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花子side
「会いたくて会いたくて震える」なんて歌詞、今までネタにしかしてこなかったのに、
ここに来て薄っすら本気にしてしまいそうになっている辺り、
私も来月頃には常軌を逸した人になっているかもしれない。
家のテーブルで彼からの手紙を開く。
「花子へ
遅くなってごめん。ようやく問題が解決したから、もう連絡を取っても問題ないと思う。
都合のいい日教えて。
カワカミ」
「っ。」
逸る気持ちを抑えて何とか電話で堪える。
講義中だったらどうしよう。もういいや、かけてしまえ。
押した通話ボタン。思ったより早く繋がった。
「もしもし。」
「もしもし。突然ごめん。今、大丈夫?」
「うん。大丈夫。」
「…いや、特に大した用事はないんだけど。
…なんとなく、声、聴きたくなって。」
たった3か月間会えなかっただけなのに。
まだ、顔ですら見てないのに。
もう、泣いてしまいそうだ。
「今夜。そっち行ってもええ?」
「うん。待ってる。」
「じゃあ、また。」
「うん。」
ほんの数秒が、何十分にも感じられた。
会いたい、今すぐ会いたい。
遠距離恋愛はきっと私には向いてない。
何かが違っていたら、ストーキングしていたのは私のほうかもしれない。
彼が好きだと言っていた料理を作る準備に取り掛かりながらふと、そんなことを考える。
川上side
講義を終えた足で、そのまま花子の家へと向かう。
「もうすぐ着く」
「了解」
傍から見ればなんとそっけないLINEと思う事だろう。
熱すぎない文面の中に互いを思う気持ちがあることを、俺たちは知っている。
声に出す気など毛頭ない、つもりだったけれど。
「ピンポーン」
何度訪れてもチャイムを鳴らさずに入るのは少し抵抗があって、一応鳴らしてから入る玄関。
俺を視界にとらえた花子がパタパタと小走りでやってくる。
輪郭を確かめるように触られた頬が熱い。
「痩せた?」
「まあ、ちょっと。」
「…会いたかった。」
「ちょ、泣かんとってや。」
声がくぐもっているのはきっと俺に抱き付いているからだけじゃない。
「泣いてないよ、全然。」
「顔、見してみ。」
顎をつかんで顔をじっくりと眺めると、やはりその眼と鼻は赤い。
「やだ、重い女みたいじゃん。」
「いいやん。たまには重い女でも。」
しっかりと目を合わせて口を開く。
一度しか言わないから、よく聞いていてほしい。
「俺も、会いたかった。好きや。」
完
「会いたくて会いたくて震える」なんて歌詞、今までネタにしかしてこなかったのに、
ここに来て薄っすら本気にしてしまいそうになっている辺り、
私も来月頃には常軌を逸した人になっているかもしれない。
家のテーブルで彼からの手紙を開く。
「花子へ
遅くなってごめん。ようやく問題が解決したから、もう連絡を取っても問題ないと思う。
都合のいい日教えて。
カワカミ」
「っ。」
逸る気持ちを抑えて何とか電話で堪える。
講義中だったらどうしよう。もういいや、かけてしまえ。
押した通話ボタン。思ったより早く繋がった。
「もしもし。」
「もしもし。突然ごめん。今、大丈夫?」
「うん。大丈夫。」
「…いや、特に大した用事はないんだけど。
…なんとなく、声、聴きたくなって。」
たった3か月間会えなかっただけなのに。
まだ、顔ですら見てないのに。
もう、泣いてしまいそうだ。
「今夜。そっち行ってもええ?」
「うん。待ってる。」
「じゃあ、また。」
「うん。」
ほんの数秒が、何十分にも感じられた。
会いたい、今すぐ会いたい。
遠距離恋愛はきっと私には向いてない。
何かが違っていたら、ストーキングしていたのは私のほうかもしれない。
彼が好きだと言っていた料理を作る準備に取り掛かりながらふと、そんなことを考える。
川上side
講義を終えた足で、そのまま花子の家へと向かう。
「もうすぐ着く」
「了解」
傍から見ればなんとそっけないLINEと思う事だろう。
熱すぎない文面の中に互いを思う気持ちがあることを、俺たちは知っている。
声に出す気など毛頭ない、つもりだったけれど。
「ピンポーン」
何度訪れてもチャイムを鳴らさずに入るのは少し抵抗があって、一応鳴らしてから入る玄関。
俺を視界にとらえた花子がパタパタと小走りでやってくる。
輪郭を確かめるように触られた頬が熱い。
「痩せた?」
「まあ、ちょっと。」
「…会いたかった。」
「ちょ、泣かんとってや。」
声がくぐもっているのはきっと俺に抱き付いているからだけじゃない。
「泣いてないよ、全然。」
「顔、見してみ。」
顎をつかんで顔をじっくりと眺めると、やはりその眼と鼻は赤い。
「やだ、重い女みたいじゃん。」
「いいやん。たまには重い女でも。」
しっかりと目を合わせて口を開く。
一度しか言わないから、よく聞いていてほしい。
「俺も、会いたかった。好きや。」
完