Ice cream Night:☽ /Bumblebee
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買い物を済ませてスーパーの駐車場に停まっている車に乗り込んだ途端、煩わしい音楽が爆音で鳴り始めた。
「ちょ、なに?!やめて!ストーップ!!」
幸い窓は出る時に全部締め切っていたため、外に音漏れはしてないはず。
犠牲になったのは私の鼓膜だけ。
「なによ!何か言いたいなら、はっきり言いなさいよ!!」
耳を塞いでも貫通して耳に飛び込んでくる音楽は、皮肉にも私の好きなバンドのバラード曲だった。
レディースボーカルのハイトーンが今は辛い。
『すまない_ガガ……_ミスだ』
「……?」
手越しに聴こえていた曲の音量が少しづつ落とされていくと、塞いでいなくとも正気を保っていられるボリュームになった。
メインメロディは終わっているらしく、ボーカルの声がない。
2コーラス前のゆっりしたギターソロだけがスピーカーから流れている。
ロックの割には落ち着いた曲調のそれは、停車した車内でアイスを食べようしていた私に合った曲のように思えた。
実際、ウォークマンがあれば真っ先にそれを聴いていたかもしれない。
カマロが気を利かせたのかと理解すると、なんとも複雑な気持ちになる。
「……あなたたちって本当にエイリアンなの?」
『_もちろんさ』
珍しくノイズを含まなかったその音声はやけにクリアだった。
人間らしい行動に絆されそうになったが首を振ってビニール袋からアイスを取り出す。
ツルツルとした赤い蓋を取り、銀紙を剥がすと一気にバニラの香りが広がった。いい香り。
プラスチックのスプーンで食べ進めると、思った通り。
ウィスキーとアイスのマリアージュは素晴らしかった。
某ジャパニーズコメディアンの言葉を借りるなら、「香りの宝石箱」といったところ。
流れている音楽も相まって、なんだか肩の力が抜けていく気がした。
『ザザ……_月が綺麗だ_』
「月?」
言われてフロントガラスから空を見上げるが、空は厚い雲に覆われて月なんか、ましてや星さえも見えない。
それとも、高度な技術を持ったエイリアンであれば、雲の向こう側の夜空さえも見通せるのだろうか。
「月なんてないじゃない」
『……さぁね』
「?」