教室のドアを開けた瞬間、音に反応して一斉に動く人間の目





昨日より確実に見られている
皆私を見ている、目を見開いて。
中には二度見する人も。










私はこれが小さい頃から好きじゃなかった






他人の事で盛り上がるのはいいけど、自分の事で盛り上がられるのは嫌い












なんでって？

そりゃあ、目立つから。













それだけ。









「「…………」」












私の変わりように驚きが隠せていないのか、騒がしかった教室は一斉に静寂に包まれた。









気まずい
私が入ってきた瞬間これだもんな。













私は自分の席について、平然を装いつつ昨日と同じように荷物の整理を始めた








誰も私に近付かない
誰も私に話しかけない










でも視線だけはずっと感じる
嫌いで大嫌いな視線だけが。










斜め後ろからも見られてる

由佳とか時枝グループの奴だよね。






この際注目されてるのはもう仕方ないけど、私が一番この姿を見せつけたいのはアイツらだ











毎日の日課のように私の事を「ブスで可哀想」みたいな同情の目で見てきて、面白がるように集団で悪口を言う








その行動に、その言葉に
どれだけ私はイラついただろう











由佳よりも、アイツらよりも可愛くなって見返したい















そう決めてから結構な時間を使ってきた。














今日というこの日が、私にとって人生で一番変われる日で未来が動く日























「！…橘さん、っはよー！連絡先教えてくれる気になったー？」












私が入ってきたドアから隣のクラスから戻ってきたであろう園田くんは入ってくるなり私を見つけて寄ってきた








私今、結構大事なこと考えてたのに…。







よくこんな空気の中、普通に話し掛けに来れるな。私の事でこうなってるのに






しかも皆が注目してる時に連絡先の事言わないで。お願いだから










そんなこと言ったら、










「連絡先？」

「園田くんが橘さんの連絡先を知りたいってこと？」

「じゃあ園田くんってもしかして…」

「え、どういう事」










園田くんを狙ってる女子が反応しだすでしょう！？