三.菊花百景
「紫京さま……!」
杯が自室へ入ると座りもせずに待っていた宵ノ進がぱあっと明るい表情で駆け寄ってきたので受け止めると、そのまま腕の中に収まった。
「すまない、待たせた」
「いいえ、いいえ……! お会いしとうございました、紫京さま……ぁ、……」
触れるだけの口付けに耐えきれず、くしゃりと両手を髪に絡ませねだると望み通りの深い口付けにとろりと金の眼が潤む。
「ん、ふ……紫京さま、わたくし……、……」
「話があると聞いているが?」
「……? ……ぅ、どうしましょう、お会いしたいと思うばかりで、何も……」
「そうか」
「うあ」
首筋を舐められてふるりと震える身体に添えられる手は強く、くらりと蕩けた心地に陥る。整った杯の髪を乱しふわりと心地の良い香りが舞い、這う舌の熱さにふるりと身体を震わした。
「願いがある」
「……?」
低い声に蕩けた眼を寄越せば、一抹の不安を滲ませた淡藤色の眼が見つめ。
「良いですよ、紫京さまの、願いなら」
言えば、一度強く抱きしめられ口づけを交わすとソファーへと倒れ込んだ。
杯が自室へ入ると座りもせずに待っていた宵ノ進がぱあっと明るい表情で駆け寄ってきたので受け止めると、そのまま腕の中に収まった。
「すまない、待たせた」
「いいえ、いいえ……! お会いしとうございました、紫京さま……ぁ、……」
触れるだけの口付けに耐えきれず、くしゃりと両手を髪に絡ませねだると望み通りの深い口付けにとろりと金の眼が潤む。
「ん、ふ……紫京さま、わたくし……、……」
「話があると聞いているが?」
「……? ……ぅ、どうしましょう、お会いしたいと思うばかりで、何も……」
「そうか」
「うあ」
首筋を舐められてふるりと震える身体に添えられる手は強く、くらりと蕩けた心地に陥る。整った杯の髪を乱しふわりと心地の良い香りが舞い、這う舌の熱さにふるりと身体を震わした。
「願いがある」
「……?」
低い声に蕩けた眼を寄越せば、一抹の不安を滲ませた淡藤色の眼が見つめ。
「良いですよ、紫京さまの、願いなら」
言えば、一度強く抱きしめられ口づけを交わすとソファーへと倒れ込んだ。