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49
「裏切り者はもうひとりいたのか・・・」
ーーさすが、と言うべきなのかしら。
ルナは携帯を握りしめたまま、再び緊張が高まるのを感じた。
なんて用心深いの・・・圧倒的有利な立場にいるのに、正確には知らないであろう私のスタンド能力を警戒して、相変わらず姿は見せない。さっき、一瞬だけ声が動揺していたけれど、今はそれもない。
この目で見るか、少なくともイメージを認識するか。どちらかができなければ、アブソリュート・ブレスの能力は発揮できない。こういう、相手が気づけない攻撃を仕掛けてくる敵とは、すこぶる相性が悪い・・・!
「チームの新入り・・・情報では名前は確か、ジョルノ・ジョバァーナだったか?そいつも私を裏切ったというわけか?」
ーーブローチのおかげで、ハルくんには私の位置がわかる。きっと今頃、全速力で向かってくれてるはず。
「いや・・・むしろその新入り、最初から裏切るつもりで我が組織に入団して来たと考える方が自然かな?自分の実力を過大に評価し、うぬぼれたゆえの愚行・・・そういうことかな。」
ーー早く。
早くハルくんに、ブローノの身体の<部品>を造ってもらわなければ。
「・・・うぬぼれているのは、ボス、あなたの方でしょう。」
ルナは再びスタンドでブチャラティの傷をふさぎながら続ける。
「自分の保身のために部下の命を簡単に切り捨てて、何様のつもり?絶頂のままでいられる人間なんてー、いいえ、たとえ<人間をやめたとしても>、そんなことはできないわ。必ず目の前に立ちはだかるのよ、黄金の精神をもつ者たちが・・・運命を司るスタンド使いが、ひとつだけ予言してあげましょうか?」
『おまえの気高き<覚悟>と、黄金のような <夢>に賭けよう、ジョルノ・ジョバァーナ。』
「ジョルノは、必ずあなたを倒す・・・!」
・・・ジョセフおじいちゃんも、承太郎さんも、仗助も、そうであるように。
ジョースターの血を引く人間は、一度やると決めたら必ずやり遂げる。
その意志と覚悟は、ハルくんにも確かに受け継がれている・・・!
「・・・やはり、おまえは<災厄>だ。」
「ー!」
ゾクリ、と、ルナの背筋が凍りつく。
声の調子は穏やかであるのにーー、息苦しいほどの圧倒的な<憎悪>が、自分に向かって流れ込んでくるのを感じた。
「ルナ、おまえは、<今ここで>、確実に殺しておかなければならない・・・私の永遠の絶頂の為にッ!」
ーーまずい!さっきは奇跡的に避けられたけれど、この男にはきっと同じ手は二度と通じない。本体もスタンドも見えない状態で、時を飛ばされてしまったらーーー!
「スティッキィ・フィンガーズ!」
えっ!?
ルナが驚きのあまり言葉を失うのと、そんな彼女の身体をブチャラティの腕が強く引き寄せるのが、同時だった。
「ーキング・クリムゾン!」
空間が歪む。
そして、はっとした次の瞬間、
「ここまでだブチャラティ!くらえっ!」
ルナは瞬間的に、ボスは時を消し飛ばし、ブチャラティの攻撃をかわしたのだと思った。
「あんたの能力、無敵だが・・・動きを読めるのは短い時間だけらしい。先を読んでいない!時間の先を!」
しかしブチャラティは、ルナを片腕で抱きかかえながら、
「スティッキィ・フィンガーズで攻撃しようとしたのは、あんたではないっ!この柱だ!閉じろ、ジッパーッ!」
射程距離を伸ばしたスティッキィ・フィンガーズの腕が向かった先。それは、ジッパーで真っ二つになった柱だった。
「つかまれ!ルナ!」
ルナはブチャラティの首に腕を回してしがみつく。一階に向けて勢いよく身体が浮き上がった瞬間、床の上でキラリと何かが光るのが見えた。
あれはーー!
「アブソリュート・ブレス!」
金色の矢が弾かれたようにルナの手の中に飛び込んで来る。
「!?きさま・・・!」
「・・・私のママのものなんでしょう?返してもらうわ。」
そう言って、わずかに残った力を振り絞り、もう一度スタンドを発動させた。上を見て一階の大理石の床の一部を能力で支配すると、ガラガラと轟音を響かせながら地下へ崩れ落ちてゆく。
・・・これぐらいで死んでくれる奴じゃあない。でもせめて、少しの間足止めになれば。
そうして、ブチャラティのジッパーで一階に登り切った途端、
「ブチャラティ!ルナ!」
待ち望んでいた声が聞こえた。
「ハルくん!」
叫んだ途端、くらりと眩暈がした。
こちらに駆け寄って来るその姿が目に飛びむと、安心するのはまだ早いのに、意識が遠ざかってゆく。
よかった。これでブローノは、助かる・・・
♢
「この傷は!?ブチャラティ、いったい地下で何が・・・!?」
倒れ込んだブチャラティの傷を見た刹那、ジョルノは絶句した。
二人とも血まみれだが、ルナはおそらく気を失っているだけだ。生命を与えたてんとう虫のブローチからもそれを感じる。しかしブチャラティは・・・この、背中から腹へ何かが貫通した跡。これだけの大怪我を負い大量の血を失いながら、この人は、ルナを守りながら地下から脱出してきたのか!?信じられない。なんという精神力だ・・・!
ジョルノはすぐさまスタンドを発動させ、ミスタの頭の傷を治した(正確には新しいパーツを造った)のと同じように、ブチャラティの手当てをする。すると、
「ジョルノ!」
間髪を入れずブチャラティは、身を起こしながら叫んだ。
「アバッキオたちを呼べ!この教会から脱出するんだ!」
「ブチャラティ!よかった!ボスはー」
「早く呼べっ!ボスの正体は今は解くことはできない!ルナを連れて脱出するんだ!距離があるうちに!」
ブチャラティは、ルナの身体を両腕に抱き上げながら、
「ルナが殺される!説明は後だ!急げジョルノ!」
「ゴールド・エクスペリエンス!」
ガシャッ!!と、教会の入り口付近の壁に、魚に姿を変えたノートパソコンが激突する。
「ジョルノの奴があそこにいるぞッ!」
「おいきさま!ジョルノ!戻って来いっ!勝手に上陸して、この始末どう付ける気だ!」
「ブチャラティもいる!ーえ?おい!?どうしたんだ、ルナ!?」
仲間たちが血相を変えて集まって来る。ブチャラティに続いて走り出した、次の瞬間、
「!!」
一瞬、背後に強い殺気を感じた。
振り向いた先には、ただ無残に破壊された祈りの空間があるだけで、誰もいない。
・・・状況がよくわからないが、ボスが、このままブチャラティとルナを逃がすわけはない。
ジョルノはそう思いながら、仲間たちに合流すべく足を速めた。
「裏切り者はもうひとりいたのか・・・」
ーーさすが、と言うべきなのかしら。
ルナは携帯を握りしめたまま、再び緊張が高まるのを感じた。
なんて用心深いの・・・圧倒的有利な立場にいるのに、正確には知らないであろう私のスタンド能力を警戒して、相変わらず姿は見せない。さっき、一瞬だけ声が動揺していたけれど、今はそれもない。
この目で見るか、少なくともイメージを認識するか。どちらかができなければ、アブソリュート・ブレスの能力は発揮できない。こういう、相手が気づけない攻撃を仕掛けてくる敵とは、すこぶる相性が悪い・・・!
「チームの新入り・・・情報では名前は確か、ジョルノ・ジョバァーナだったか?そいつも私を裏切ったというわけか?」
ーーブローチのおかげで、ハルくんには私の位置がわかる。きっと今頃、全速力で向かってくれてるはず。
「いや・・・むしろその新入り、最初から裏切るつもりで我が組織に入団して来たと考える方が自然かな?自分の実力を過大に評価し、うぬぼれたゆえの愚行・・・そういうことかな。」
ーー早く。
早くハルくんに、ブローノの身体の<部品>を造ってもらわなければ。
「・・・うぬぼれているのは、ボス、あなたの方でしょう。」
ルナは再びスタンドでブチャラティの傷をふさぎながら続ける。
「自分の保身のために部下の命を簡単に切り捨てて、何様のつもり?絶頂のままでいられる人間なんてー、いいえ、たとえ<人間をやめたとしても>、そんなことはできないわ。必ず目の前に立ちはだかるのよ、黄金の精神をもつ者たちが・・・運命を司るスタンド使いが、ひとつだけ予言してあげましょうか?」
『おまえの気高き<覚悟>と、黄金のような <夢>に賭けよう、ジョルノ・ジョバァーナ。』
「ジョルノは、必ずあなたを倒す・・・!」
・・・ジョセフおじいちゃんも、承太郎さんも、仗助も、そうであるように。
ジョースターの血を引く人間は、一度やると決めたら必ずやり遂げる。
その意志と覚悟は、ハルくんにも確かに受け継がれている・・・!
「・・・やはり、おまえは<災厄>だ。」
「ー!」
ゾクリ、と、ルナの背筋が凍りつく。
声の調子は穏やかであるのにーー、息苦しいほどの圧倒的な<憎悪>が、自分に向かって流れ込んでくるのを感じた。
「ルナ、おまえは、<今ここで>、確実に殺しておかなければならない・・・私の永遠の絶頂の為にッ!」
ーーまずい!さっきは奇跡的に避けられたけれど、この男にはきっと同じ手は二度と通じない。本体もスタンドも見えない状態で、時を飛ばされてしまったらーーー!
「スティッキィ・フィンガーズ!」
えっ!?
ルナが驚きのあまり言葉を失うのと、そんな彼女の身体をブチャラティの腕が強く引き寄せるのが、同時だった。
「ーキング・クリムゾン!」
空間が歪む。
そして、はっとした次の瞬間、
「ここまでだブチャラティ!くらえっ!」
ルナは瞬間的に、ボスは時を消し飛ばし、ブチャラティの攻撃をかわしたのだと思った。
「あんたの能力、無敵だが・・・動きを読めるのは短い時間だけらしい。先を読んでいない!時間の先を!」
しかしブチャラティは、ルナを片腕で抱きかかえながら、
「スティッキィ・フィンガーズで攻撃しようとしたのは、あんたではないっ!この柱だ!閉じろ、ジッパーッ!」
射程距離を伸ばしたスティッキィ・フィンガーズの腕が向かった先。それは、ジッパーで真っ二つになった柱だった。
「つかまれ!ルナ!」
ルナはブチャラティの首に腕を回してしがみつく。一階に向けて勢いよく身体が浮き上がった瞬間、床の上でキラリと何かが光るのが見えた。
あれはーー!
「アブソリュート・ブレス!」
金色の矢が弾かれたようにルナの手の中に飛び込んで来る。
「!?きさま・・・!」
「・・・私のママのものなんでしょう?返してもらうわ。」
そう言って、わずかに残った力を振り絞り、もう一度スタンドを発動させた。上を見て一階の大理石の床の一部を能力で支配すると、ガラガラと轟音を響かせながら地下へ崩れ落ちてゆく。
・・・これぐらいで死んでくれる奴じゃあない。でもせめて、少しの間足止めになれば。
そうして、ブチャラティのジッパーで一階に登り切った途端、
「ブチャラティ!ルナ!」
待ち望んでいた声が聞こえた。
「ハルくん!」
叫んだ途端、くらりと眩暈がした。
こちらに駆け寄って来るその姿が目に飛びむと、安心するのはまだ早いのに、意識が遠ざかってゆく。
よかった。これでブローノは、助かる・・・
♢
「この傷は!?ブチャラティ、いったい地下で何が・・・!?」
倒れ込んだブチャラティの傷を見た刹那、ジョルノは絶句した。
二人とも血まみれだが、ルナはおそらく気を失っているだけだ。生命を与えたてんとう虫のブローチからもそれを感じる。しかしブチャラティは・・・この、背中から腹へ何かが貫通した跡。これだけの大怪我を負い大量の血を失いながら、この人は、ルナを守りながら地下から脱出してきたのか!?信じられない。なんという精神力だ・・・!
ジョルノはすぐさまスタンドを発動させ、ミスタの頭の傷を治した(正確には新しいパーツを造った)のと同じように、ブチャラティの手当てをする。すると、
「ジョルノ!」
間髪を入れずブチャラティは、身を起こしながら叫んだ。
「アバッキオたちを呼べ!この教会から脱出するんだ!」
「ブチャラティ!よかった!ボスはー」
「早く呼べっ!ボスの正体は今は解くことはできない!ルナを連れて脱出するんだ!距離があるうちに!」
ブチャラティは、ルナの身体を両腕に抱き上げながら、
「ルナが殺される!説明は後だ!急げジョルノ!」
「ゴールド・エクスペリエンス!」
ガシャッ!!と、教会の入り口付近の壁に、魚に姿を変えたノートパソコンが激突する。
「ジョルノの奴があそこにいるぞッ!」
「おいきさま!ジョルノ!戻って来いっ!勝手に上陸して、この始末どう付ける気だ!」
「ブチャラティもいる!ーえ?おい!?どうしたんだ、ルナ!?」
仲間たちが血相を変えて集まって来る。ブチャラティに続いて走り出した、次の瞬間、
「!!」
一瞬、背後に強い殺気を感じた。
振り向いた先には、ただ無残に破壊された祈りの空間があるだけで、誰もいない。
・・・状況がよくわからないが、ボスが、このままブチャラティとルナを逃がすわけはない。
ジョルノはそう思いながら、仲間たちに合流すべく足を速めた。