ニオイセンサー/Ratchet
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ラチェットの鼻から、なぜかパラシュートが垂れていた。
開いた状態で力無く項垂れる白い布が、完全に鼻水にしか見えなくて口から息が漏れた。
「ぶはっ!!」
《? ……おっと、取るのを忘れていたよ》
お腹を抱える私を見たラチェットが、思い出したようにパラシュートを取り外す。
どうして鼻にパラシュートを入れていたのか謎だが、いつものラチェットに戻ってくれて助かった。
話題を戻すために彼が咳払いをして、差し入れている手のひらを顎で差した。乗れ、ということらしい。
お腹の痛みもだいぶ落ち着いたが、ストールとスリッパを身につけ防寒に努める。彼らの体は冷たいから。
ぺたりと座ると、金属のマフラーからプシューと排気音が出て、私を乗せた掌が彼の顔の前まで運ばれる。
金属で出来た大きな鼻に触れると、彼は擽ったそうに微笑んだ。それを見て胸が温まる。
《……君の気分を害してしまい、本当に申し訳なかった。反省しているし、もう二度とあんなことは言わないと約束する。…だからどうか、俺を無視しないでくれ》
カメラアイがカシャリと閉じる。
心の中で、流石にやりすぎたなぁと私も反省をし、簡単に彼を許す。
ラチェットから「無視しないで欲しい」なんて言葉を聞けて嬉しかった。我ながらチョロすぎる。
「……自惚れていいですか?」
《…………君が今考えてる事は、正しい》
また開いたカメラアイの向こうで、ブルーの瞳が揺れていた。緊張、のようなものなんだろうか。
「………いつから、同じだったんですか」
《……もうずっと前からさ》
鼓膜が彼の言葉を受け取ったと同時に、唇に冷たいものが触れる。
自分のそれとは形も大きさも構成する材質も違う。
…なのに、こんなにも愛おしい。
重なった唇から熱が伝わることは無い。
けれど私は、彼の頬に両手を触れ、この時間がまだ終わらないようにと願いながら彼からの愛を受けいれたのだった。
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fin. ニオイセンサー