Ghost of you/※+Jazz
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あなたがいなくなったのは、ちょうど今日みたいな日だった。
頬をなぞるピリついた空気。
スパークが鼓動する度に全身を巡る冷えた燃料の緊迫した感覚。
戦いの前になるといつもあなたは肩を叩いて、力を抜くようにと言ってくれていたっけ。
_そんなに体固くしてちゃ、戦場じゃ命取りだぜ?
(あなたこそ、人のことばかり気にしてたら自分のことが疎かになるわよ)
_相変わらず言うねぇ〜。
大丈夫!だってピンチになったら、君が助けてくれるだろ?
(…うん、そうだね。約束したもんね)
不器用な私を、いつもそうやってあなたは笑わせてくれた。
表ではおちゃらけてるように振舞ってるのに、本当は真面目で、なんでも抱え込んでしまうような人だった。
どこへいても、何をしていても。
1人になるとあなたは私の隣に現れては誰にも聞こえない声で語りかけてくる。
どこかで聞いたことのあるセリフを上手く繋ぎ合わせて。
あなたとの記憶を都合よく切り貼りして、ひとつの映画にするみたいに、作り物のあなたは私の前に現れる。
触れることもできないし、本当の言葉を交わすことはできないのに、私の記憶があまりにも鮮明すぎるせいで、目の前のあなたはいつも本当にそこにいるみたいだった。
あなたを喪い、1人になった今、私はもうあなたの新しい瞬間を捉えることはできないのだと思い知らされる。
笑い方も、ふざける時のしぐさも、匂いも、癖も、感触も。新しくふたりの思い出を作ることもできない。
普通に日々を過ごしていると、共に過ごしていた日々を思い出す。私の生活の中に、いるはずの無いあなたが半透明で現れる。
あなたと助け合った日々を思い出す。声を掛け合い、夢を語り合い、愛を分かちあった日々を思い出す。
つかの間の安息や、ふとした瞬間に笑いあって幸せだった日々が愛おしく恋しい。
あなたに触れられていた時の温度や感覚がもう戻らないと思い知る度に何度も泣き叫んだ。
朝が来る度にあなたとの日々を思い出して、それがもう二度と手に入らないことや、失ってしまったものの大きさに押しつぶされた。
こんなにそばに居るのに、記憶の中にはいつもあなたがいるのに、私はひとりぼっちだった。
この人を失うことがこの世で1番残酷なことだと思っていた。
この人を失わないようにするためならなんでもしようとしていた。
彼が亡霊として現れる度に、私は懐かしさと、愛おしさと、悲しみと、後悔と、色んな感情が混ざり、焼けこげたような気持ちになる。
ぐちゃぐちゃに綯い交ぜになって。
どこかでまた、なんて叶わない期待をしながら、もう二度と会えない現実をわかってる苦さを、心で味わっているような感覚だった。
色んな人に出会っても、どこかあなたに似てるところを探してしまう。
私とは違う世界へ行ってしまった、あなたもそうであればいいなと思う。
*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
fin.Ghost of you
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