止まり木はいずこ?
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青空にほんのりオレンジ色が混ざってきた頃。
肝試しの言い出しっぺである彼女を先頭に、仄暗い森を歩く。
「風が気持ちいいね〜」
『えー?ちょっと肌寒くない?』
「雰囲気あるね〜〜!!いいじゃん!」
「暗すぎるよ、、、転びそ」
みな好き勝手言いながら歩いていく。
「なんでもここをまっすぐ行くと、ちょっと開けたとこに出てー、そこに狛犬っぽい石像が2つあるらしいんだけどね?
、、、夕方くらいになると目が光ったり、首が動いた!なんて人もいるんだってー!!」
「わーこわーい」
「へー、狛犬か」
『かわいいかな?』
「苔だらけだったりしてー」
「首がないとかあるとかなんとか、、、」
「首無狛犬は怖いな」
「首?人の生首ってこと?!」
『ちゃうちゃう、狛犬の首があるかないかだよ』
「そっか、びっくりした」
ざく、ざく
みんなで歩いていく。
「その狛犬の写真とかないのー?」
「あるよー」
そう言ってみんなが見ると、普通の狛犬の画像だった。
「普通じゃーん」
『えー?昼間の写真ー?』
「昼間しかなかったんだよ〜!」
「夜撮ろうとした人は何かあったりして、、、」
「きゃーやめてよーもう」
そんな軽口を叩いていると、草陰から音が聞こえる。
ガサッ
「ひっ」
「ひぇ、、、」
『おわっ』
「わぁぁぁ!!??」
皆で寄り、かたまりになる。
「「「、、、」」」
しばしの沈黙、
「ねぇ、」
「「『わあ!』」」
「わたしだよ、みんな驚きすぎ。早く行こ?」
「う、うん、そだね」
「行こ行こ!」
みな小走りで進む。
、、、私の足に何かが引っかかり、つんのめった。
『おわっ!!!』
「きゃぁ!!!」
「うあああ!!」
「ひぁっ!」
『ご、ごめん、木の根っこにつまづいちゃった』
「、、、もー!!!びっくりさせないでよー!」
「ビックリした、、、」
「大丈夫?」
『うん、大丈夫』
そんなことがありながらも歩いて行くと、少し開けたところに出る、、、。
「ここが、、、」
「うわぁ、まだ明るいからいいけど、夜に懐中電灯とかで照らすとやばそう」
「、、、ちょっとかわいい。」
「正気?」
『SANチェックのお時間です』
「いーやーだー」
近くで狛犬を見ると、目がガラス細工になっている。
首はもちろんあり、苔が生えている様子はない。
素人目にもわかるほど随分と古いもののようだ。しかし、誰かが掃除をしたのか随分と小綺麗ではあるが、、、
『目がガラスっぽいからこれが光って、動いたとか言われたんじゃない?』
「えー?そしたら首はー?」
「デマだよデマ」
「そっかー」
『逆に可哀想じゃろ、いきなり首取れるて』
そんなことを話しながら記念写真を撮ったり、うろちょろしたり、、、
空がオレンジ色に染まる頃、、、
「そろそろ帰ろっか」
「そうだね〜」
「えー、首、、、」
「諦め悪いな」
「ねーねー帰りに行こうって言ってた店行こう!今見たらあと2時間で閉店しちゃうわ!」
『えっ?やば、行こ行こ』
「そだね」
来た道を引き返す一行。
冬至はとっくに過ぎたとはいえ、やはり日が傾くのは早い。
だんだんと夜が近づいていた。
「来た時より暗いねー」
『スマホの電気つける?』
「えーいいよー充電切れちゃうよ?」
『大丈夫大丈夫、出かける時いつも充電器持ってるから。』
「まーでも付けなくっても大丈夫っしょ」
『ううんつけよ。それに私、来る時転んだし』
「あー、うーん、そうだね」
「もーほんと気をつけてよね、すっごくびっくりしたんだからー」
『ごめんごめん』
「笑ってる場合じゃない!もー」
「ふふふ」
「あはは」
笑いながら、来る時より和やかに帰る。
携帯のライトをつけ昼時のように先頭を歩いていた私は、和服の彼を思い出し振り返る。
ふと、なんとなくみんなの顔が見たくて
、、、置いてかれたくなくて。
もちろんみんなはいた。
狛犬はもう見えなかった。
、、、狛犬`は´いなかった。
みんなから離れた後ろに
影が”いた”。
私たちの影ではない。
意志を持ち動く、黒く濃い影がいた。
『、、、え、、、、、、』
「ん?どうかした?」
1人が振り返る。
(あっ、まずい!)
恐怖で喉が引き絞られ、声が出ない。
しかし
「んー?なんもないじゃん?」
「どしたの?」
みんなキョロキョロするが、アレが見えてはいないようだ。
『、、、ううん、ライトで出来たみんなの影にびっくりしちゃって』
「あー、確かに」
「もーなんだかんだいって一番怖がりだよね〜」
『あはは〜まあね〜、、、ほん怖とかつい見ちゃうけどね』
「わかる〜」
そんなことを話し、また前を向く。
心臓がうるさい。
涙目になる。
走り出してしまいたい。
前を向き、みんなの声を聞いていると勘違いじゃないか、見間違いじゃないかと思えてくる。
(、、、もう1回確認する?、、、いや、進もう。
みんなにもう待ちきれないとか言って小走りで競争にしてしまおう。)
そう提案しようとみんなを振り返ると、、、1番後ろの友人のすぐ隣を、影がついてきていた。
っひゅっ
喉が鳴る。
声が出ない。
涙目になる。
「、、、?優子ちゃん?どした?」
「大丈夫?」
皆口々に心配してくれる。
『、、、ねぇ!小走りで行かない?もう怖くってさ〜!店も早く行けば沢山品物見れるだろうし!』
なるべく。にこやかに。大丈夫。得意だから。
「えー?もう疲れたよー」
「でも確かにちょっと怖いよねー」
「それに肌寒い、、、」
「、、、行こっか」
「、、、そだね」
「競争だー!」
『うへへー私が1番やで!!
着いてこないとライトはおあずけやで〜』
みんなで早足になる。
『はっはっはー!私にちゃんと着いてきなよー!』
そうおどけてすすむ。
、、、足音が、余分に聞こえる気がする。
いや、、、やめて、、、みんなを連れてかないで、、、
やっぱりやめときゃよかったんだ、肝試しなんて、、、
「あんまり急ぐとまた転ぶよ〜」
お願いします、、、
もうこんな事しないから、、、
『もう気をつけてるから転ばないし大丈夫だよ〜』
足が恐怖でもつれる。
見逃して、、、お願い、、、
『それこそみんなはさっきの私みたいに転ばないようにね〜
ほら、狛犬見たやん?もしかしたら送り狼とかくるかもよ〜?』
「えー?送り狼ー?こわ」
「送り狼なら転んだらやばいな」
「ん?送り狼って?」
「それはね〜」
みんな早歩きで、さっきより明るめの声で、進んでゆく。
もう振り返らない。
森の出口はちかい。
もう少し
あとちょっと
、、、お願い、、、、、、
「もう少し」
