6
「ねえママ! 天使がいたよ! ほらあの木のところ!!」
「あらマリーナ、また天使様のお話?」
「ママには見えないの? ほら、ながーい金の髪!」
「……そうね、マリーナ、ママには見えないのよ。天使様はどんな顔をしているの?」
「ママみたいに笑っているわ!」
「ぼくのことはナイショだよ、マリーナ」
*
「君、自分を恥じるのやめたら?」
「だって、私……」
「いつまでも彷徨いていたらリアンナが困るだろう」
「あーっ!! 今リアンナって言ったー!!」
「……」
「ぼく知ってるよ、ハリフォードがリアンナ大好きだって! ずーっとずーっと好きだって!」
「お別れした僕が、彼女の生涯を阻んではいけない」
「ロベルトおじさんのせいなのに?」
筆を置き、笑う。
「壊してしまおうか、君だけ」
天使ははっと目を覚ました。気味の悪い夢。
「ハリフォードはもういないのに……ああでも、いつも通り怖かった……」
逃げてからの気の休まらない日々。疲れていたのかもしれない。みんないなくなった。自分一人無事なのだろうか。捜しに行く勇気もない。
だって、ハリフォードは。
「ぼくはいくじなしだ、マリーナ」
「あらマリーナ、また天使様のお話?」
「ママには見えないの? ほら、ながーい金の髪!」
「……そうね、マリーナ、ママには見えないのよ。天使様はどんな顔をしているの?」
「ママみたいに笑っているわ!」
「ぼくのことはナイショだよ、マリーナ」
*
「君、自分を恥じるのやめたら?」
「だって、私……」
「いつまでも彷徨いていたらリアンナが困るだろう」
「あーっ!! 今リアンナって言ったー!!」
「……」
「ぼく知ってるよ、ハリフォードがリアンナ大好きだって! ずーっとずーっと好きだって!」
「お別れした僕が、彼女の生涯を阻んではいけない」
「ロベルトおじさんのせいなのに?」
筆を置き、笑う。
「壊してしまおうか、君だけ」
天使ははっと目を覚ました。気味の悪い夢。
「ハリフォードはもういないのに……ああでも、いつも通り怖かった……」
逃げてからの気の休まらない日々。疲れていたのかもしれない。みんないなくなった。自分一人無事なのだろうか。捜しに行く勇気もない。
だって、ハリフォードは。
「ぼくはいくじなしだ、マリーナ」