「あ、ちょっと待って。」

通常通り2人で合掌していただきますをした直後、私は唐突に待ったをかけた。

「お誕生日、おめでとうございます。」
「え？」
「2019歳の抱負をどうぞ、神」
「…はっはっはっ」
キョトン顔が一転、高音の引き笑いの後に花子まで止めてよそのキャラ、聖ニコラスまで聞こえたらどうすんの。と照れながら1口目を口にする。綺麗は指先は静かににフォークとナイフで肉を口に運んでいてとても上品だ。

「ん、美味しい。このチキン、わざわざ買ってきてくれたの？」
「ううん。この前生協で安売りしていた物を今日の為に冷凍保存しておいたの。」
「よかった。花子も遂にクリスマスを使った商業界隈の策略に正面から乗っかり出したのかと思った。」

「いやいやまさか。私を誰の女だとお思いで？」

したり顔でニヤリとしてみると、彼もそれなりの顔を返してくれる。

「お主も悪よのう、花子 殿。」
「いえいえ貴方には負けますわ、拓哉殿。」

特に生活に困っている訳ではないけれど、今あるお金を大切に使いたい。
そんな金銭感覚の近さが、彼との長続きの秘訣なのかも知れない。
「ケーキは明日買ってこようね。」
なんて笑い合いながらそんな事を思ったら、脳内を「パッピーウエディング前ソング」の一節が駆け抜けていった。




【あとがき】
河村さんとは敬語同士のお付き合いする世界線も素敵ですが、こんなPコンビの様にタメで話し合える気の置けない関係の世界線も素敵ですよね。

あ、TwitterのらQKの夢用垢作りました。
@Udon_qk10
長く綴れない事をこれから垂れ流していけたらなと思っております。気が向けば是非フォローを。