悠久の祝福を/Optimus
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冬の空は他の季節よりも空気が澄んでいるからか、闇の中のまたたきがよく見えた。
「見て、オプティマス。一番星だよ」
私の肩に腰掛け、体をもたれさせながら、はしゃいだ声で君が笑う。
あまりに無邪気にはしゃぐものだから、私は慌てて彼女が落ちてしまわないように手で壁を作る。
心配した、と伝えると、今度は彼女は泣きそうな声で「ごめんなさい。楽しくて、つい」と落ち込んだ。
小さくまるまる体を見て、スパークがきゅうと締め付けられる感覚に陥る。
長い戦いで、私の中で色褪せてしまった感情。
まるでそれを補うかのようにコロコロと変わる彼女の表情に、態度に私はどうしようもなく惹かれているんだと再確認をした。
ストールを首に巻いた彼女の口から白い息が吐き出され、ゆらゆら、ふわふわと立ち上り、消えていく。
吐き出した息の行方を追うと、再び私たちの視線は空を向いた。
「ずっとこうしてたい。…流れ星、流れないかな」
《なぜだ?》
「オプティマスの星には無い考え方なのかな? 地球ではね、流れ星が見えなくなるまでに3回お願いごとをするとね、そのお願いごとが叶うって言われてるの」
《なるほど。少し違うが、そういった迷信もないことは無いぞ。私はあまり詳しくないが…》
「何光年も離れた場所で生まれて育ったのに、トランスフォーマーってなんだか人間っぽいところあるよね」
《そうかもしれないな》
ひたすらに安らかな空気。
穏やかな時間。
流れ星になんか頼らずとも、彼女の願いを叶えてやりたいと思う。
彼女の願うことは、私の願いでもあるのだから。
「あっ!!」
急に彼女が私の肩の上で立ち上がる。
「オプティマスとずっと一緒にいられますように、
オプティマスとずっと一緒にいられますように、
オプティマスとずっと一緒にいられますように!!」
顔の前で手のひらを合わせながら早口で3回同じことを繰り返した彼女は、固く閉じていた瞼をゆっくり開けると糸の切れた人形のように再び腰を下ろした。流れ星への願掛けを無事終えたようだ。非常に満足気な顔をしていた。
《無事終えられたようだな》
「うん。急に来たから間に合わないかもって思ったけど、暇つぶしに家でやってた早口言葉が功を奏したみたい」
《発声の仕方が良かったな。早口なのに、聞き取りやすい滑舌だった》
「でしょう?」
おどけた彼女がへらりと笑って私を見上げる。ぶつかる視線。
気づけば私は彼女の前髪をそっとかきわけ、顕になったおでこへ、そっと唇を触れさせていた。
愛しいという感情がとっさにそうした行動を私にさせたのだと気付いた頃には、私のブレインは真っ白になっており、彼女の頬はりんごのような赤みを帯びていたのだった。
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fin.悠久の祝福を
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