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妄想

---わたしをつたうは薔薇のつる。刺々しく、それでも気高き愛される薔薇なのだ。薔薇が綺麗ならばそれでいい。たとえ、誰かが傷つこうとも--

---おお哀れ哀れ。いくら薔薇が綺麗でも、なんとでも引き裂くことの出来る薔薇は脆く、あなたもまた、縛られ傷つき続けるのは自己満足に過ぎない---

---あなたは何も分かってはいない。わたしには残り僅かな薔薇しかないのだ---

---ならばドライフラワーでも飾ればよい。あなたがそこまで傷つくことは無かったのに。---

---そうなのかもしれないが、わたしは本物の薔薇と戯れていたいのだよ---

---なぜそこまでこだわる?ほかにも美しい花などいっぱいあるだろう---

---あなたには分かりはしない。本物の価値というものが---

---分かりたくもない。本物という価値観は人から作られるものだ。変わりゆく価値になんの意味がある?---

---いずれは分かる。あらゆるものの全ては本物から出来たことに---


---ならば、本物ではないものには価値はないと?---


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