お泊まりシリーズ
in駅前
未央「ごーいんごーいんふふんふふんふん♪」ルンタッター
卯月「あ、未央ちゃーん!遅れてごめん…って、なんだかいつもよりご機嫌ですね?」
未央「おー、しまむー!へっへー、そりゃそうでしょ!だってさ――」クルッ
凛「あ、二人とも来てたんだ」
未央「―――今日はしぶりんのお家に、お泊まりなのだから~!」
卯月「ふふ、なのだからー♪…凛ちゃん、宜しくお願いします!」
凛「……だから、そのさ、期待されても大したもてなしも出来ないからね?」
未央「ぜーんぜん、別にいいよ!私はしまむーとしぶりんと、しぶりんのお家で夜を明かせれば満足だからさ♪」
凛「それはそれで、満足が安いよ?」
未央「えー?じゃあ次はCPの皆で、合宿とかじゃないエンジョイ出来る旅行がいい!」
凛「ハードルが跳ね上がった…!」
卯月「それも楽しそうです!あ、凛ちゃん、でもですね、あんまり畏まられても、凛ちゃんも私達も疲れちゃいますし……こう、クラスの気の置けない子が遊びにきましたよー!みたいな感じに、振る舞ってくれれば」
凛「…私、そういう経験あんまり無いんだよね…あ、でも、未央はともかく、卯月は年上だからそんな風にはふるまえないかもしれないな」
未央「あっはは、しまむー残念!」
卯月「えっ、ええ!?」オロ
凛「こら未央、先輩だよ?」
未央「あ、すいません、島村センパイ!自分、きちんと敬意を払って接するっす!センパイ、自分、何をすればいいっすかっ?」ニヤニヤ
卯月「わぁぁ、いつもに戻ってください未央ちゃーん!」
凛「…ふふ、それじゃあ行こうか。家まで案内するよ、二人とも」
うづみお『はーい!』
凛「…別に、卯月だけ先に来てくれても良かったんだけど。私の家の場所、知ってるしさ」
卯月「大丈夫ですよ!だって、一人だけ先について待ってるのも寂しいですし、歩くことは苦じゃないですから」
未央「たはは、いやあ、お手数お掛けします…わざわざ駅まで迎えに来てもらっちゃって」
凛「気にすることないよ。…逆に、未央が家の場所知ってても怖いしね」
未央「……。実は…わたくし、ここ最近二人の後を付けてたりしたので…二人の事は何でも知ってるんです…!」キリッ
卯月「ええっ!?じゃ、じゃあもしかして一昨日のクレープ屋さんで私のこと見てたのは」
凛「もしもし警察ですか?」
未央「早い!早いよしぶりん!スマホ耳当てないで!冗談だってばー、そんなの知らないよぅ」
凛「はぁ、だろうね。卯月、その視線はたぶん気のせいか…きっとファンの人からだとおもうよ?」
卯月「うーん、それならいいんですけど…」
凛「…でも、もし、違うなって思ったり、まだ見られてるようなら相談して。頼りないかもしれないけど、力になるから」
卯月「……!は、はい!ありがとうございます!」
未央「あー!しぶりんが抜け駆けしてしまむーの好感度上げに来てるー」
凛「もう、人聞きが悪いな…」
卯月「こうかんど…?」ハテ?
未央「んん、じゃー私も!しまむー、私も頼りないかもだけどさ、何かあっても、一人で抱え込んじゃダメだからね?しぶりんも、だよ!まあ、私はこれでも…」
凛「…リーダーだから?」
未央「そうそ…って台詞取らないでよー!折角決めようと思ったのにさ…」ブー
凛「ふふ、茶化してごめん。頼りにしてるよ、リーダー」ポン
卯月「はい、頼らせてもらいますね!リーダー!」ニコー
未央「う…お、おうっ」
凛「なに?その返事」クス
卯月「未央ちゃん…もしかして照れてます?」
未央「照れてない!ぜんっぜん、照れてないから!」
凛「…にしても」
卯月「はい?」ニモツデカー
未央「ん?」ニモツチイサー
凛「一泊だけなのにここまで差が出るか…」
卯月「え?あ…その、気付いたら大きく…」
凛「ああ、うん、別に責めてるわけじゃないから。未央は最低限、って感じだね」
未央「あー、何回かお泊まりするとさ、毎回行っててもこれは使わないなーってヤツが出てくるんだな。だから、それを取り除いていけば、着替えとか櫛とかお風呂用品とかだけで、結構軽くなるんだ」
凛「へー」
未央「しぶりん絶対興味ない…っ」
凛「聞いてた聞いてた、未央がフランスのロンドンに渡米するんだよね?」
未央「何処に行くのか全然分かんないよ!?」
凛「じゃあ卯月は、未央の言うところのあまり使わないやつも持ってきてるのかな」
未央「…しっかり聞いてるし…」
卯月「うーん、私からすれば皆要るものだと思うんですけど…あ、でも、分からないのも幾つか一応持ってきました!」
未央「どんな?」
卯月「ええと…例えば、人生ゲームです!」
未央「え、ボードごと!?」
凛「…これはやらざるを得なさそうだね」
卯月「ちょっと大きいから迷ったんですけど、夜とかにできたらいいなって…」
未央「じゃあさ、今日は人生ゲームオールナイトしちゃおう!お泊まりの夜に易々と床につけると思わないでね、二人とも…今夜は寝かさないよっ!」ビシッ
卯月「お、おー!オールナイト、です!」
凛「いや、寝ようよ」
未央「えー?しぶりんノリ悪い……(ねえしまむー、分かってるよね?)」ヒソヒソ
卯月「あはは…(だ、大丈夫です!頑張ります!)」ヒソヒソ
凛「…?」
卯月「あ、見えてきましたー!」
未央「え!どこどこ?……って、あ、ここか。フラワーショップ、シブヤ!」
凛「ん。…お母さーん!二人、連れてきたよ」
未央(わ、お花一杯だ…!)キラキラ
卯月(ちゃんと来るの、久しぶりだなぁ…)
凛母「あら、いらっしゃい。狭くて何もない家だけど、くつろいでいってね?卯月ちゃん、未央ちゃん」
卯月「はい!わざわざありがとうございます…あ、凛ちゃんにはいつもお世話になっていて…」
未央「!あ、ホント、し…凛ちゃんには、迷惑かけっぱなしで…その」
凛母「ふふ、いいのよ。この子、あんまり人と深く関わろうとしないところがあるから。ちょっと迷惑かけられる位のほうが、きっと凛としても嬉しいはずよ」
凛「お、お母さん!その、もう、いいから」
未央「ふむー?」ニヤニヤ
卯月「そうなんですか?凛ちゃん!」キラキラ
凛「…こうやって、調子乗るから…っ!主に未央が…!」
未央「む、人聞きの悪い…」
凛母「はいはい、あんまり友達を悪く言わないの。それじゃあ凛、お母さんそろそろ出るわね。悪いけど店番お願い」
凛「……はぁ。ん、分かった」
卯月「あ、あの!良ければお店番、お手伝いさせて欲しいんですけど…大丈夫でしょうか?」
未央「あ、私も!」
凛母「あら。アイドルが三人も店番してくれるなんて贅沢ね?助かるわ…じゃあ、お願いしちゃう。凛、エプロン、奥のロッカーから出してあげて!」
凛「分かった。……二人とも、先に荷物おいてきなよ。私の部屋、そこの奥の階段登った、左の部屋だからさ」
未央「ほいさっさー!」タッタッ
卯月「はい、分かりました!…お邪魔します!」テクテク
凛母「じゃ、早めに帰るわね。…二人ともいい子じゃない。アイドル関係なく、仲良くしなさいよ?」
凛「…言われなくても、そのつもりだよ。いってらっしゃい」
未央「おおー…ここが」
卯月「凛ちゃんの部屋…」
未央「予想通りと言うか…さっぱりしてるねえ。小物も少ないしさ」
卯月「お部屋もクールな感じですね!それに片付いてる…流石凛ちゃん…」
未央「というか…青好きなんだなあ、しぶりん。青色一杯だ…。…良かった」
卯月「…ふふ。未央ちゃん、最後まで悩んでましたもんね!」
未央「しぶりんだからこそピンクもありかなって思ったんだけど…あ!ねえねえ、しまむー…」
凛『二人ともー!部屋分かったー?』
未央「――あ、うん!置いたから、今戻るねー!」
卯月「…後にしましょっか♪」
未央「だね!」
卯月「わぁ、エプロンだー!」
凛「何に喜んでるの…?えっと、サイズは平気だと思うけど…」
未央「うーむ、これは人生初のバイトにカウントされるのかな…ねえねえしまむー、どうかな?似合ってる?」クルーン
卯月「とっても似合ってますよ、未央ちゃん!」
凛「給料は出ないし、結び目はよれよれだけどね。似合ってるけど。…結んであげるから、止まって?未央」
未央「てへ。…あっちゃー、ダメだったか。片手だけで結べるかチャレンジしたんだけどねー」
凛「何でそんなことしてるのさ…卯月、取り合えずレジに立ってて貰ってもいいかな。まあそんなにお客さんは来ないと思うし、大きな注文はお母さんが帰ってきてからになるんだけど…まあ、どっかの誰かみたいに、小さなお花を買いに来る人もいるからさ」キュッキュッ
卯月「あ、分かりました!…ん?どっかの誰かって…」
凛「はい、出来たよ」
未央「おおー、ありがとしぶりん!…んで、私は何をすればよいのかな?」
凛「そう、だね…未央、外の花の水やりでもしようか。そこの端にあるホース、水道と繋がってるから、持ってって」
未央「了解!んー、にしてもいい香りですなぁ!毎日お花に囲まれてるしぶりんが羨ましいやー」
凛「隣の芝生は青い、ってやつだと思うけどね。それなりに色々大変だよ、やっぱり…」
卯月「――あ、いらっしゃいませ!」
未央「へ?っと、い、いらっしゃいませ!」
凛「…いらっしゃいませ」
「あ、こんにちは。………」
凛「………」
卯月「……ん?……!」ハッ
未央「……」ソワ
未央(ねえしぶりん、これ、なにか声かけた方がいいの…?)ヒソ
卯月(り、凛ちゃん私レジ打ち出来ませんよ!?)ヒソ
凛(卯月は後であのお姉さんが会計するようだったら代わるから。後、服屋さんとかじゃないから、あまり過干渉だと悪い印象を与えることにも繋がるんだ。未央はさっきいった通りで、お願い)ヒソ
卯月「はいっ」
未央「りょ、了解……」ソソクサ
「んー、小鳥さんはお任せでいいって言うけど…そんなの言われてもなぁ…はぁ、こんな帰り道で見つかるなら、誰か誘ってくれば良かったよ…わ、この花ちょーっとお高めだ…」
凛(仕事終わったら、二人と何しようかな…)
「――あ、あの、すみません店員さ……っとうわぁっ!」ドンガラガッシャーン
凛「?はい……ってちょっとっ!?」
卯月「わわわ!だ、大丈夫ですか!?」
未央「え……?あ、しぶりん棚の花!落ちるっ!」
凛「え、あ――っと!」キャッチ
凛「……ふぅ」ホッ
「す、すいません…!ドジっちゃって…えへへ…って、ああああの!売り物のお花、大丈夫ですかっ!?」ワタワタ
凛「えーと、…はい。大丈夫…問題ないです」
卯月「あ、あの、立てますか…?」サシノベ
未央「えっと、絆創膏とかとってきた方がいいかな?」
「あ、大丈夫です!慣れっこなんで…全然怪我もしてませんし。ホントすみません、ご迷惑を」
凛「いえ、こちらも被害はないので、平気ですよ。ええと…それより、何か聞きたいことがあったんじゃ」
「あ、そうなんです!ええとですね、応接室に飾る、落ち着いたお花を買いにきたんですけど…2~3輪で。あまり、高くないのを!」
凛「はい。こちらで幾つか選んだ方がいいですか?」
「その、いいの選ぶ自信ないんで、全部、お願いしたいなー…なんて。あはは」
凛「分かりました。……。えっと、未央、卯月」
未央「ん?」
卯月「はい?」
凛「その…ここから向こうが比較的安価なお花があるからさ、……2~3輪、良さそうなの見繕って貰ってもいいかな?」
未央「う、うん!」
卯月「はいっ!分かりました!」バタバタ
凛「……ふぅ」
「ふふ、仲良しなんですね!」
凛「あ……どうも」
「あのお二人は、バイトさん……」
未央「しまむー、これどっちがいいかな?」
卯月「はわわ……えーとえーと……え、選べないです!」
未央「ちょっと!?」
「……じゃ、なさそうですね」
凛「ええと…はい。今日だけ臨時で。折角なんで、仕事させてあげたかったから…その、急いでたらすみません。私、選びますから」
「いえいえ、全然大丈夫です!…善澤さんなら待ってくれるだろうし…」
凛「?…あ、先に領収証書いておきますか?応接室…ですよね、確か。飾るの」
「あ、そうなんですよ!お願いします!ええと……宛先『765プロダクション』で!7、6、5、です!」
凛「はい。えーと、7、6……っと。よし」
未央「しぶりん!お花持ってき――」
凛「未央、静かにね?」
未央「――ましたっ」
凛「あー…ええと、それでいくらって書いてあった?」
未央「ん?190の130の100で~合計420だったよ!」
卯月「凛ちゃん、私も確認したけど合ってます」
凛「二人ともありがと。お花、これで大丈夫ですか?」
「はい!ありがとうございます!」
凛「切って包んで…………よし、どうぞ」
「わぁ、スッゴク綺麗…――ととと、お金、落としそうっ……わ、セーフっ」
凛「……はい、丁度いただきました。こちら、レシートと領収証です。…その、お気をつけて」
「わわ、どうもっ。…それじゃあ、ありがとうございました!」ペコ
凛「またのご来店、お待ちしてます」
うづみお『してまーす!』
卯月「………はへぇ……つかれましたー」ズルズル
未央「うーん、初めはまずまずってとこかな…?転んじゃったときはどうなるかと思ったけど、ベレー帽と眼鏡が似合ってるお客さんだったね、しまむー!」
卯月「はい…それになんだか、妙にシンパシーを感じるというか…不思議なお客さんでした」
凛「…………。ねえ、二人とも、765プロダクションって知ってる?」
未央「?えーと、それって765プロのことだよね?765っていったら、天下のアイドル事務所じゃん!」
卯月「星井美希さんとか、菊地真…ちゃんとか、我那覇響ちゃんとか…凛ちゃんも知ってるような人も、いるんじゃないですか?」
凛「そっか、あの有名な……って、あのはみ出てたリボン……。……イヤ、まさかね……」
卯月「……凛ちゃん?」
凛「ううん、何でもない。仕事、戻ろっか」
「…~♪おっはよーございまーす…って、あれ、もう帰ってたんだ!」
「…………あふぅ……zzz」
「あ、お早う春香、ボクらの方、予定より早く終わったんだ。今日も元気だね!」
「元気だけど、それに加えて、いつになくご機嫌、って感じさー。どうかしたのか?」
「あ、真、響ちゃん、あのね!このお花小鳥さんに言われて買ってきたんだけど、とっても綺麗で――……」
卯月「――またのご来店、お待ちしてます!…ふう」
未央「しぶりん、これ何処に置いておく?」
凛「あ、ごめん。花瓶は奥に戻しておいて…何だか、板についてきたね、二人とも」
未央「へへー、お店のバイトも、悪くないもんですなぁ!」
卯月「うーん、私はやっぱり疲れちゃうかも……でも、レジ打ちを修得できました!嬉しいです!」ムン
凛「…なら、よかった」クス
凛母「ただいま戻ったわ……あら、三人ともお疲れさま。頑張ってくれたのね」
凛「あ、お帰り、お母さん。売り上げここに書いておいたよ」
未央「お帰りなさいでーす!」
卯月「お疲れさまです!」
凛母「あら!もう、とっても助かったわ。それじゃあ店番代わるわね…あ、凛、冷蔵庫の方に三人のバイト代、入ってるから。仲良く食べなさい?」
凛「…?うん」
未央「ごーいんごーいんふふんふふんふん♪」ルンタッター
卯月「あ、未央ちゃーん!遅れてごめん…って、なんだかいつもよりご機嫌ですね?」
未央「おー、しまむー!へっへー、そりゃそうでしょ!だってさ――」クルッ
凛「あ、二人とも来てたんだ」
未央「―――今日はしぶりんのお家に、お泊まりなのだから~!」
卯月「ふふ、なのだからー♪…凛ちゃん、宜しくお願いします!」
凛「……だから、そのさ、期待されても大したもてなしも出来ないからね?」
未央「ぜーんぜん、別にいいよ!私はしまむーとしぶりんと、しぶりんのお家で夜を明かせれば満足だからさ♪」
凛「それはそれで、満足が安いよ?」
未央「えー?じゃあ次はCPの皆で、合宿とかじゃないエンジョイ出来る旅行がいい!」
凛「ハードルが跳ね上がった…!」
卯月「それも楽しそうです!あ、凛ちゃん、でもですね、あんまり畏まられても、凛ちゃんも私達も疲れちゃいますし……こう、クラスの気の置けない子が遊びにきましたよー!みたいな感じに、振る舞ってくれれば」
凛「…私、そういう経験あんまり無いんだよね…あ、でも、未央はともかく、卯月は年上だからそんな風にはふるまえないかもしれないな」
未央「あっはは、しまむー残念!」
卯月「えっ、ええ!?」オロ
凛「こら未央、先輩だよ?」
未央「あ、すいません、島村センパイ!自分、きちんと敬意を払って接するっす!センパイ、自分、何をすればいいっすかっ?」ニヤニヤ
卯月「わぁぁ、いつもに戻ってください未央ちゃーん!」
凛「…ふふ、それじゃあ行こうか。家まで案内するよ、二人とも」
うづみお『はーい!』
凛「…別に、卯月だけ先に来てくれても良かったんだけど。私の家の場所、知ってるしさ」
卯月「大丈夫ですよ!だって、一人だけ先について待ってるのも寂しいですし、歩くことは苦じゃないですから」
未央「たはは、いやあ、お手数お掛けします…わざわざ駅まで迎えに来てもらっちゃって」
凛「気にすることないよ。…逆に、未央が家の場所知ってても怖いしね」
未央「……。実は…わたくし、ここ最近二人の後を付けてたりしたので…二人の事は何でも知ってるんです…!」キリッ
卯月「ええっ!?じゃ、じゃあもしかして一昨日のクレープ屋さんで私のこと見てたのは」
凛「もしもし警察ですか?」
未央「早い!早いよしぶりん!スマホ耳当てないで!冗談だってばー、そんなの知らないよぅ」
凛「はぁ、だろうね。卯月、その視線はたぶん気のせいか…きっとファンの人からだとおもうよ?」
卯月「うーん、それならいいんですけど…」
凛「…でも、もし、違うなって思ったり、まだ見られてるようなら相談して。頼りないかもしれないけど、力になるから」
卯月「……!は、はい!ありがとうございます!」
未央「あー!しぶりんが抜け駆けしてしまむーの好感度上げに来てるー」
凛「もう、人聞きが悪いな…」
卯月「こうかんど…?」ハテ?
未央「んん、じゃー私も!しまむー、私も頼りないかもだけどさ、何かあっても、一人で抱え込んじゃダメだからね?しぶりんも、だよ!まあ、私はこれでも…」
凛「…リーダーだから?」
未央「そうそ…って台詞取らないでよー!折角決めようと思ったのにさ…」ブー
凛「ふふ、茶化してごめん。頼りにしてるよ、リーダー」ポン
卯月「はい、頼らせてもらいますね!リーダー!」ニコー
未央「う…お、おうっ」
凛「なに?その返事」クス
卯月「未央ちゃん…もしかして照れてます?」
未央「照れてない!ぜんっぜん、照れてないから!」
凛「…にしても」
卯月「はい?」ニモツデカー
未央「ん?」ニモツチイサー
凛「一泊だけなのにここまで差が出るか…」
卯月「え?あ…その、気付いたら大きく…」
凛「ああ、うん、別に責めてるわけじゃないから。未央は最低限、って感じだね」
未央「あー、何回かお泊まりするとさ、毎回行っててもこれは使わないなーってヤツが出てくるんだな。だから、それを取り除いていけば、着替えとか櫛とかお風呂用品とかだけで、結構軽くなるんだ」
凛「へー」
未央「しぶりん絶対興味ない…っ」
凛「聞いてた聞いてた、未央がフランスのロンドンに渡米するんだよね?」
未央「何処に行くのか全然分かんないよ!?」
凛「じゃあ卯月は、未央の言うところのあまり使わないやつも持ってきてるのかな」
未央「…しっかり聞いてるし…」
卯月「うーん、私からすれば皆要るものだと思うんですけど…あ、でも、分からないのも幾つか一応持ってきました!」
未央「どんな?」
卯月「ええと…例えば、人生ゲームです!」
未央「え、ボードごと!?」
凛「…これはやらざるを得なさそうだね」
卯月「ちょっと大きいから迷ったんですけど、夜とかにできたらいいなって…」
未央「じゃあさ、今日は人生ゲームオールナイトしちゃおう!お泊まりの夜に易々と床につけると思わないでね、二人とも…今夜は寝かさないよっ!」ビシッ
卯月「お、おー!オールナイト、です!」
凛「いや、寝ようよ」
未央「えー?しぶりんノリ悪い……(ねえしまむー、分かってるよね?)」ヒソヒソ
卯月「あはは…(だ、大丈夫です!頑張ります!)」ヒソヒソ
凛「…?」
卯月「あ、見えてきましたー!」
未央「え!どこどこ?……って、あ、ここか。フラワーショップ、シブヤ!」
凛「ん。…お母さーん!二人、連れてきたよ」
未央(わ、お花一杯だ…!)キラキラ
卯月(ちゃんと来るの、久しぶりだなぁ…)
凛母「あら、いらっしゃい。狭くて何もない家だけど、くつろいでいってね?卯月ちゃん、未央ちゃん」
卯月「はい!わざわざありがとうございます…あ、凛ちゃんにはいつもお世話になっていて…」
未央「!あ、ホント、し…凛ちゃんには、迷惑かけっぱなしで…その」
凛母「ふふ、いいのよ。この子、あんまり人と深く関わろうとしないところがあるから。ちょっと迷惑かけられる位のほうが、きっと凛としても嬉しいはずよ」
凛「お、お母さん!その、もう、いいから」
未央「ふむー?」ニヤニヤ
卯月「そうなんですか?凛ちゃん!」キラキラ
凛「…こうやって、調子乗るから…っ!主に未央が…!」
未央「む、人聞きの悪い…」
凛母「はいはい、あんまり友達を悪く言わないの。それじゃあ凛、お母さんそろそろ出るわね。悪いけど店番お願い」
凛「……はぁ。ん、分かった」
卯月「あ、あの!良ければお店番、お手伝いさせて欲しいんですけど…大丈夫でしょうか?」
未央「あ、私も!」
凛母「あら。アイドルが三人も店番してくれるなんて贅沢ね?助かるわ…じゃあ、お願いしちゃう。凛、エプロン、奥のロッカーから出してあげて!」
凛「分かった。……二人とも、先に荷物おいてきなよ。私の部屋、そこの奥の階段登った、左の部屋だからさ」
未央「ほいさっさー!」タッタッ
卯月「はい、分かりました!…お邪魔します!」テクテク
凛母「じゃ、早めに帰るわね。…二人ともいい子じゃない。アイドル関係なく、仲良くしなさいよ?」
凛「…言われなくても、そのつもりだよ。いってらっしゃい」
未央「おおー…ここが」
卯月「凛ちゃんの部屋…」
未央「予想通りと言うか…さっぱりしてるねえ。小物も少ないしさ」
卯月「お部屋もクールな感じですね!それに片付いてる…流石凛ちゃん…」
未央「というか…青好きなんだなあ、しぶりん。青色一杯だ…。…良かった」
卯月「…ふふ。未央ちゃん、最後まで悩んでましたもんね!」
未央「しぶりんだからこそピンクもありかなって思ったんだけど…あ!ねえねえ、しまむー…」
凛『二人ともー!部屋分かったー?』
未央「――あ、うん!置いたから、今戻るねー!」
卯月「…後にしましょっか♪」
未央「だね!」
卯月「わぁ、エプロンだー!」
凛「何に喜んでるの…?えっと、サイズは平気だと思うけど…」
未央「うーむ、これは人生初のバイトにカウントされるのかな…ねえねえしまむー、どうかな?似合ってる?」クルーン
卯月「とっても似合ってますよ、未央ちゃん!」
凛「給料は出ないし、結び目はよれよれだけどね。似合ってるけど。…結んであげるから、止まって?未央」
未央「てへ。…あっちゃー、ダメだったか。片手だけで結べるかチャレンジしたんだけどねー」
凛「何でそんなことしてるのさ…卯月、取り合えずレジに立ってて貰ってもいいかな。まあそんなにお客さんは来ないと思うし、大きな注文はお母さんが帰ってきてからになるんだけど…まあ、どっかの誰かみたいに、小さなお花を買いに来る人もいるからさ」キュッキュッ
卯月「あ、分かりました!…ん?どっかの誰かって…」
凛「はい、出来たよ」
未央「おおー、ありがとしぶりん!…んで、私は何をすればよいのかな?」
凛「そう、だね…未央、外の花の水やりでもしようか。そこの端にあるホース、水道と繋がってるから、持ってって」
未央「了解!んー、にしてもいい香りですなぁ!毎日お花に囲まれてるしぶりんが羨ましいやー」
凛「隣の芝生は青い、ってやつだと思うけどね。それなりに色々大変だよ、やっぱり…」
卯月「――あ、いらっしゃいませ!」
未央「へ?っと、い、いらっしゃいませ!」
凛「…いらっしゃいませ」
「あ、こんにちは。………」
凛「………」
卯月「……ん?……!」ハッ
未央「……」ソワ
未央(ねえしぶりん、これ、なにか声かけた方がいいの…?)ヒソ
卯月(り、凛ちゃん私レジ打ち出来ませんよ!?)ヒソ
凛(卯月は後であのお姉さんが会計するようだったら代わるから。後、服屋さんとかじゃないから、あまり過干渉だと悪い印象を与えることにも繋がるんだ。未央はさっきいった通りで、お願い)ヒソ
卯月「はいっ」
未央「りょ、了解……」ソソクサ
「んー、小鳥さんはお任せでいいって言うけど…そんなの言われてもなぁ…はぁ、こんな帰り道で見つかるなら、誰か誘ってくれば良かったよ…わ、この花ちょーっとお高めだ…」
凛(仕事終わったら、二人と何しようかな…)
「――あ、あの、すみません店員さ……っとうわぁっ!」ドンガラガッシャーン
凛「?はい……ってちょっとっ!?」
卯月「わわわ!だ、大丈夫ですか!?」
未央「え……?あ、しぶりん棚の花!落ちるっ!」
凛「え、あ――っと!」キャッチ
凛「……ふぅ」ホッ
「す、すいません…!ドジっちゃって…えへへ…って、ああああの!売り物のお花、大丈夫ですかっ!?」ワタワタ
凛「えーと、…はい。大丈夫…問題ないです」
卯月「あ、あの、立てますか…?」サシノベ
未央「えっと、絆創膏とかとってきた方がいいかな?」
「あ、大丈夫です!慣れっこなんで…全然怪我もしてませんし。ホントすみません、ご迷惑を」
凛「いえ、こちらも被害はないので、平気ですよ。ええと…それより、何か聞きたいことがあったんじゃ」
「あ、そうなんです!ええとですね、応接室に飾る、落ち着いたお花を買いにきたんですけど…2~3輪で。あまり、高くないのを!」
凛「はい。こちらで幾つか選んだ方がいいですか?」
「その、いいの選ぶ自信ないんで、全部、お願いしたいなー…なんて。あはは」
凛「分かりました。……。えっと、未央、卯月」
未央「ん?」
卯月「はい?」
凛「その…ここから向こうが比較的安価なお花があるからさ、……2~3輪、良さそうなの見繕って貰ってもいいかな?」
未央「う、うん!」
卯月「はいっ!分かりました!」バタバタ
凛「……ふぅ」
「ふふ、仲良しなんですね!」
凛「あ……どうも」
「あのお二人は、バイトさん……」
未央「しまむー、これどっちがいいかな?」
卯月「はわわ……えーとえーと……え、選べないです!」
未央「ちょっと!?」
「……じゃ、なさそうですね」
凛「ええと…はい。今日だけ臨時で。折角なんで、仕事させてあげたかったから…その、急いでたらすみません。私、選びますから」
「いえいえ、全然大丈夫です!…善澤さんなら待ってくれるだろうし…」
凛「?…あ、先に領収証書いておきますか?応接室…ですよね、確か。飾るの」
「あ、そうなんですよ!お願いします!ええと……宛先『765プロダクション』で!7、6、5、です!」
凛「はい。えーと、7、6……っと。よし」
未央「しぶりん!お花持ってき――」
凛「未央、静かにね?」
未央「――ましたっ」
凛「あー…ええと、それでいくらって書いてあった?」
未央「ん?190の130の100で~合計420だったよ!」
卯月「凛ちゃん、私も確認したけど合ってます」
凛「二人ともありがと。お花、これで大丈夫ですか?」
「はい!ありがとうございます!」
凛「切って包んで…………よし、どうぞ」
「わぁ、スッゴク綺麗…――ととと、お金、落としそうっ……わ、セーフっ」
凛「……はい、丁度いただきました。こちら、レシートと領収証です。…その、お気をつけて」
「わわ、どうもっ。…それじゃあ、ありがとうございました!」ペコ
凛「またのご来店、お待ちしてます」
うづみお『してまーす!』
卯月「………はへぇ……つかれましたー」ズルズル
未央「うーん、初めはまずまずってとこかな…?転んじゃったときはどうなるかと思ったけど、ベレー帽と眼鏡が似合ってるお客さんだったね、しまむー!」
卯月「はい…それになんだか、妙にシンパシーを感じるというか…不思議なお客さんでした」
凛「…………。ねえ、二人とも、765プロダクションって知ってる?」
未央「?えーと、それって765プロのことだよね?765っていったら、天下のアイドル事務所じゃん!」
卯月「星井美希さんとか、菊地真…ちゃんとか、我那覇響ちゃんとか…凛ちゃんも知ってるような人も、いるんじゃないですか?」
凛「そっか、あの有名な……って、あのはみ出てたリボン……。……イヤ、まさかね……」
卯月「……凛ちゃん?」
凛「ううん、何でもない。仕事、戻ろっか」
「…~♪おっはよーございまーす…って、あれ、もう帰ってたんだ!」
「…………あふぅ……zzz」
「あ、お早う春香、ボクらの方、予定より早く終わったんだ。今日も元気だね!」
「元気だけど、それに加えて、いつになくご機嫌、って感じさー。どうかしたのか?」
「あ、真、響ちゃん、あのね!このお花小鳥さんに言われて買ってきたんだけど、とっても綺麗で――……」
卯月「――またのご来店、お待ちしてます!…ふう」
未央「しぶりん、これ何処に置いておく?」
凛「あ、ごめん。花瓶は奥に戻しておいて…何だか、板についてきたね、二人とも」
未央「へへー、お店のバイトも、悪くないもんですなぁ!」
卯月「うーん、私はやっぱり疲れちゃうかも……でも、レジ打ちを修得できました!嬉しいです!」ムン
凛「…なら、よかった」クス
凛母「ただいま戻ったわ……あら、三人ともお疲れさま。頑張ってくれたのね」
凛「あ、お帰り、お母さん。売り上げここに書いておいたよ」
未央「お帰りなさいでーす!」
卯月「お疲れさまです!」
凛母「あら!もう、とっても助かったわ。それじゃあ店番代わるわね…あ、凛、冷蔵庫の方に三人のバイト代、入ってるから。仲良く食べなさい?」
凛「…?うん」