Coming soon/バンブル
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《クインはさ、最近なんかやけに可愛いよね。どうして?》
「へっ」
バンブルのメンテをしていた手がその一言で空中で固まってしまい、持っていたドライバーが滑り落ちる。
ドライバーはメンテ台に横たわったバンブルの首に落下した。当たりどころが悪かったのか彼が小さく悲鳴を上げる。
「ああっごめん!ちょ、手が!滑ってっ」
《オイラは大丈夫だよクイン。ちょっと反射的に言っちゃっただけで、そんなに痛くなかったし》
「そ、そう?」
《うん。それより大丈夫? クインがメンテ中に工具を落とすなんて……。朝ごはんはちゃんと食べた?》
「あーうん。シリアル4杯も食べたから
《ほんとに?本当に大丈夫なの?》
「大丈夫。心配かけてごめんね」
床に転がったドライバーを捕まえながらそう言うと、バンブルは納得のいってなさそうな唸り声を出しながらもそれ以上踏み込んでくる事はしなかった。
「危なかったー…」と心の中でホッと溜息をつき、バンブルのメンテナンスに戻る。
誰だって、突然、好きな人に口説かれたら取り乱すだろうけど、その中でもさっきの私は不自然なくらいに挙動不審になっていた気がする。目は確実に泳いでたし。バンブルが素直な性格だったのが唯一の救いだ。
一呼吸おいて心を落ち着けてから、彼の親友のひとりとして当たり障りのない回答をゆっくり模索する。
右腕の配線チェックが終わった時にベストアンサーを思いついたため、工具の乗ったワゴンを引いて反対に移動してから、冒頭の彼のセリフに答えた。
「かわいいって言われても、変わったことは特にしてないし、気のせいじゃない?」
《そうかなぁ。いつもより君の顔がよく見える気がするんだよね。だから可愛いって思ったんだけど》
「ンンッ……顔が良く見えるっていうのは多分、髪をくくるようにしたからかも。ほら、私って酷いくせっ毛でしょ? 今まではブローとかで何とかしてたんだけど、面倒だったから」
空いた手で髪の束を持ち上げて見せると、バンブルは《なるほど》とスッキリした顔で頷いた。
本当はカーリーと並んだ時に、自分のゴワゴワな髪を比べられたくなかったからという理由もあったんだけど……セットが面倒だったのは嘘じゃないし、自分の浅はかな被害妄想をバンブルに知られるようなことがあれば幻滅されてしまいそうだったので、私は口を貝のように固く閉ざしていた。
《オイラクインだったらどんな髪でも似合うと思うけど、多分こうやって、ちゃんと顔を見れたのが嬉しかったから、可愛いって思ったんだ!》
「わ、」
《いてっ》
「わぁごめん!ててて手が滑って、」
本日二度目の甘い台詞に、今度こそ取り繕うことが出来なくなる。またバンブルの首目掛けて工具を落としてしまった。
《オイラは大丈夫だけど、クイン顔が真っ赤だよ?!大丈夫?!!》
「アッ待って!顔ちかっ、アッ、アーーーーッ!!!」
顔を隠そうとする私の腕を掴んで、バンブルが顔をスキャンしようとして来る。
鼻と鼻がぶつかりそうな、むしろキスまでできてしまいそうな距離感に目を白黒させながら、彼に自分の気持ちがバレてしまうのも時間の問題ではないだろうかと心中で独りごちたのだった。
私はあまりの刺激の強さに失神した。
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fin. Coming soon
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