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44
『ルナ!それは・・・』
『あ、ママ!キラキラしてきれいでしょ?お友だちなの。』
『・・・それは、<スタンド>っていうの。あなたの分身なのよ。でもあなたの歳で、もうこんなにハッキリ現れるなんて・・・』
『すたんど?』
『そうよ。あなたのおばあちゃんも、おばあちゃんのおばあちゃんも、みんな、この力を持っていた。一族にとても古くから受け継がれている力。とても・・・強くて、恐い力よ。』
『え?こわいの?こわいなら、ルナ、やだなあ、、、』
『そう、ね・・・大きすぎる力には、代償が伴うのよ。』
ふわり、と、何かが頬に触れた気がした。
「・・・すまない。起こしてしまったか?」
ぼんやりとした視界にブチャラティが映る。ルナは、2、3度まばたきをしてようやく、頭が現実に戻って来た。
夢・・・?
私、寝ちゃったんだ、、、
ソファに横になった身体には毛布がかけてある。それをブチャラティが直してくれた拍子に目が覚めたらしい。
「私、どれぐらい寝てた、、、?」
「少しだ。ヴェネツィアまではまだ数時間かかる。もう少し眠るといい。」
ブチャラティは優しく微笑み、ルナの頭を撫でる。
その時、机の上のノートパソコンからメールの着信音が響いた。確認に向かったブチャラティの表情が厳しくなる。
「ーボスから新しい指示がきている。」
ルナは身体を起こす。正面のソファでくつろいでいたアバッキオとナランチャも、顔を上げてこちらを見た。
「アバッキオ、ここの椅子の所に来てくれないか。」
「俺?」
「指令の内容だ。」
アバッキオが不思議そうな顔をする。ルナもパソコンのディスプレイをのぞき込んだ。
---ーー------ーー----------
アバッキオのムーディ・ブルースをダイニングチェアーのそばにて14時間以上巻き戻せ。
---ーー------ーー----------
ボスの男は、みんなのスタンドを知っているのね・・・
ふとそう思った途端、ルナは、なぜか胸がざわつくのを感じた。
何かしら。この、イヤな感じ・・・
「俺たちが入る前に、誰かがこの亀の中に入っていたということだろう。」
「じゃあ、15時間あたりからサーチするぜ。」
その言葉と同時に、アバッキオの背後にムーディ・ブルースが現れる。特徴的な音を響かせながら額のカウンターが回り始めた。
「あれ!このジジイ、見たことあるぞ!」
ムーディ・ブルースが変身したのは、壁に手をつき、椅子の背もたれに乗っかった小柄な男だった。
「幹部のペリーコロさんだ。ネアポリス駅の水飲み場に亀を置いたのは、彼だったようだな。」
「そして約14時間前、この亀の中に入って来た・・・リプレイするぞ。」
カチッ、という音がして、カウンターが動き出す。
「ブチャラティとそのチームよ、君たちに最後の指令を伝える。」
ー最後?
「こんな方法でメッセージを伝えるのは情報漏洩を防ぐ為であり、もっとも重要で絶対に誰にも知られてはならない、ボスがルナに会う方法を伝えるからだ。」
途端、ナランチャが驚愕したように叫ぶ。
「ええっ!ボスが直接ルナと会うのかよォ!で、でもそれってーー・・・」
「・・・静かにしろ、ナランチャ。まだ続きがある。」
と、アバッキオが低く制した。
「それでは言う。ヴェネツィアに無事着いたら、この彫刻の所へ行き、像の中のOA-DISCを手に入れろ。その中に、ルナを連れて来る場所のデータが入力されている。」
言いながらペリーコロ(ムーディ・ブルースの変身だけど)は、一枚の写真をかざす。そしてポケットからライターを出し、写真の隅に火を点けた。
「アバッキオ!ポーズしろ。」
間髪を入れずブチャラティが言うと、ペリーコロが静止する。写真の炎も煙も、そのままの形で止まっていた。
何回見ても、この一時停止機能には感心するわあ、、、
「確かー、ここはヴェネツィアの入り口、サンタ・ルチア駅前。そこのライオン像だ。」
カチッ。
「以上だ。必ずOA-DISCを手に入れろ。わしのことはもうバレてしまっている。どうやって安全にソアラの娘であるルナがボスと会うのかーーー。もっとも重要なのはその点だ。何ひとつ証拠は残せない。」
ペリーコロの手がスーツの内側から銃を取り出すのを見て、全員がはっと息をのんだ。
「ボスのおかげで、わしは充分に充実した、実り豊かな人生を楽しませてもらったよ。これでわしの任務は終わりだ。君たちの無事を、心から願っておるよ・・・」
ーーまさか!
次の瞬間、亀の中の空間に一発の銃声が轟く。
ゆっくりと放射状に飛び散る血痕。穏やかな表情のまま倒れてゆく小柄な身体。
「何だとォォォッ!!?」
ナランチャの叫び声が響き渡る。ペリーコロから元の姿に戻ったムーディ・ブルースは、天井の中に吸い込まれた。
「ペリーコロさん・・・」
ブチャラティは苦しげな表情でうつむく。
ポルポの時とは違うその反応に、ルナは、ペリーコロはブチャラティにとって多少なりの敬意をもって接する相手だったのだろうと思った。
ーーどうして。
ルナは唇を噛みしめた。やりきれない想いが込み上げて、息が詰まりそうになる。
ペリーコロにとって組織はー、ボスの命令は、命より重いものだったのかもしれない。私には理解できない生き方だけれど、どんな生き方を選ぶかは人の勝手だから、そこは他人が口を出すことではないのだろう。
でも、この<命令>って。
<ボスと私が安全に会う為>って、聞こえはいいけどつまり、ボスが自分の正体を知られない為に、っていうことじゃない。結局ボスの男は、自分の保身の為にこんな回りくどいことをしているんじゃあないの?ヒットマンチームが私を狙うのも、私がボスの正体を知る手がかりだと思っているせいなんだから。
カプリ島で話を聞いた時から思っていた。
自身の保身の為に、部下が死ぬとわかっている命令を下す男とは、どうやっても相容れない気がする、と。
「・・・」
大きな手がルナの頭を包むように撫でる。目を上げると、ブチャラティが心配そうに眉をひそめて彼女を見ていた。まるで悪いのは自分だと言いたげな目をして。
『大きすぎる力には、代償が伴うのよ。』
・・・自分でも忘れていたぐらいなのに。
どうして、今この時に、こんな夢を見たの?
この先、ヴェネツィアでは何が待っているというのかしら・・・
♢
ーバキッ!!
ペッシは思わず目をつぶった。
「・・・どういうことだああッ〜!?え?プロシュートよおッ!」
殴り飛ばしたプロシュートの胸ぐらを、ギアッチョは乱暴につかみ上げる。
「・・・どうもこうもねえよ。今、話した通りだ。」
「ああァ!?このクソがッ!」
ペッシがプロシュートに連れられてアジトに戻ると、そこには入院しているホルマジオとイルーゾォを除くリゾット、ギアッチョ、メローネの3人が待っていた。
最初は3人とも、プロシュートの話を冷静に(少なくとも表面上は)聞いていたが、やはり、キレたのはギアッチョだった。
「そんな嘘くせえ話に乗って、みすみす女も連中も逃がしやがったのか!?アアッ!?てめえともあろう男が!何やってんだクソがあッ!」
プロシュートが殴られるのを見てペッシは気が気ではない。プロシュートは話をした後は、言い訳も抵抗もせず、されるがままだ。本当なら腕っぷしはギアッチョなんかに負けないのに。尊敬する男のこんな姿を見るのはつらかった。
ーーだから言ったじゃあねえかよォ、兄貴!うまくいくはずねえって!誰よりもチームのことを考えているアンタが!なんで!なんで!
その時、
「ー待て。」
反論を許さない低い声が場を制する。ギアッチョは舌打ちしてプロシュートを殴るのをやめ、乱暴に放り出した。
「どうする?リゾット。」
まるで食前酒のスプマンテを何にするか尋ねるような軽い調子で、メローネが問う。
「・・・確かめる。」
リゾットは顎に指をかけながら、
「ボスを倒すだけではなく、麻薬の流通を止めるなんていう絵空事を描くのは、よっぽどの馬鹿か、それともーー・・・」
「それとも?」
「・・・」
メローネの質問には答えず、リゾットはもう片方の手で、ポケットから紙きれを取り出す。どうやら写真のようだ。それに目をやりながら続けた。
「・・・いずれにせよ、奴らの行き先はわかっている。もし罠であれば俺が排除するまでだ。ブチャラティたちも、ルナも。」
『ルナ!それは・・・』
『あ、ママ!キラキラしてきれいでしょ?お友だちなの。』
『・・・それは、<スタンド>っていうの。あなたの分身なのよ。でもあなたの歳で、もうこんなにハッキリ現れるなんて・・・』
『すたんど?』
『そうよ。あなたのおばあちゃんも、おばあちゃんのおばあちゃんも、みんな、この力を持っていた。一族にとても古くから受け継がれている力。とても・・・強くて、恐い力よ。』
『え?こわいの?こわいなら、ルナ、やだなあ、、、』
『そう、ね・・・大きすぎる力には、代償が伴うのよ。』
ふわり、と、何かが頬に触れた気がした。
「・・・すまない。起こしてしまったか?」
ぼんやりとした視界にブチャラティが映る。ルナは、2、3度まばたきをしてようやく、頭が現実に戻って来た。
夢・・・?
私、寝ちゃったんだ、、、
ソファに横になった身体には毛布がかけてある。それをブチャラティが直してくれた拍子に目が覚めたらしい。
「私、どれぐらい寝てた、、、?」
「少しだ。ヴェネツィアまではまだ数時間かかる。もう少し眠るといい。」
ブチャラティは優しく微笑み、ルナの頭を撫でる。
その時、机の上のノートパソコンからメールの着信音が響いた。確認に向かったブチャラティの表情が厳しくなる。
「ーボスから新しい指示がきている。」
ルナは身体を起こす。正面のソファでくつろいでいたアバッキオとナランチャも、顔を上げてこちらを見た。
「アバッキオ、ここの椅子の所に来てくれないか。」
「俺?」
「指令の内容だ。」
アバッキオが不思議そうな顔をする。ルナもパソコンのディスプレイをのぞき込んだ。
---ーー------ーー----------
アバッキオのムーディ・ブルースをダイニングチェアーのそばにて14時間以上巻き戻せ。
---ーー------ーー----------
ボスの男は、みんなのスタンドを知っているのね・・・
ふとそう思った途端、ルナは、なぜか胸がざわつくのを感じた。
何かしら。この、イヤな感じ・・・
「俺たちが入る前に、誰かがこの亀の中に入っていたということだろう。」
「じゃあ、15時間あたりからサーチするぜ。」
その言葉と同時に、アバッキオの背後にムーディ・ブルースが現れる。特徴的な音を響かせながら額のカウンターが回り始めた。
「あれ!このジジイ、見たことあるぞ!」
ムーディ・ブルースが変身したのは、壁に手をつき、椅子の背もたれに乗っかった小柄な男だった。
「幹部のペリーコロさんだ。ネアポリス駅の水飲み場に亀を置いたのは、彼だったようだな。」
「そして約14時間前、この亀の中に入って来た・・・リプレイするぞ。」
カチッ、という音がして、カウンターが動き出す。
「ブチャラティとそのチームよ、君たちに最後の指令を伝える。」
ー最後?
「こんな方法でメッセージを伝えるのは情報漏洩を防ぐ為であり、もっとも重要で絶対に誰にも知られてはならない、ボスがルナに会う方法を伝えるからだ。」
途端、ナランチャが驚愕したように叫ぶ。
「ええっ!ボスが直接ルナと会うのかよォ!で、でもそれってーー・・・」
「・・・静かにしろ、ナランチャ。まだ続きがある。」
と、アバッキオが低く制した。
「それでは言う。ヴェネツィアに無事着いたら、この彫刻の所へ行き、像の中のOA-DISCを手に入れろ。その中に、ルナを連れて来る場所のデータが入力されている。」
言いながらペリーコロ(ムーディ・ブルースの変身だけど)は、一枚の写真をかざす。そしてポケットからライターを出し、写真の隅に火を点けた。
「アバッキオ!ポーズしろ。」
間髪を入れずブチャラティが言うと、ペリーコロが静止する。写真の炎も煙も、そのままの形で止まっていた。
何回見ても、この一時停止機能には感心するわあ、、、
「確かー、ここはヴェネツィアの入り口、サンタ・ルチア駅前。そこのライオン像だ。」
カチッ。
「以上だ。必ずOA-DISCを手に入れろ。わしのことはもうバレてしまっている。どうやって安全にソアラの娘であるルナがボスと会うのかーーー。もっとも重要なのはその点だ。何ひとつ証拠は残せない。」
ペリーコロの手がスーツの内側から銃を取り出すのを見て、全員がはっと息をのんだ。
「ボスのおかげで、わしは充分に充実した、実り豊かな人生を楽しませてもらったよ。これでわしの任務は終わりだ。君たちの無事を、心から願っておるよ・・・」
ーーまさか!
次の瞬間、亀の中の空間に一発の銃声が轟く。
ゆっくりと放射状に飛び散る血痕。穏やかな表情のまま倒れてゆく小柄な身体。
「何だとォォォッ!!?」
ナランチャの叫び声が響き渡る。ペリーコロから元の姿に戻ったムーディ・ブルースは、天井の中に吸い込まれた。
「ペリーコロさん・・・」
ブチャラティは苦しげな表情でうつむく。
ポルポの時とは違うその反応に、ルナは、ペリーコロはブチャラティにとって多少なりの敬意をもって接する相手だったのだろうと思った。
ーーどうして。
ルナは唇を噛みしめた。やりきれない想いが込み上げて、息が詰まりそうになる。
ペリーコロにとって組織はー、ボスの命令は、命より重いものだったのかもしれない。私には理解できない生き方だけれど、どんな生き方を選ぶかは人の勝手だから、そこは他人が口を出すことではないのだろう。
でも、この<命令>って。
<ボスと私が安全に会う為>って、聞こえはいいけどつまり、ボスが自分の正体を知られない為に、っていうことじゃない。結局ボスの男は、自分の保身の為にこんな回りくどいことをしているんじゃあないの?ヒットマンチームが私を狙うのも、私がボスの正体を知る手がかりだと思っているせいなんだから。
カプリ島で話を聞いた時から思っていた。
自身の保身の為に、部下が死ぬとわかっている命令を下す男とは、どうやっても相容れない気がする、と。
「・・・」
大きな手がルナの頭を包むように撫でる。目を上げると、ブチャラティが心配そうに眉をひそめて彼女を見ていた。まるで悪いのは自分だと言いたげな目をして。
『大きすぎる力には、代償が伴うのよ。』
・・・自分でも忘れていたぐらいなのに。
どうして、今この時に、こんな夢を見たの?
この先、ヴェネツィアでは何が待っているというのかしら・・・
♢
ーバキッ!!
ペッシは思わず目をつぶった。
「・・・どういうことだああッ〜!?え?プロシュートよおッ!」
殴り飛ばしたプロシュートの胸ぐらを、ギアッチョは乱暴につかみ上げる。
「・・・どうもこうもねえよ。今、話した通りだ。」
「ああァ!?このクソがッ!」
ペッシがプロシュートに連れられてアジトに戻ると、そこには入院しているホルマジオとイルーゾォを除くリゾット、ギアッチョ、メローネの3人が待っていた。
最初は3人とも、プロシュートの話を冷静に(少なくとも表面上は)聞いていたが、やはり、キレたのはギアッチョだった。
「そんな嘘くせえ話に乗って、みすみす女も連中も逃がしやがったのか!?アアッ!?てめえともあろう男が!何やってんだクソがあッ!」
プロシュートが殴られるのを見てペッシは気が気ではない。プロシュートは話をした後は、言い訳も抵抗もせず、されるがままだ。本当なら腕っぷしはギアッチョなんかに負けないのに。尊敬する男のこんな姿を見るのはつらかった。
ーーだから言ったじゃあねえかよォ、兄貴!うまくいくはずねえって!誰よりもチームのことを考えているアンタが!なんで!なんで!
その時、
「ー待て。」
反論を許さない低い声が場を制する。ギアッチョは舌打ちしてプロシュートを殴るのをやめ、乱暴に放り出した。
「どうする?リゾット。」
まるで食前酒のスプマンテを何にするか尋ねるような軽い調子で、メローネが問う。
「・・・確かめる。」
リゾットは顎に指をかけながら、
「ボスを倒すだけではなく、麻薬の流通を止めるなんていう絵空事を描くのは、よっぽどの馬鹿か、それともーー・・・」
「それとも?」
「・・・」
メローネの質問には答えず、リゾットはもう片方の手で、ポケットから紙きれを取り出す。どうやら写真のようだ。それに目をやりながら続けた。
「・・・いずれにせよ、奴らの行き先はわかっている。もし罠であれば俺が排除するまでだ。ブチャラティたちも、ルナも。」