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お泊まりシリーズ

in駅前

未央「ごーいんごーいんふふんふふんふん♪」ルンタッター

卯月「あ、未央ちゃーん!遅れてごめん…って、なんだかいつもよりご機嫌ですね?」

未央「おー、しまむー!へっへー、そりゃそうでしょ!だってさ――」クルッ

凛「あ、二人とも来てたんだ」

未央「―――今日はしぶりんのお家に、お泊まりなのだから~!」

卯月「ふふ、なのだからー♪…凛ちゃん、宜しくお願いします!」

凛「……だから、そのさ、期待されても大したもてなしも出来ないからね?」

未央「ぜーんぜん、別にいいよ!私はしまむーとしぶりんと、しぶりんのお家で夜を明かせれば満足だからさ♪」

凛「それはそれで、満足が安いよ?」

未央「えー?じゃあ次はCPの皆で、合宿とかじゃないエンジョイ出来る旅行がいい!」

凛「ハードルが跳ね上がった…!」

卯月「それも楽しそうです!あ、凛ちゃん、でもですね、あんまり畏まられても、凛ちゃんも私達も疲れちゃいますし……こう、クラスの気の置けない子が遊びにきましたよー!みたいな感じに、振る舞ってくれれば」

凛「…私、そういう経験あんまり無いんだよね…あ、でも、未央はともかく、卯月は年上だからそんな風にはふるまえないかもしれないな」

未央「あっはは、しまむー残念!」

卯月「えっ、ええ!?」オロ

凛「こら未央、先輩だよ?」

未央「あ、すいません、島村センパイ!自分、きちんと敬意を払って接するっす!センパイ、自分、何をすればいいっすかっ?」ニヤニヤ

卯月「わぁぁ、いつもに戻ってください未央ちゃーん!」

凛「…ふふ、それじゃあ行こうか。家まで案内するよ、二人とも」

うづみお『はーい!』




凛「…別に、卯月だけ先に来てくれても良かったんだけど。私の家の場所、知ってるしさ」

卯月「大丈夫ですよ!だって、一人だけ先について待ってるのも寂しいですし、歩くことは苦じゃないですから」

未央「たはは、いやあ、お手数お掛けします…わざわざ駅まで迎えに来てもらっちゃって」

凛「気にすることないよ。…逆に、未央が家の場所知ってても怖いしね」

未央「……。実は…わたくし、ここ最近二人の後を付けてたりしたので…二人の事は何でも知ってるんです…!」キリッ

卯月「ええっ!?じゃ、じゃあもしかして一昨日のクレープ屋さんで私のこと見てたのは」

凛「もしもし警察ですか?」

未央「早い!早いよしぶりん!スマホ耳当てないで!冗談だってばー、そんなの知らないよぅ」

凛「はぁ、だろうね。卯月、その視線はたぶん気のせいか…きっとファンの人からだとおもうよ?」

卯月「うーん、それならいいんですけど…」

凛「…でも、もし、違うなって思ったり、まだ見られてるようなら相談して。頼りないかもしれないけど、力になるから」

卯月「……!は、はい!ありがとうございます!」




未央「あー!しぶりんが抜け駆けしてしまむーの好感度上げに来てるー」

凛「もう、人聞きが悪いな…」

卯月「こうかんど…?」ハテ?

未央「んん、じゃー私も!しまむー、私も頼りないかもだけどさ、何かあっても、一人で抱え込んじゃダメだからね?しぶりんも、だよ!まあ、私はこれでも…」

凛「…リーダーだから?」

未央「そうそ…って台詞取らないでよー!折角決めようと思ったのにさ…」ブー

凛「ふふ、茶化してごめん。頼りにしてるよ、リーダー」ポン

卯月「はい、頼らせてもらいますね!リーダー!」ニコー

未央「う…お、おうっ」

凛「なに?その返事」クス

卯月「未央ちゃん…もしかして照れてます?」

未央「照れてない!ぜんっぜん、照れてないから!」



凛「…にしても」

卯月「はい?」ニモツデカー

未央「ん?」ニモツチイサー

凛「一泊だけなのにここまで差が出るか…」

卯月「え?あ…その、気付いたら大きく…」

凛「ああ、うん、別に責めてるわけじゃないから。未央は最低限、って感じだね」

未央「あー、何回かお泊まりするとさ、毎回行っててもこれは使わないなーってヤツが出てくるんだな。だから、それを取り除いていけば、着替えとか櫛とかお風呂用品とかだけで、結構軽くなるんだ」

凛「へー」

未央「しぶりん絶対興味ない…っ」

凛「聞いてた聞いてた、未央がフランスのロンドンに渡米するんだよね?」

未央「何処に行くのか全然分かんないよ!?」

凛「じゃあ卯月は、未央の言うところのあまり使わないやつも持ってきてるのかな」

未央「…しっかり聞いてるし…」

卯月「うーん、私からすれば皆要るものだと思うんですけど…あ、でも、分からないのも幾つか一応持ってきました!」

未央「どんな?」

卯月「ええと…例えば、人生ゲームです!」

未央「え、ボードごと!?」

凛「…これはやらざるを得なさそうだね」

卯月「ちょっと大きいから迷ったんですけど、夜とかにできたらいいなって…」

未央「じゃあさ、今日は人生ゲームオールナイトしちゃおう!お泊まりの夜に易々と床につけると思わないでね、二人とも…今夜は寝かさないよっ!」ビシッ

卯月「お、おー!オールナイト、です!」

凛「いや、寝ようよ」

未央「えー?しぶりんノリ悪い……(ねえしまむー、分かってるよね?)」ヒソヒソ

卯月「あはは…(だ、大丈夫です!頑張ります!)」ヒソヒソ

凛「…?」



卯月「あ、見えてきましたー!」

未央「え!どこどこ?……って、あ、ここか。フラワーショップ、シブヤ!」

凛「ん。…お母さーん!二人、連れてきたよ」

未央(わ、お花一杯だ…!)キラキラ

卯月(ちゃんと来るの、久しぶりだなぁ…)

凛母「あら、いらっしゃい。狭くて何もない家だけど、くつろいでいってね?卯月ちゃん、未央ちゃん」

卯月「はい!わざわざありがとうございます…あ、凛ちゃんにはいつもお世話になっていて…」

未央「!あ、ホント、し…凛ちゃんには、迷惑かけっぱなしで…その」

凛母「ふふ、いいのよ。この子、あんまり人と深く関わろうとしないところがあるから。ちょっと迷惑かけられる位のほうが、きっと凛としても嬉しいはずよ」

凛「お、お母さん!その、もう、いいから」

未央「ふむー?」ニヤニヤ

卯月「そうなんですか?凛ちゃん!」キラキラ

凛「…こうやって、調子乗るから…っ!主に未央が…!」

未央「む、人聞きの悪い…」

凛母「はいはい、あんまり友達を悪く言わないの。それじゃあ凛、お母さんそろそろ出るわね。悪いけど店番お願い」

凛「……はぁ。ん、分かった」

卯月「あ、あの!良ければお店番、お手伝いさせて欲しいんですけど…大丈夫でしょうか?」

未央「あ、私も!」

凛母「あら。アイドルが三人も店番してくれるなんて贅沢ね?助かるわ…じゃあ、お願いしちゃう。凛、エプロン、奥のロッカーから出してあげて!」

凛「分かった。……二人とも、先に荷物おいてきなよ。私の部屋、そこの奥の階段登った、左の部屋だからさ」

未央「ほいさっさー!」タッタッ

卯月「はい、分かりました!…お邪魔します!」テクテク

凛母「じゃ、早めに帰るわね。…二人ともいい子じゃない。アイドル関係なく、仲良くしなさいよ?」

凛「…言われなくても、そのつもりだよ。いってらっしゃい」



未央「おおー…ここが」

卯月「凛ちゃんの部屋…」

未央「予想通りと言うか…さっぱりしてるねえ。小物も少ないしさ」

卯月「お部屋もクールな感じですね!それに片付いてる…流石凛ちゃん…」

未央「というか…青好きなんだなあ、しぶりん。青色一杯だ…。…良かった」

卯月「…ふふ。未央ちゃん、最後まで悩んでましたもんね!」

未央「しぶりんだからこそピンクもありかなって思ったんだけど…あ!ねえねえ、しまむー…」

凛『二人ともー!部屋分かったー?』

未央「――あ、うん!置いたから、今戻るねー!」

卯月「…後にしましょっか♪」

未央「だね!」



卯月「わぁ、エプロンだー!」

凛「何に喜んでるの…?えっと、サイズは平気だと思うけど…」

未央「うーむ、これは人生初のバイトにカウントされるのかな…ねえねえしまむー、どうかな?似合ってる?」クルーン

卯月「とっても似合ってますよ、未央ちゃん!」

凛「給料は出ないし、結び目はよれよれだけどね。似合ってるけど。…結んであげるから、止まって?未央」

未央「てへ。…あっちゃー、ダメだったか。片手だけで結べるかチャレンジしたんだけどねー」

凛「何でそんなことしてるのさ…卯月、取り合えずレジに立ってて貰ってもいいかな。まあそんなにお客さんは来ないと思うし、大きな注文はお母さんが帰ってきてからになるんだけど…まあ、どっかの誰かみたいに、小さなお花を買いに来る人もいるからさ」キュッキュッ

卯月「あ、分かりました!…ん?どっかの誰かって…」

凛「はい、出来たよ」

未央「おおー、ありがとしぶりん!…んで、私は何をすればよいのかな?」

凛「そう、だね…未央、外の花の水やりでもしようか。そこの端にあるホース、水道と繋がってるから、持ってって」

未央「了解!んー、にしてもいい香りですなぁ!毎日お花に囲まれてるしぶりんが羨ましいやー」

凛「隣の芝生は青い、ってやつだと思うけどね。それなりに色々大変だよ、やっぱり…」




卯月「――あ、いらっしゃいませ!」

未央「へ?っと、い、いらっしゃいませ!」

凛「…いらっしゃいませ」

「あ、こんにちは。………」

凛「………」

卯月「……ん?……!」ハッ

未央「……」ソワ

未央(ねえしぶりん、これ、なにか声かけた方がいいの…?)ヒソ

卯月(り、凛ちゃん私レジ打ち出来ませんよ!?)ヒソ

凛(卯月は後であのお姉さんが会計するようだったら代わるから。後、服屋さんとかじゃないから、あまり過干渉だと悪い印象を与えることにも繋がるんだ。未央はさっきいった通りで、お願い)ヒソ

卯月「はいっ」

未央「りょ、了解……」ソソクサ

「んー、小鳥さんはお任せでいいって言うけど…そんなの言われてもなぁ…はぁ、こんな帰り道で見つかるなら、誰か誘ってくれば良かったよ…わ、この花ちょーっとお高めだ…」

凛(仕事終わったら、二人と何しようかな…)

「――あ、あの、すみません店員さ……っとうわぁっ!」ドンガラガッシャーン

凛「?はい……ってちょっとっ!?」



卯月「わわわ!だ、大丈夫ですか!?」

未央「え……?あ、しぶりん棚の花!落ちるっ!」

凛「え、あ――っと!」キャッチ

凛「……ふぅ」ホッ

「す、すいません…!ドジっちゃって…えへへ…って、ああああの!売り物のお花、大丈夫ですかっ!?」ワタワタ

凛「えーと、…はい。大丈夫…問題ないです」

卯月「あ、あの、立てますか…?」サシノベ

未央「えっと、絆創膏とかとってきた方がいいかな?」

「あ、大丈夫です!慣れっこなんで…全然怪我もしてませんし。ホントすみません、ご迷惑を」

凛「いえ、こちらも被害はないので、平気ですよ。ええと…それより、何か聞きたいことがあったんじゃ」

「あ、そうなんです!ええとですね、応接室に飾る、落ち着いたお花を買いにきたんですけど…2~3輪で。あまり、高くないのを!」

凛「はい。こちらで幾つか選んだ方がいいですか?」

「その、いいの選ぶ自信ないんで、全部、お願いしたいなー…なんて。あはは」

凛「分かりました。……。えっと、未央、卯月」

未央「ん?」

卯月「はい?」

凛「その…ここから向こうが比較的安価なお花があるからさ、……2~3輪、良さそうなの見繕って貰ってもいいかな?」

未央「う、うん!」

卯月「はいっ!分かりました!」バタバタ




凛「……ふぅ」

「ふふ、仲良しなんですね!」

凛「あ……どうも」

「あのお二人は、バイトさん……」


未央「しまむー、これどっちがいいかな?」

卯月「はわわ……えーとえーと……え、選べないです!」

未央「ちょっと!?」


「……じゃ、なさそうですね」

凛「ええと…はい。今日だけ臨時で。折角なんで、仕事させてあげたかったから…その、急いでたらすみません。私、選びますから」

「いえいえ、全然大丈夫です!…善澤さんなら待ってくれるだろうし…」

凛「?…あ、先に領収証書いておきますか?応接室…ですよね、確か。飾るの」

「あ、そうなんですよ!お願いします!ええと……宛先『765プロダクション』で!7、6、5、です!」

凛「はい。えーと、7、6……っと。よし」




未央「しぶりん!お花持ってき――」

凛「未央、静かにね?」

未央「――ましたっ」

凛「あー…ええと、それでいくらって書いてあった?」

未央「ん?190の130の100で~合計420だったよ!」

卯月「凛ちゃん、私も確認したけど合ってます」

凛「二人ともありがと。お花、これで大丈夫ですか?」

「はい!ありがとうございます!」

凛「切って包んで…………よし、どうぞ」

「わぁ、スッゴク綺麗…――ととと、お金、落としそうっ……わ、セーフっ」

凛「……はい、丁度いただきました。こちら、レシートと領収証です。…その、お気をつけて」

「わわ、どうもっ。…それじゃあ、ありがとうございました!」ペコ

凛「またのご来店、お待ちしてます」

うづみお『してまーす!』



卯月「………はへぇ……つかれましたー」ズルズル

未央「うーん、初めはまずまずってとこかな…?転んじゃったときはどうなるかと思ったけど、ベレー帽と眼鏡が似合ってるお客さんだったね、しまむー!」

卯月「はい…それになんだか、妙にシンパシーを感じるというか…不思議なお客さんでした」

凛「…………。ねえ、二人とも、765プロダクションって知ってる?」

未央「?えーと、それって765プロのことだよね?765っていったら、天下のアイドル事務所じゃん!」

卯月「星井美希さんとか、菊地真…ちゃんとか、我那覇響ちゃんとか…凛ちゃんも知ってるような人も、いるんじゃないですか?」

凛「そっか、あの有名な……って、あのはみ出てたリボン……。……イヤ、まさかね……」

卯月「……凛ちゃん?」

凛「ううん、何でもない。仕事、戻ろっか」



「…~♪おっはよーございまーす…って、あれ、もう帰ってたんだ!」

「…………あふぅ……zzz」

「あ、お早う春香、ボクらの方、予定より早く終わったんだ。今日も元気だね!」

「元気だけど、それに加えて、いつになくご機嫌、って感じさー。どうかしたのか?」

「あ、真、響ちゃん、あのね!このお花小鳥さんに言われて買ってきたんだけど、とっても綺麗で――……」



卯月「――またのご来店、お待ちしてます!…ふう」

未央「しぶりん、これ何処に置いておく?」

凛「あ、ごめん。花瓶は奥に戻しておいて…何だか、板についてきたね、二人とも」

未央「へへー、お店のバイトも、悪くないもんですなぁ!」

卯月「うーん、私はやっぱり疲れちゃうかも……でも、レジ打ちを修得できました!嬉しいです!」ムン

凛「…なら、よかった」クス

凛母「ただいま戻ったわ……あら、三人ともお疲れさま。頑張ってくれたのね」

凛「あ、お帰り、お母さん。売り上げここに書いておいたよ」

未央「お帰りなさいでーす!」

卯月「お疲れさまです!」

凛母「あら!もう、とっても助かったわ。それじゃあ店番代わるわね…あ、凛、冷蔵庫の方に三人のバイト代、入ってるから。仲良く食べなさい?」

凛「…?うん」


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