を願う声が聞こえた。
NEST隊員との作戦用に搭載した機能だが、こんな平和な街の中で通信してくる人間は一人しか思い当たらない。
『何の用だ』
「買い物終わったよー! 今からそっち戻るけど、なにか買って欲しいものとかある? 新しいドリンクホルダーとかどう?」
非番で買い物に行きたいから付き合って、と職権乱用を行ったクインの、相変わらずの能天気さに頭痛がしてくる。
『お前が使いたいだけだろう。いいからさっさと戻ってこい』
「ええーいらないの?ボトル4つ置けるんだよ?」
『いらん』
これ以上面倒な会話を続けられる前にブツリと無線を切った。やっとこの場所から解放されるのだから、早く戻ってきて欲しい。
戻ったら、クインに邪魔されて出来なかった武器のメンテをしよう。新しく調整したキャノン砲も試したい。
帰った後のことに思いを馳せていると、大きな紙袋を抱えた女がアイアンハイドに手を振りながら歩いてきた。
すぐ傍まで来てたんなら無線なんかせずに帰ってこいよ。という愚痴は何とか飲み込んだ。