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4

まさか、イタリアに来てまで天然呼ばわりされるとは・・・とほほ。

ルナは、隣を歩く青年をちらりと見上げた。

モデルのような完璧な八頭身。

その堂々とした長身から、人目を惹く存在感と、色気がにじみ出ている。

サラサラのブルーブラックの髪、高い鼻梁を挟んだ、切れ長のサファイアの瞳は理知的で、いかにも聡明そうに輝いていた。

ーーいやまじで、すっごい美形だわ。

男の人なのに、色気がすごい。

しかも、やることなすこと全部スマート!!

私のキャリーケースをさっと持ってくれたし、車道側を歩いてくれるし、さりげなく歩くペースを合わせてくれるし。

いや〜、イタリアーノすごいわ。感心する。

ナンパはうっとおしいけど。

「ーー危ない。」

急にブチャラティに腕を引かれて、びっくりしたルナのそばを自転車が走り抜ける。

腕を引かれた拍子に、ほんのかすかに香るマリンノート。

「ブローノって、モテそうね。」

「何を急に。」

「いや女の子の扱いが上手いっていうか・・・ただでさえ超イケメンなのに、反則でしょ。」

「俺は別にイケメンじゃあないが、君みたいな美人に褒められるのは光栄だ。さっきから、やっかんだ男の視線で俺は殺されそうなんだぜ?ネアポリス中の男を敵に回しそうだ。」

ルナは、かあっと顔が熱くなった。

だから、さっきから、さらっとそういうこと言うのやめて欲しいわ。

日本人なのよ!免疫ないの!

ブチャラティは、くっくっと笑いながら赤くなったルナを見ている。

ルナはイタリア語が上手いな。」

「あ、うん。ママがイタリア人なの。パパは日本人。」

まあ、今、ネイティブ並みに話せてるのは、露伴ちゃんにヘブンズ・ドアーで、、、という説明は省略。

その時、

「ブチャラティ。」

突然、名前を呼ばれて、ブチャラティの表情がすっと引き締まる。

「アバッキオ、どうした。」

見ると、長い銀色の髪の男が、こちらへ近づいて来ていた。

黒のロングコートに、唇には青紫のルージュ、というなかなか個性的な出で立ちだが、スタイルが良く顔立ちが整っているので、よく似合っている。

ブローノの仲間かしら。
イケメンの仲間はやっぱりイケメンね〜。ちょっとコワモテだけど。

「みんなそろってるぜ。」

「そうか。」

言ってブチャラティはルナを見ると、数メートル先の建物を指差しながら、

ルナ、ホテルはそこだ。入り口が見えるだろう。一人で行けるか?」

「平気よ。助かったわ、ブローノ。本当にありがとう。」

ルナはキャリーケースを受け取ると、にっこり笑った。

「しばらくは滞在する予定なの。時間がある時に寄って?お礼をするわ。」







ーーCiao!と、女が手を振って歩いて行く。

その姿が完全にホテルの中に消えるのを見届けてから、ブチャラティは歩き出した。

「誰だ?あの女。」

「ただの迷子だ。」

いつもの冷静なその声に、どこか楽しげな響きが混じっていることに、アバッキオは気づいた。

ーー笑ってたよな、こいつ。

アバッキオは、声をかける前の、ブチャラティと女の様子を思い出す。

ブチャラティが<普通に>笑うところなんて、もしかして、初めて見たんじゃあねえか?

確かに、はっとするほど美しい顔をしていた。
シンプルな格好だったが、スタイルも悪くなさそうだった。

そして、たいていの奴はビビってまともにこっちを見れないのに、平然と自分の目を見返してきた、あの紫色の瞳ーーーー。

「惚れたのか?」

なぜそんなことをきいたのかわからないが、気がつくと、言葉が口から出ていた。

ブチャラティは歩みを止めないまま、ややあって答えた。

「・・・かもな。」

「!?」

寄って来る女はたくさんいるが、けっして首を縦に振ることはない、このクールな男が。

「へえ・・・堅物のあんたがねえ。」

アバッキオは、ブチャラティの肩に手を置き、ニヤッと笑って顔をのぞきこんだ。

「ま、せいぜい頑張れよ。敵は多そうだけどな。」

すると、ブチャラティは不敵に笑ってアバッキオを見すえた。

「手を出すなよ。」

ーーマジか。



4.5

ホテルの部屋は、なんとジュニアスイートだった。承太郎さん、ありがとう。

ルナは、シャワーを浴びてさっぱりした後、ウェルカムシャンパンを開けた。

イタリアって、18歳からお酒飲めるのよね。素敵。

堪能していると、部屋の電話が鳴り、フロントから、届け物があると伝えられた。

「ーーーー!!」

部屋に届いたのは、両手いっぱいの、ピンク色の薔薇の花束。

カードを見ると、

ーー月の女神に感謝を込めて
Bruno Bucciarati ーー

思わず絶句する私。

「か、感謝するのは私の方でしょ・・・てか、イタリアーノ!!」

ルナが、熱くなった頰を花束に埋めると、むせかえるようなバラの芳香が漂った。

「でも・・・良い香り・・・」





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