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5

承太郎さんからの情報によると、ハルくんは、イタリアではジョルノ・ジョバァーナと名乗っているらしかった。

ふむふむ、汐華 初流乃をイタリア語風に発音するわけね。

ネアポリスに着いた翌日、ルナは早速、ジョルノ・ジョバァーナの家を訪ねた。

が、あいにく留守。
誰もいない感じだった。

隣のアパルタメントの住人の話では、どうやらつい最近引っ越したらしい。

初流乃は、どこかの学校の寮に入っているらしかった。

ルナは住人にお礼を言って歩き出した。

うーん。
これは、学校を調べるしかないか。

ホテルに帰ると、承太郎に電話して状況を伝えた。

「わかった。すぐに調べてみよう。」

承太郎は簡潔に答えた後、不自由はないか、危険な目に遭ってないか、など矢継ぎ早にきいてきたのがおかしかった。

小さい頃からそうだけど、心配性よね。

ひと息ついて、少し早いが夕食に出ることにした。

ネアポリスと言えば、マルゲリータ発祥の地!!

ぜひ食さねば!!

ナンパを撃退しつつ、美味しそうなお店を探してブラブラしていた時、

ーーどんっ。

「Scusi・・・あら?」

路地を出てきた人にぶつかって、見ると、昨日見かけた男だった。

「えーと、アバッキオ!」

アバッキオはルナを睨みつけながら、ふと気がついたように片方の眉を上げた。

「おまえ・・・昨日の女か。」

ルナっていうの。よろしくね。何してるの?」

「別に何でもねえ。生意気な奴らがいたんで礼儀を教えてやっただけだ。」

「・・・」

アバッキオが出て来た路地の奥に目を凝らすと、倒れている人影がチラホラ。ちーん。合掌。

「そうなんだ。ところで、美味しいピッツァのお店知らない?」

「ふざけんな。なんで俺がてめえに教えてやらなきゃならねえんだよ。」

「え、嫌いなの?マルゲリータ。」

「そういうことを言ってるんじゃあねえ!!」

アバッキオに怒鳴られ、ルナは、きょとんとした表情を浮かべた。

「ったく変な女だな・・・」

言いながらアバッキオは苛立たしげに銀髪をかきあげると、ふいに少し黙り、ルナを見た。

「ーいいぜ。教えてやる。」

「ほんと!?やった〜。Grazie!アバッキオ。」

ついて来い、と言われて、ついて行くと、一軒の店の前でアバッキオは止まった。

シンプルな造りのリストランテ。

「ここ?」
「ああ。入れよ。」

アバッキオはルナのためにドアを開けた。

中に入ると、アバッキオはどんどん店内を進み、奥の部屋へ。

その時、

「この、クサレ脳味噌があああっっ!!」

ものすごい大声が店中に響いた。

「このチンピラが俺をナメてんのかっ!?何回教えりゃあ理解できんだコラァ!!ろくご30ってやっておきながら、なんで30より減るんだこのド低脳があーっ!!」

奥のテーブルで、ハニーブラウンの髪の青年が、黒髪の少年?をボッコボコにしていた。

「何だと・・・」

シャッ!っと、刃物が出る音。
黒髪の少年が血だらけになりながら、茶色の髪の青年の喉元にナイフを突きつけていた。

「低脳って言ったな〜・・・殺してやる!殺してやるぜフーゴ・・・」

ルナは、隣のアバッキオを見た。

「取り込んでるみたいだけど。」

「・・・気にすんな。ーおいフーゴ!うるせえっ!毎回毎回キレんじゃあねえ!!」

「おー、アバッキオ。ん?誰だよ、その美人。」

のんびりとした口調でアバッキオに声をかけたのは、同じテーブルに座っている3人目の男だった。
黒ダイヤのような力強い瞳が印象的な、男らしいイケメンだ。

ルナ、来いよ。」

ーーこのシチュエーションが、まったく理解できないわ。

と、思いつつ、アバッキオが引いてくれた椅子に、すとん、と腰を下ろす。

アバッキオは、空いたカップに親切にお茶を注いでくれる。

「なあアバッキオ、こいつ誰?」

いつの間にケンカが収まったのか、黒髪の少年が訝しげにルナを見た。

するとアバッキオは、片手を挙げてカメリエーレを呼びながら、ひとこと、言った。

「ブチャラティが惚れてる女。」

ブハッ!!と、ルナが盛大にお茶を吹き出すのと、アバッキオ以外の悲鳴にも似た叫び声がさっきの何倍もの大きさで響き渡るのが、同時だった。





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