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アニメの裏話

未央「………ん……って、え?しぶりん?」

凛「何してるの、こんなところで」

未央「…何、って…ええと、ショッピング?」

凛「……の割には何も買ってないように見受けられるけど、そこんとこはどうなの」

未央「ウッ、こ、高校一年の懐具合は、しぶりんのよく知るところだと思うけど…」

凛「ああ、ウィンドウってこと。こんな時間まで……いや、から、なの?」

未央「から、かな。今、劇のレッスン終わりで、ちょっと寄り道をしたくなっちゃってさ。そういうしぶりんは?」

凛「……トラプリのラジオのレコーディング終わり。ついでにって買い物に来たんだ。スタジオと練習場所、近かったみたいだね」

未央「だねー。アイドルがショッピングモールで偶然ばったりだなんて、なかなか珍しいこともあるもんですなぁ」

凛「うん。それも未央とってなると、もっと珍しいかも。…ああ、そっか、久しぶり…になるのかな」

未央「いち、にい…三日ぶり?うん、今まで毎日顔付き合わせてたこと考えると、十分久しぶりになるかも。久しぶり、しぶりん!」

凛「あんまり違和感感じないな。なんか、未央とは一ヶ月離れてても、前の日会ってたみたいに振る舞えそう」

未央「そんな長く離れてからの再開じゃ、私寂しくて飛び付いちゃうと思うよ?こう、えいやーって。ふふふ、果たしてそれでも普通に振る舞えるかな……?」

凛「なんで挑戦ぎみなのさ…てか、そんなホイホイ抱きつくものでもないでしょ」

未央「ええ?ボディランゲージって、言葉の過程すっ飛ばして気持ちを伝えられる素晴らしい物だと思うけどなぁ…」

凛「そういうことじゃなくて……はぁ。まあいいや、それじゃあ私買い物行くから。じゃあね」ヒラヒラ

未央「え、あ、……」

未央「……ううん待って、やっぱ私もついてく、付いていきたい。しぶりん、いい?」

凛「へ………?特に何もないけど、それでいいなら」

未央「うん、全然いいよ!むしろ何もない方が気も楽だし」

凛「変な未央」

未央「うぐっ、酷いよー、ストレートすぎるよ」

凛「…まあ、一人よりは二人の方が退屈しないし、いいけどさ」

未央「おっ!しぶりんのデレだ!」

凛「え?いや、別にそんなつもりは…」

未央「素直に未央ちゃんが来てくれて嬉しいって言えばいいのに~誤魔化さなくてもいいんだゾ?うりうり」ツンツン

凛「じゃあ未央また今度ね。今日は話せて楽しかったよ」スタスタ

未央「待ってだから一緒に行こう!ごめんってば!」ワタワタ

凛「ふざけるのも大概にしなよ?まったく」

未央「はーいはーい」

凛「はいは1回」

未央「はーい、凛お母さん」

凛「……未央の母親になった覚えはないんだけど」

未央「何か言ってることお母さんみたいだし」

凛「なっ」

未央「凛お母さん凛お母さん!」

凛「だから違うってば!……もぅ、随分話を聞かない子供だね」

未央「へっへ、子供らしいでしょ?おかーさん、お小遣いちょーだいな!」

凛「……みりあから貰った子供銀行券でいいならあげるよ」ポン

未央「わーいって違う!それじゃ買い物はちょっと辛い!というか結構懐かしい響きだね、子供銀行券。昔よく使ったなぁ。一枚で百万円、とか」

凛「うん、莉嘉と小梅と遊んでたみたいで。クローネ頑張っててえらいからあげるー、って貰っちゃった。本物じゃなくてって謝られもしたけど」

未央「へー、どんな遊びしてたんだろ?」

凛「部屋のものに値段付けだって。きらりの蘭子の蹄鉄は500万、うさぎクッションは1億…みたいな」

未央「高っ!セレブでもそんな買い物しないよ!多分」

凛「うん、金銭感覚おかしくなりそうだった。こういうの、小さい頃家にあったけど、何処にやっちゃったか思い出せないや」

未央「あー、分かる分かる。うちはお兄ちゃんのお下がり使ってたけど……最後に見たの、何時だっけなー…」

凛「あ、そっか、未央って…お兄さん、いるんだっけ」

未央「いるよー、と言っても、大学寮に入ってるから、ここ暫くは会ってないけどね。弟とは家に帰れば顔付き合わせるけど」

凛「兄弟って、どんな感じ?」

未央「どんな?」

凛「えっと…やっぱ、楽しいのかなって」

未央「うーむ、少なくともうざったいと楽しいが1:1……時折変動ありって感じかなぁ。兄貴は横暴だし弟はワガママだし…そうそう!昨日だって勝手に私の部屋から漫画持ってくんだよ!……って、何さしぶりーん、その顔」

凛「あはは。なんか、楽しそうだなって」

未央「むむ……私からしたらしぶりんの方が羨ましいよ!一人っ子!自由満喫しまくりじゃん」

凛「そう?…そうでもないよ。逆に親の目は全部私一人に向くわけだから、よく怒られたし。両親が忙しければ、部屋での遊び相手もいなかったしね。公園とかで仲良くしてる姉妹とか兄弟みると、羨ましかったのは覚えてる」

未央「あー、そっかあ。私なんか、一人で居たいときに限って無駄に絡まれたりするから、もう一人っ子になりたーい!って小学校の頃はずっと思ってたよ。しぶりん、私の弟いる?」

凛「お菓子分ける感覚で言われても…。流石に要らないかな。でも、未央の弟はちょっと見てみたいかも」

未央「えー?何も面白くないよ?多分」

凛「別にお笑い要素は求めてないって。普通に気になるだけだよ」

未央「そう?じゃあ、今度うちに遊びにおいでよ!とはいえちょっと遠いから、そうだなぁ…お泊まりなんかにしてもいいかも!…泊まらせる部屋があるかどうか、微妙だけどね…」

凛「ふふ、少なくとも……冬の舞踏会が片付いたら、かな。じゃあ、楽しみにしてるよ」

未央「するほどかどうかはともかく、未央ちゃんにまっかせなさい!ちょちょいのちょい、ですよ~!」クルクル

凛「はいはい、無意味に回らない。目を回すよ」

未央「これでも体幹はいいんだ、くるくるくるくる、よっと、ほら!」スタッ

凛「全然ふらついてない……スゴいね、未央」

未央「むっふふ…おっと」ヨロ

凛「わっ…もう、ダメじゃん」

未央「たはは…ちょーっと油断しただけだから!普段はできるんだよ!?」

凛「どうとでも言えるよ、そんなの。ほら、真っ直ぐ歩きなって」

未央「はぁーい。…ねえねえしぶりん」

凛「何?」

未央「収録って言ってたけどさ。トライアドの調子はどうだい?」

凛「調子?そう、だね……うーん、まあ、悪くない、ん……じゃないかな?ライブも上手くいったし、……まあ、比較対象が少ないから、なんとも言えないけど」

凛「加蓮と奈緒も面白いし。あの二人、ボケとツッコミみたいで見てて飽きないんだ」

未央「へー。私が会ったときの印象だと、奈緒ちゃんがツッコミで加蓮ちゃんがボケ、って感じだったけど、合ってる?」

凛「うん。いじられるツッコミと強気なボケ、って感じ。あれで年上って、信じられないかも」

未央「そういえば、奈緒ちゃんが私達より学年一個上なんだよね。杏ちゃんと別ベクトルで、年上にカウントしづらい子だのう」

凛「そうそう、今日も、収録の後、加蓮があんまりにも年上扱いしないから、奈緒が怒っちゃってさ。じゃあってことで加蓮と二人で先輩、って呼び続けてたら、先に照れた奈緒がギブアップ」

未央「なにそれすっごい可愛い!なおちーって呼びたい!」

凛「呼んであげたら?きっと真っ赤になって照れるよ」

未央「うむうむ。部外者の私ですら容易に想像付いちゃうの、スゴいよねえ」

凛「………うん」ピク

未央「?」

凛「……ん……いや……」

未央「………、あ、部外者、って呼び方……嫌だった?」

凛「……その、うん。そうなんだけど、その通りなんだけどさ、なんか、突き放してるみたいで……ちょっと、嫌だ」

未央「む………しぶりんはムズカシーお年頃だなぁ」

凛「……同い年でしょ」

未央「誕生日迎えたんだから、もう、しぶりんの方がいっこ上だよ?」

凛「う。揚げ足とらないでよ……」

未央「まーまー。冬の舞踏会の頃には、私もしぶりんにおっつくよ。いいモノ、期待してるから!へっへっへー、未央ちゃんは安い女じゃ無いですぜぇ?」

凛「そこで真っ先にプレゼントなの、未央らしいよね」

未央「おおう?遠回しに未央ちゃんバカにしてないかね?」

凛「……そんなこと全然ないよ?多分」

未央「多分って何ー!?……もう」

凛「………」

未央「………」

凛「………未央、その」

未央「うん、分かってる。私の言葉が悪かった、な……クローネの皆もCPの皆と仲良くなってるみたいだし、部外者ではないよね、きっと。じゃあ、何がいいんだろう?」

凛「……うん。それなんだけど、その、私達の、さ。バックダンサーしたときのヤツ、覚えてる?」

未央「ん?美嘉ねえのヤツでしょ?そりゃ勿論」

凛「あの時……茜とか、美穂とかが教えてくれたじゃん。掛け声」

未央「うん、フライドチキン、ね!」

凛「今回、私たちが行くとき、それを教えてくれたのは未央だったでしょ」

未央「あー、あれは……その、緊張を解そうと……多少は先輩らしいことをしてあげようと」

凛「うん。だから、私達ニュージェネにとっての茜達がそうであったように、未央は二人の先輩、ってことでいいんだよ。部署が違ったってさ」

未央「……あ、そりゃそうだ。全然気づかなかった……なーんか、疲れてるなぁ、私」ポリポリ

凛「ううん、意識しないと忘れるよ。……いつの間にか、気が付いたら先輩だね、私達」

未央「うーん、まだまだデビューしたての気分だなぁ…半年を早いと見るか遅いと見るか、きっと人それぞれなんだろうね。みくにゃんとかは遅い!って言いそうだし、みなみんなんかは早いって言いそうだし」

凛「まあ、私やアーニャは不思議な立ち位置になっちゃうんだろうけどさ。後輩の立場だけど、先輩でもある」

未央「同級生であり後輩?……って、それじゃあ私が留年してるみたい?」

凛「ダメだよ未央、勉強はサボっちゃ」

未央「してもないのに怒られた!ガーン!これでも未央ちゃん結構真面目なんだよ!」

凛「知ってるよ、それくらい。……。ありがと、先輩。色々とね」

未央「?……何を言うか。トーゼンのことをしたまでですよー、後輩クン!…なんてね?」

凛「ふふ」

未央「あははっ」



未央「そういやしぶりんの買い物の行き先を聞いてなかったなー」

凛「え?ハナコの餌だよ。そこのペットショップ、二日限りで安いんだ。チラシ入ってて」

未央「へーって目の前に!?いつの間に歩いてきてたんだ……」

凛「そりゃこんだけ喋ってればね。じゃあ、ちゃちゃっと買って帰ろうか」

未央「うん……あ、しぶりん!あそこのペットコーナー見てきていい!?あの子犬、すっごい可愛い!」

凛「え?ああ、いいけど……」

未央「いってきますっ!」タッタッ

凛「…早い。まったく、どっちが子犬なんだか…」



未央「………………」ジーッ

いぬ「……………?」

未央「ぬおお……なんという可愛さ……何時間でも居られちゃうよ……恐るべきペットショップ……!」ブツブツ

凛「何ぶつぶついってるの?」

未央「そこに見えるはしぶりん。お買い物終わったの?」

凛「うん。餌だけだから。それじゃあ、行こうか」

未央「はーい。ばいばいわんころ、いい人に飼われるんだよー」

いぬ「わふ」

凛「余計なお世話だってさ」

未央「もっと優しい通訳してよ……」

凛「ねえ、何で私のこと見捨てるの……飼ってくれないの?……だって」

未央「夢に出そうな通訳も止めてください」


凛「うん、買い忘れもない」

未央「なんか持とうか?」

凛「平気。よいしょっと……」ガサ

未央「ちぇー、もうしぶりんとのショッピングデートもお仕舞いかぁ。もう少し話したかったなぁ」チラ

凛「………んー」

未央「し、渋谷さん?今のはその、デートじゃないでしょー、とか、ツッコむところじゃないかなー、なんて……しぶりん?」

凛「……未央、まだ時間平気?」

未央「んん?そりゃまあ。どうかした?」

凛「後、お金。どれくらいある」

未央「うぇ!?い、いきなり金の話とは…しぶりんヤンキーに転職?私、カモ?くぁくぁー?」

凛「いいから、どうなの?」

未央「流された!えっと……。……1000、かな。手持ちは、電車賃抜いてもそれくらいになるけど」

凛「……。私、さ。秋のライブ終わってから、全然卯月に会えてないんだ」

未央「あー…私も。偶然だとは思うんだけど……しまむーとはすれ違うぐらいだなぁ。それすらも殆ど無いし」

凛「今日も、こうして会えたのは未央だけだし。今はニュージェネの予定も特に無いし、未央とも、次にいつ会えるかは分かんない、だから……」

未央「二人でしまむーに何かプレゼント?ふふふー、しぶりんなかなか良いことを思い付くねぇ」

凛「……うん。私もそれくらいしか持ってないから。もう……別に、嫌ならいいけど」

未央「嫌って言うと思う?」

凛「……ううん」

未央「分かってるじゃーん。そうすれば、プレゼント渡すってことで予定も会わせられるしね!何もないよりいいよ」ナデナデ

凛「うー…もう、くすぐったいなぁ!……だからさ、卯月のプレゼント探しながら、未央の話、聞かせてよ」

未央「……私の?」

凛「だって、私にだけトライアドの話させて、自分は逃れようってのはズルいでしょ……って、何?その予想外みたいな顔」

未央「……いやぁ、さっさ出会った側から帰ろうとしてたしぶりんから出たとは思えない台詞に、驚きを隠せないだけですとも」

凛「それは……!……悪かったってば」

未央「およ、これまた予想外」

凛「……未央に引き留められて、ちょっと、色々急ぎすぎてた気がしたから。明日も忙しいだろうけど、今くらい、ゆっくりして良いかなって」

未央「……うん、うん。そうだねっ!それじゃあ早速、私の武勇伝を交えつつ、劇の練習をする中でのいろーんなエピソードを、お話しようじゃあーりませんかぁ~」

凛「武勇伝?…さっき転びかけた未央の言葉じゃ、信憑性は薄いかも」クス

未央「もー酷いなぁ。まあ私だって、しぶりんとお話ししたいから呼び止めた訳だしねー。精一杯、話させて貰うよ」

凛「……ああ、そういえば」

未央「ん?」

凛「いや……卯月と、話してないの…電話もしてないなぁって。最近」

未央「……そういえば、そうだなぁ。まあ、プレゼント渡すときでも、別の機会でもいいけど、しまむーとは改めて話した方がいいかもね。なんか……」

凛「うん、……でも、卯月だし平気だと思うけど。気のせいだと思うからさ」

未央「うん、そうだね。しまむーなら、大丈夫だよ、きっと!まあ、しぶりんもさ、もしあんまりにも会えないようなら、しまむーのこと気にかけてあげてね?私も気を付けるからさ」

凛「分かった。電話……よりは、直接会って確かめた方がいいよね。そうする」

未央「うむ!……さてさて、それじゃあ先ずは、茜ちんが土手を7時間走るかボイトレを10時間続けるか聞いてきた時の話する?あれはスゴかった!」

凛「……どうしてか他人事の気がしないよ……」

凛(卯月なら平気、しまむーなら大丈夫。そんな過剰とも言える私達の彼女への信頼)

未央(それは私達の視界を塞いで、お姫様のガラスの靴がボロボロな事に、結局気付かせてはくれなかった)

凛(…でも、決して気付けなかった訳じゃなくて、私達は確かにそれを感じ取っていて、でも)

未央(私達を救ってくれた彼女が、そんな脆い靴を履く筈が無いって――信じていたかったのかも、しれない)

凛(でも、私が信じることに焦りを感じはじめて、プロデューサーと共に卯月の元を訪ねるのは――もう、遠くない話)


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