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【この小説に関する注意】
・ほんの少しストーカー要素あり
・既に卒業なさったkwkmさんをモデルにしています。
他の作品以上にお取扱いにお気を付けください。
・卒業のシーンを含んでいます。苦手な方はご自衛ください。
川上さんside
コツコツコツ・・・。
俺が歩けば鳴りはじめ、俺が止まって振り返ると止まる音。
誰かにつけられている。
昨日はぼんやりとした感覚だったものが明確な確信に変わる。
2日とも駅近くからだということを踏まえて家への足取りをオフィスへと変更する。
相手は概ね予想がついている。
1か月前に勝手に電話やメールを寄越し
「川上さんの携帯であってますか?知り合いから連絡先を教えてもらったんです。」
「私、川上さんのファンなんです。是非1度個人的にあってもらえませんか?」
というメッセージを送ってきた女性だろう。
着信拒否・ブロックしたが、
どうやらヒートアップしてしまったようだ。
「もしもし。ふくらさん今大丈夫ですか?
もしオフィスにいたら今から送る資料見てほしいんですけど。」
「うん。大丈夫だけどこの間の記事なら別に急がなくてもいいよ。
まだ貯めがあるし。」
「わかりました。
でもちょっと早急に回答がほしいのでそのまま携帯持っててください。」
「ん?はーい。じゃあまたすぐ。」
通話を切った後、急いでテキストで文面を打つ。
「ストーカーにつけられてます。」
「今からそちらに向います。」
「近くに来たら電話かけるので申し訳ないけれど
上から映像か写真の証拠抑えてもらえますか?」
「わかった。」
既読がついてすぐに返信が来た事に少し安堵する。
止まない足跡、
数分後
「もしもし。記事どうでした?」
「え?ああ、よかったよ。こっちは準備万端だから任せて。」
「じゃあ、よろしくお願いします。」
マンションの中層部にあるオフィスからなら撮影者がばれることなくストーカーの顔が撮れることだろう。
中に入るとたまたまその日いたこうちゃんとふくらさん、河村さんが迎え入れてくれた。
川上「ふくらさんすみません。いきなり変なお願いをしてしまって。」
福良「いやいや、全然いいよ。
これ、さっきの動画。
本当怖かった。俺鳥肌立ったもん。」
川上「え、そんなですか?」
こう「もうね、すごかった。ずっと目離さないの。めっちゃ怖かった。」
撮ってもらった動画を見せてもらうと、10代の少女がニヤニヤして俺をつけながら盗撮している姿がしっかり映っていた。
河村「好意もここまで来ると狂気だね。」
川上「まだありますよ、狂気。」
経緯を説明しながら、スマホから昨日ポストに入っていた手紙の画像と着信の録音、メールのスクショを見せる。
河村「いや、本当に笑えない。」
福良「ほんとだよ。俺もこれは流石に対応した方がいいと思う。」
こうちゃんを筆頭にした法学部のライター達の指示に従って対処に動いてもらう為の手順等を聞く。
ご丁寧に手紙に名前を付けていたおかげで間接的に対応してもらえそうだが、民事・刑事どちらでいっても早急に接近禁止命令等には至らない為、まだ気が抜けない日々が続くらしい。
言われた通りの手順を取って、念の為借りることにしたオフィスの仮眠室で思考を巡らせる。
正直、俺についてはどうだっていい。
もっと言うと、野郎共はどうだっていいのだ。
癪に障るが、この道でやっていくと決めた手前、仕方がないと割り切る事が出来る。
ただ、1番恐ろしいのはストーカーが花子の存在を認知する事だ。
ストーキングの対象が俺から花子に変わり、別れないからと腹いせに突然刺されるなんて最たるバッドエンドだけは絶対に避けなくてはならない。
明日、事情を説明して距離を置こうとメールでも送るか?
いや、ただでさえ慌ただしくて会えてない花子と部外者のせいで距離を取るなんてなんか、やじゃん…。却下。
そもそもポストに手紙を入れられている時点で俺のスマホや家も充分安全面は怪しい。それこそ見つかれば逆に怪しまれるか。
考えろ。何かもっと他にいい手が…。
あ。
閃いた事忘れない様にしながら携帯のアラームを1時間早く変更した。
花子side
「今日、時間ある?」
クイズ仲間のこうちゃんからLINEを貰ったのが1限の終わり頃。
渡したい物があるからと、混雑していない時間帯の食堂で待ち合わせになった。
何だか、胸騒ぎがする。
少し後ろめたさを胸に抱きながら先に着いていたこうちゃんの向かいに座ると渡されたのは一通の茶封筒だった。
「これ、川上さんから。」
こうちゃんside
川上さんから真面目な顔で
「ちょっと頼みがあるんやけど。」
と言われるなんて、きっと今朝が最初で最後だろう。
川上さんから渡されたのはひとつの茶封筒。
「ストーカーのターゲットが変わらない為に(名前)とは“表向きに”距離を置こうと思う。」
「えっ。」
「俺から渡して校内をつけられてたらアウトだから、その手紙をこうちゃんから(名前)に渡して欲しい。」
「…分かりました。」
「それと、」
「それと?」
「余計な心配をさせない為にも、電話とメールの事は伏せておいて欲しい。ストーカーも学校周辺にきただけ。
ただ、大事をとってるだけ。というテイで。」
「…本当にいいんですか?」
「ん?」
「もしこのままあっちが引き下がってくれれば数日ですみますけど、長いと結構かかりますよ。」
痛む思いがなくもない。だが、
「しゃあないやん。今の第1条件は被害の拡大防止。(名前)の安全が1番やし。」
「まあ、確かにそうだけど。」
「じゃあ、そういう事で。」
「…わかりましたよ。」
「手間かけて悪い。よろしく。」
「はーい。」
花子side
封筒を開くとB5のルーズリーフに綺麗な文字が連なっている。
「花子へ
突然こんなことをして驚いたと思う。ごめん。
こうちゃんから少し説明があったかもしれないけど、俺は今とても軽度のストーカー被害に合っている。
直接の被害はないし対応に向かっているから問題はないと思うけど、万が一悪化した時の為に“表向き”には距離を置こうと思う。
物理的な接触やSNSの返信は暫く一切しない。
その代わり、学生会館前のロッカーに追伸を入れておいた。寂しい思いをさせて申し訳ないけど、数週間だけ。よろしく。
カワカミ」
ストーカー…、遠い向こうの事だと認識していたことが急に自分の愛する人に降りかかってきて頭がぼうっとする。
こう「花子ちゃん。花子ちゃん!大丈夫?顔が真っ白。」
「ああ、ごめん。ちょっとびっくりしちゃって。それより、拓朗は大丈夫なの?直接の被害はないって書いてあったけど、メンタルやられたりしてない?状況を詳しく教えて?」
「ちょ、いったん落ち着いて。まあ、法学的観点から協力する為にちょっとだけ話は聞いてるけど、ファンの子の好きが高じてって感じみたい。家とか特定されてる訳じゃないし四六時中って訳でもない。
軽い言い方みたいだけど、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?」
「うーん。だといいんだけど。」
「俺でよければ何時でも橋渡しするから、また何かあったら連絡してよ。」
「うん。ありがとう。もしかしたらまた何かお願いするかも。」
こうちゃんと別れて午後の講義を受けた後、学生会館へ向かう。
以前1度だけ借りた事のある拓朗のロッカー。ロックナンバーは確か彼の誕生日。
「1231...っと。あれ?」
ガチャガチャと再度試してみるも失敗。変えた?…終わった。
新しい手紙が読めない事に萎えながら先程貰った手紙を読み返す。
「ん?」
ルーズリーフの右下、小さな矢印が。
裏返すと同じように小さな文字で「ヒント:誕生日」と書かれている。
いや、だから開かなかったじゃん誰の誕生日よ。と心中でツッコミをかましていると、1つの自惚れた推測が頭をよぎる。
「…はっず。」開いてしまったロックナンバーは私の誕生日。事が済んだら迅速に元に戻して貰おう。流石にこれは照れくさい。ロッカーの中には朝貰った物とよく似た封筒が。
「花子へ
突然だけど、表面上の連絡を断つ代わりに今日から文通を始めようと思う。返事は、暇なときに返してくれればいいから。」
その下には「昨日の晩ご飯はココイチのカレーだった。」や
「足りない分の単位の為にあの教授の講義もう一回聴いたけど、内容の興味深さと話の長さ本当一致してない。」
といった、文通というかどちらかというと日記に似た近況報告が綴られていた。
ただでさえ忙しいうえにストーカーの被害が疲労を重ねているだろうに、わざわざ私に心配をかけまいと時間を割いてくれたと思うと、申し訳なさと嬉しさでむず痒くなる。
たまには、文通とやらも悪くないかもしれない。
さて、返信は何を書こうか。
・ほんの少しストーカー要素あり
・既に卒業なさったkwkmさんをモデルにしています。
他の作品以上にお取扱いにお気を付けください。
・卒業のシーンを含んでいます。苦手な方はご自衛ください。
川上さんside
コツコツコツ・・・。
俺が歩けば鳴りはじめ、俺が止まって振り返ると止まる音。
誰かにつけられている。
昨日はぼんやりとした感覚だったものが明確な確信に変わる。
2日とも駅近くからだということを踏まえて家への足取りをオフィスへと変更する。
相手は概ね予想がついている。
1か月前に勝手に電話やメールを寄越し
「川上さんの携帯であってますか?知り合いから連絡先を教えてもらったんです。」
「私、川上さんのファンなんです。是非1度個人的にあってもらえませんか?」
というメッセージを送ってきた女性だろう。
着信拒否・ブロックしたが、
どうやらヒートアップしてしまったようだ。
「もしもし。ふくらさん今大丈夫ですか?
もしオフィスにいたら今から送る資料見てほしいんですけど。」
「うん。大丈夫だけどこの間の記事なら別に急がなくてもいいよ。
まだ貯めがあるし。」
「わかりました。
でもちょっと早急に回答がほしいのでそのまま携帯持っててください。」
「ん?はーい。じゃあまたすぐ。」
通話を切った後、急いでテキストで文面を打つ。
「ストーカーにつけられてます。」
「今からそちらに向います。」
「近くに来たら電話かけるので申し訳ないけれど
上から映像か写真の証拠抑えてもらえますか?」
「わかった。」
既読がついてすぐに返信が来た事に少し安堵する。
止まない足跡、
数分後
「もしもし。記事どうでした?」
「え?ああ、よかったよ。こっちは準備万端だから任せて。」
「じゃあ、よろしくお願いします。」
マンションの中層部にあるオフィスからなら撮影者がばれることなくストーカーの顔が撮れることだろう。
中に入るとたまたまその日いたこうちゃんとふくらさん、河村さんが迎え入れてくれた。
川上「ふくらさんすみません。いきなり変なお願いをしてしまって。」
福良「いやいや、全然いいよ。
これ、さっきの動画。
本当怖かった。俺鳥肌立ったもん。」
川上「え、そんなですか?」
こう「もうね、すごかった。ずっと目離さないの。めっちゃ怖かった。」
撮ってもらった動画を見せてもらうと、10代の少女がニヤニヤして俺をつけながら盗撮している姿がしっかり映っていた。
河村「好意もここまで来ると狂気だね。」
川上「まだありますよ、狂気。」
経緯を説明しながら、スマホから昨日ポストに入っていた手紙の画像と着信の録音、メールのスクショを見せる。
河村「いや、本当に笑えない。」
福良「ほんとだよ。俺もこれは流石に対応した方がいいと思う。」
こうちゃんを筆頭にした法学部のライター達の指示に従って対処に動いてもらう為の手順等を聞く。
ご丁寧に手紙に名前を付けていたおかげで間接的に対応してもらえそうだが、民事・刑事どちらでいっても早急に接近禁止命令等には至らない為、まだ気が抜けない日々が続くらしい。
言われた通りの手順を取って、念の為借りることにしたオフィスの仮眠室で思考を巡らせる。
正直、俺についてはどうだっていい。
もっと言うと、野郎共はどうだっていいのだ。
癪に障るが、この道でやっていくと決めた手前、仕方がないと割り切る事が出来る。
ただ、1番恐ろしいのはストーカーが花子の存在を認知する事だ。
ストーキングの対象が俺から花子に変わり、別れないからと腹いせに突然刺されるなんて最たるバッドエンドだけは絶対に避けなくてはならない。
明日、事情を説明して距離を置こうとメールでも送るか?
いや、ただでさえ慌ただしくて会えてない花子と部外者のせいで距離を取るなんてなんか、やじゃん…。却下。
そもそもポストに手紙を入れられている時点で俺のスマホや家も充分安全面は怪しい。それこそ見つかれば逆に怪しまれるか。
考えろ。何かもっと他にいい手が…。
あ。
閃いた事忘れない様にしながら携帯のアラームを1時間早く変更した。
花子side
「今日、時間ある?」
クイズ仲間のこうちゃんからLINEを貰ったのが1限の終わり頃。
渡したい物があるからと、混雑していない時間帯の食堂で待ち合わせになった。
何だか、胸騒ぎがする。
少し後ろめたさを胸に抱きながら先に着いていたこうちゃんの向かいに座ると渡されたのは一通の茶封筒だった。
「これ、川上さんから。」
こうちゃんside
川上さんから真面目な顔で
「ちょっと頼みがあるんやけど。」
と言われるなんて、きっと今朝が最初で最後だろう。
川上さんから渡されたのはひとつの茶封筒。
「ストーカーのターゲットが変わらない為に(名前)とは“表向きに”距離を置こうと思う。」
「えっ。」
「俺から渡して校内をつけられてたらアウトだから、その手紙をこうちゃんから(名前)に渡して欲しい。」
「…分かりました。」
「それと、」
「それと?」
「余計な心配をさせない為にも、電話とメールの事は伏せておいて欲しい。ストーカーも学校周辺にきただけ。
ただ、大事をとってるだけ。というテイで。」
「…本当にいいんですか?」
「ん?」
「もしこのままあっちが引き下がってくれれば数日ですみますけど、長いと結構かかりますよ。」
痛む思いがなくもない。だが、
「しゃあないやん。今の第1条件は被害の拡大防止。(名前)の安全が1番やし。」
「まあ、確かにそうだけど。」
「じゃあ、そういう事で。」
「…わかりましたよ。」
「手間かけて悪い。よろしく。」
「はーい。」
花子side
封筒を開くとB5のルーズリーフに綺麗な文字が連なっている。
「花子へ
突然こんなことをして驚いたと思う。ごめん。
こうちゃんから少し説明があったかもしれないけど、俺は今とても軽度のストーカー被害に合っている。
直接の被害はないし対応に向かっているから問題はないと思うけど、万が一悪化した時の為に“表向き”には距離を置こうと思う。
物理的な接触やSNSの返信は暫く一切しない。
その代わり、学生会館前のロッカーに追伸を入れておいた。寂しい思いをさせて申し訳ないけど、数週間だけ。よろしく。
カワカミ」
ストーカー…、遠い向こうの事だと認識していたことが急に自分の愛する人に降りかかってきて頭がぼうっとする。
こう「花子ちゃん。花子ちゃん!大丈夫?顔が真っ白。」
「ああ、ごめん。ちょっとびっくりしちゃって。それより、拓朗は大丈夫なの?直接の被害はないって書いてあったけど、メンタルやられたりしてない?状況を詳しく教えて?」
「ちょ、いったん落ち着いて。まあ、法学的観点から協力する為にちょっとだけ話は聞いてるけど、ファンの子の好きが高じてって感じみたい。家とか特定されてる訳じゃないし四六時中って訳でもない。
軽い言い方みたいだけど、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?」
「うーん。だといいんだけど。」
「俺でよければ何時でも橋渡しするから、また何かあったら連絡してよ。」
「うん。ありがとう。もしかしたらまた何かお願いするかも。」
こうちゃんと別れて午後の講義を受けた後、学生会館へ向かう。
以前1度だけ借りた事のある拓朗のロッカー。ロックナンバーは確か彼の誕生日。
「1231...っと。あれ?」
ガチャガチャと再度試してみるも失敗。変えた?…終わった。
新しい手紙が読めない事に萎えながら先程貰った手紙を読み返す。
「ん?」
ルーズリーフの右下、小さな矢印が。
裏返すと同じように小さな文字で「ヒント:誕生日」と書かれている。
いや、だから開かなかったじゃん誰の誕生日よ。と心中でツッコミをかましていると、1つの自惚れた推測が頭をよぎる。
「…はっず。」開いてしまったロックナンバーは私の誕生日。事が済んだら迅速に元に戻して貰おう。流石にこれは照れくさい。ロッカーの中には朝貰った物とよく似た封筒が。
「花子へ
突然だけど、表面上の連絡を断つ代わりに今日から文通を始めようと思う。返事は、暇なときに返してくれればいいから。」
その下には「昨日の晩ご飯はココイチのカレーだった。」や
「足りない分の単位の為にあの教授の講義もう一回聴いたけど、内容の興味深さと話の長さ本当一致してない。」
といった、文通というかどちらかというと日記に似た近況報告が綴られていた。
ただでさえ忙しいうえにストーカーの被害が疲労を重ねているだろうに、わざわざ私に心配をかけまいと時間を割いてくれたと思うと、申し訳なさと嬉しさでむず痒くなる。
たまには、文通とやらも悪くないかもしれない。
さて、返信は何を書こうか。