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ヒロインに憧れてるけど目立つのは嫌い【HQ】
夢主設定
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痛いなぁ
手を見るとやっぱり擦りむいて出血してる
このままにしとくと、人の目に入ったら気分が悪くなるだろうし絆創膏をしておいた方がいい
それに、水に触る事が多いマネージャーだから、特に直接当たると仕事に支障が出るだろう
近くにあった水道で、軽く洗い流す
水にしみて痛いがしょうがない。
消毒液は、体育館の中に行けば救急箱があるからその中にあるはずだけど
他の選手とか、谷地さんにバレたら後々大変になりそうだから仕方なくジャージのポケットの中に入れておいた絆創膏を取り出す
小さいのと大きいの
サイズが違うのを2枚ずつ用意しておいて良かった。
この絆創膏、選手に何かあったらって時用に持ってきてたのに自分が使うとは思ってなかったや
片手で貼るのは、思ったより難しかったけど問題なく貼れた。
もうこんな時間か。
そろそろ清水さん達が買い出しから戻ってくる頃かな
その前に早くタオルとビブスを回収しないと
腕時計を見ながらこれからの事を頭の中でしっかりと考える。
第2体育館に行けば由佳がいるだろうな。
顔は会わせたくないけど、今会わせなくても明日も明後日も嫌という程会わせるんだからどっちみち同じ事
普通にしてれば大丈夫
笑えれば大丈夫
何も知らないマネージャーで居続ければいい。
***
谷地side.
自主練が始まって、私と田口さん、夢主先輩以外の3人が買い出しに行って早40分。
夢主先輩の負担を少しでも減らせるように第3体育館から第2体育館の順でタオルとビブスを回収していた。
先輩も回収してるだろうから、合流して一緒に運ぼうと第2体育館で待っていても一向に来ない
夢主先輩だけじゃない
見ると田口さんもいなかった。
谷地「日向、夢主先輩達見なかった?」
日向「橘先輩?見てないけど」
谷地「そっか…。邪魔してごめんね!」
第2体育館で自主練していた日向に聞いても、他の選手達のプレーを見るのに集中していて気づいてなかったみたい
何処にいるんだろう
他に違う仕事とかしてたりするのかな
でもこんな中途半端な事は絶対に先輩はしない
あれやこれやと脳内で妄想して首を振った。
ふと誰かが体育館の中に入ってきて自然と目線はそちらに向かう
田口さんだ
今まで何してたんだろう。
何も持ってないみたいだけど
谷地「あのっ、田口さん!夢主先輩知りません、か…?」
田口さんなら、先輩の事知ってるんじゃないかと思って聞いてみた。
でも先輩の名前を出した瞬間、目付きが鋭くなったような気がして…。
由佳「夢主?…確かに見ないなあ〜、ごめんね由佳分かんないや」
申し訳なさそうに眉を下げる田口さん。
あれは私の見間違いだったのかな
村人Bの私にも優しい田口さんが、あんな冷たい目をするはずない
だからきっと見間違いだったんだ。
先輩がどこに行ったのか分からないけど時間も迫ってきてたから、とりあえず洗濯カゴを運ぼうと体育館から出た
外はもう薄暗くなってきていて、夕食を作る時間になりつつある
『…谷地さんっ』
谷地「は、はひっ…!?」
薄暗い中洗濯機までの道のりを歩いていると後ろから聞き覚えのある声が。
『私の仕事なのに谷地さんにさせちゃってごめんねッ!』
呼吸が乱れてるから、走って来てくれたんだ
手には洗濯カゴが2つ
第3体育館の分もまとめて持っている
「このくらい平気ですよ!寧ろ先輩の役に立てて村人Bの私は感激です!」
本音を言っただけなのに、夢主先輩はごめんって何度も謝る
谷地「あ!先輩、ジャージ汚れてますけど転んだんですか!?」
話題を変えようと何かないかと思考をめぐらせてるとジャージに目が着く
烏野のジャージは黒いからあまり目立たないけど隣を歩いてる私にはすぐに分かった
『…うん。暗くなってきてたから、躓いちゃって』
『あの時も、何もない所で転けちゃったしね』と笑う
笑ってたけど
その笑顔が、どこか悲しそうなのは気の所為なんかじゃない気がした。