あれから一週間と二日経ち、ホグズミードへ行く日。

少しオシャレな服を着て、薄く化粧をし、鏡の前でくるりと回って、全体を確かめる。

『よし』

小さく、自分に言い聞かせるように呟いて部屋を出た。



『お待たせ』

「遅いよ！はやくはやく！！」

『そんなに急いでもホグズミードは逃げないよ』

「良いものはどんどん買われちゃうでしょ！」

我先にと走り出そうとする友人をなだめ、まずはヘアケアの店ね、と行き先を確認する。

「早く行きましょ！何としても新発売のトリートメントを手に入れないと､､､」

お母さんにも頼まれてるし、と、目をギラギラさせながら言う彼女はちょっとこわい。

『わかったから、走り出しちゃダメよ？』

「わかってるよー！さあ早く早く！！」




帰りの時間まで、めいっぱい楽しんだ彼女は満足気で、私もなんだかんだ言って楽しかったと、しみじみ思う。
バタービールも美味しかったし、と、思い出しながら廊下を歩いていると、

ばったりと、想い人に会ってしまった。

『あ､､､こんにちはクィレル先生。』

「や、やあこんにちは。ほ、ホグズミード帰りかい？」

「クィレル先生こんにちはー！
そうですよ！！あ、先生！百味ビーンズひとつどうですか？」

「い、いや、私は遠慮しておくよ、あまり良い記憶はないのでね」

そう苦笑いするクィレル先生は、行ったテンションそのままに言う彼女に少し引き気味なようだ。

『もうそろそろ落ち着いて。そのままで夕食を食べるつもり？』

「だってー」

と、会話する私達を見つめる先生。
まだ何か用事があるのかな？と、思っていると、意を決したように、

「m､Missセレスティア、疲れているところ申し訳ないが、夕食の後私の部屋まで来てくれないだろうか？」

意外なお誘いに、胸が高鳴る。
ワンテンポ遅れながらも、

『大丈夫です。わかりました。』

と、返事をすると安心したように、

「あ、ありがとう、へ、部屋まで気を付けて戻りなさい」

と、言って去って行った。

『何やらかしたのー？』

「うーん、覚えはないし、説教するような感じじゃなかったけど､､､」

むしろ､､､と、あの手紙を思い出す。
まさかね、と思い直しながらも期待に胸踊らせてしまうのだった。