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39
ーーまったく・・・
ギリリ、と、ブチャラティは奥歯を噛み締めた。
頭は冷静さを保とうとするが、どうにも苛立ちが収まらない。その怒りが、止めるのもきかずにひとりでミスタを助けに行った彼女へのものなのか、結局行くことを許した自分自身へのものなのか、判別できなかった。
ミスタを救いたい気持ちは当然理解できる。それを実行できる力もルナにはある。
本当にじゃじゃ馬だ。
『あ、あのブローノ、、、スタンド使って寝かせちゃったのはやりすぎたかもしれないけどー・・・ま、まさか、スティッキィ・フィンガーズで私を閉じ込めてやろう、なんて怖いこと考えてないわよね・・・?』
『・・・』
『なんで目をそらすのー!?』
その程度のことなど常に考えている、とは口に出さない。この思い通りにならない女を自分の中に閉じ込めて、危険にも他の男にも、指一本触れさせないように出来たらどんなにいいだろうか。
・・・要するに、問題はー、
「ーカンのいい奴だ。それに、なかなか素早い動きだ。」
ーーそんな女に俺が死ぬほど惚れていること、だ。
「とにかく、こいつを倒せばいいんだな?この黒い服の男の方を!」
「ソウダゼ!ブチャラティ!コイツヲ始末スリャア、ミンナノ老化ハ解除サレル!!」
スティッキィ・フィンガーズの拳を寸前でガードした金髪の男は、運転室の天井を見上げて信じられないというように目を見張っていた。
「なんでミスタのスタンドが、ここにいるんだ・・・!?」
男の銀色の目の奥が鋭く光った瞬間、No.6が叫ぶ。
「ソイツニ触ラレルナ!捕マルトモノスゴイスピードデ老化サセラレル!!」
その言葉が終わる前にスティッキィ・フィンガーズは腕を引き、男のスタンドの手をかわしながら攻撃をしかける。男は舌打ちしながら下がった。そこへ畳みかける。
「あ、兄貴ィィィ!!」
釣り竿のようなスタンドを持ったもう一人の男が叫ぶ。
「俺にかまうな!!亀を奪って、さっきの車両に戻れっ!」
ピクリ、と、ブチャラティは身体が反応した。
「ミスタの所だ!ルナは奴の所にいるっ!女を捕らえろっ!」
・・・スティッキィ・フィンガーズの最初の攻撃をかわしたことといい。
そう思う頃はすでに、運転室の床に飛び降りている。
ーカンがいい上に、状況を把握して対応するのが速い。かなり戦い慣れしている。
バキッ!と、鈍い音を立てながら釣り竿の男の顔にブチャラティの脚がめり込み、男は意識を飛ばして崩れ落ちる。
「・・・図星か。」
仲間が倒れても顔色ひとつ変えず、黒いスーツの男はブチャラティを見すえていた。
「なんでかは知らねえがミスタはまだギリギリ死んでなかった。それを助けに行ったってところか?やはりあの女、スタンド使いだな。だからあの時も妙に落ち着いていやがったわけだ・・・」
ブチャラティは眉をひそめる。
あの時?この男、ルナに直接会ったことがあるのか?
「・・・フン。そう睨むなよ、ブチャラティ。甘いんじゃあねえか?てめえの大事な女をー、護衛対象をひとりで行かせるなんざ・・・仲間を切り捨ててでも女を護る。それが任務じゃあねえのか?」
「・・・」
「幹部失格だな。ーくらえっ!」
下半身の無いスタンドがブチャラティに襲いかかる。間髪を入れずにスティッキィ・フィンガーズを発動させた。
「・・・簡単に護らせてくれる女なら、苦労はない。」
例の話をする余裕があるか?ーないな。
♢
ーーなんだか、イヤな予感。
ミスタの頭の負傷をスタンドで治しながら、ふとルナは顔を上げる。その拍子に、こめかみから顎に流れた汗が、床の上に滴り落ちた。
「ウエェェェンッ!!ルナ〜ッ!早クミスタヲ治シテオクレヨォッ!治ルヨナーッ!?」
「わかってるから泣かないの、No.5!いいから、バーで氷を探してどんどん持って来て!水でもいいわ、ミスタも私も老化が止まらない!」
いくらスタンドは精神が具現化されたものといっても、スタンドの使用は持ち主の身体的負担がゼロではない。体力やエネルギーを消費する。つまり、体温が上がる。
「なんでよりによって頭を撃たれるのよ、3発も!脳までいってなさそうだから良かったけど、出血が多くて・・・」
血の海で倒れているミスタが目に入った時は、一瞬、最悪の事態を想像した。かろうじて生きていてくれたけど、銃創の場所が場所なうえに複数だから、さすがに私のスタンドでも、すぐには元のように戻せない。傷をふさいでも失った血は戻らないから、しばらくは起き上がることもできないだろう。
「ウエッエッ・・・老化サセルスタンド使イガ撃ッタンダヨ〜ッ!!チョウドイマ、ブチャラティト戦ッテルヨ〜ッ!」
「!?どうしてわかるの?」
「No.6ガ教エテクレルンダヨーッ!オレタチハ離レテテモ会話ガデキルンダヨウッッ!」
それ、早く言ってよ。
「向こうはいったいどうなってるの!?教えて、No.5!」
と、その時、No.5がムンクの叫びのような顔でひときわ大きな悲鳴あげた。
「エエエエエエッ!?ムムム無茶ダッ、ブチャラティ!ヤメローッ!」
ーーよく思うの。
イヤな予感ほどよく当たるのは、なぜかしら、って。
「ブチャラティガッ!ジッパーデ切リ開イテッ!老化サセル男ゴト、列車カラ飛ビ降リヨウトシテルッテ言ッテルヨ〜ッ!!」
息が止まるかと思った。
「何ですって!?」
食堂車を飛び出し、デッキの部分に走る。アブソリュート・ブレスで乗降口のドアを吹き飛ばすと、猛烈な風が車内に吹き込んだ。
「ーっ!!」
目に飛び込んできたのは、先の車両の外壁にへばりつくような二つの人影だった。ブチャラティと、もう一人いる。列車につかまってるというより、何かに<引っ張られて>いるように見えた。
「ブローノ!!」
時速150キロは出ているだろう。
落ちたら死ぬ。確実に。
「釣リ竿ノヤツダッ!!モウヒトリノ敵ガ、スタンドノ釣リ糸デ引ッ張ッテ仲間ヲ助ケテルンダッ!」
「Shit・・・!」
ルナは舌打ちしながらスタンドを発動させた。正直、出来るかどうか自信がない。でも、やるしかない。
「シワシワのおばあちゃんになったら、恨んでやるから・・・!」
ーーまったく・・・
ギリリ、と、ブチャラティは奥歯を噛み締めた。
頭は冷静さを保とうとするが、どうにも苛立ちが収まらない。その怒りが、止めるのもきかずにひとりでミスタを助けに行った彼女へのものなのか、結局行くことを許した自分自身へのものなのか、判別できなかった。
ミスタを救いたい気持ちは当然理解できる。それを実行できる力もルナにはある。
本当にじゃじゃ馬だ。
『あ、あのブローノ、、、スタンド使って寝かせちゃったのはやりすぎたかもしれないけどー・・・ま、まさか、スティッキィ・フィンガーズで私を閉じ込めてやろう、なんて怖いこと考えてないわよね・・・?』
『・・・』
『なんで目をそらすのー!?』
その程度のことなど常に考えている、とは口に出さない。この思い通りにならない女を自分の中に閉じ込めて、危険にも他の男にも、指一本触れさせないように出来たらどんなにいいだろうか。
・・・要するに、問題はー、
「ーカンのいい奴だ。それに、なかなか素早い動きだ。」
ーーそんな女に俺が死ぬほど惚れていること、だ。
「とにかく、こいつを倒せばいいんだな?この黒い服の男の方を!」
「ソウダゼ!ブチャラティ!コイツヲ始末スリャア、ミンナノ老化ハ解除サレル!!」
スティッキィ・フィンガーズの拳を寸前でガードした金髪の男は、運転室の天井を見上げて信じられないというように目を見張っていた。
「なんでミスタのスタンドが、ここにいるんだ・・・!?」
男の銀色の目の奥が鋭く光った瞬間、No.6が叫ぶ。
「ソイツニ触ラレルナ!捕マルトモノスゴイスピードデ老化サセラレル!!」
その言葉が終わる前にスティッキィ・フィンガーズは腕を引き、男のスタンドの手をかわしながら攻撃をしかける。男は舌打ちしながら下がった。そこへ畳みかける。
「あ、兄貴ィィィ!!」
釣り竿のようなスタンドを持ったもう一人の男が叫ぶ。
「俺にかまうな!!亀を奪って、さっきの車両に戻れっ!」
ピクリ、と、ブチャラティは身体が反応した。
「ミスタの所だ!ルナは奴の所にいるっ!女を捕らえろっ!」
・・・スティッキィ・フィンガーズの最初の攻撃をかわしたことといい。
そう思う頃はすでに、運転室の床に飛び降りている。
ーカンがいい上に、状況を把握して対応するのが速い。かなり戦い慣れしている。
バキッ!と、鈍い音を立てながら釣り竿の男の顔にブチャラティの脚がめり込み、男は意識を飛ばして崩れ落ちる。
「・・・図星か。」
仲間が倒れても顔色ひとつ変えず、黒いスーツの男はブチャラティを見すえていた。
「なんでかは知らねえがミスタはまだギリギリ死んでなかった。それを助けに行ったってところか?やはりあの女、スタンド使いだな。だからあの時も妙に落ち着いていやがったわけだ・・・」
ブチャラティは眉をひそめる。
あの時?この男、ルナに直接会ったことがあるのか?
「・・・フン。そう睨むなよ、ブチャラティ。甘いんじゃあねえか?てめえの大事な女をー、護衛対象をひとりで行かせるなんざ・・・仲間を切り捨ててでも女を護る。それが任務じゃあねえのか?」
「・・・」
「幹部失格だな。ーくらえっ!」
下半身の無いスタンドがブチャラティに襲いかかる。間髪を入れずにスティッキィ・フィンガーズを発動させた。
「・・・簡単に護らせてくれる女なら、苦労はない。」
例の話をする余裕があるか?ーないな。
♢
ーーなんだか、イヤな予感。
ミスタの頭の負傷をスタンドで治しながら、ふとルナは顔を上げる。その拍子に、こめかみから顎に流れた汗が、床の上に滴り落ちた。
「ウエェェェンッ!!ルナ〜ッ!早クミスタヲ治シテオクレヨォッ!治ルヨナーッ!?」
「わかってるから泣かないの、No.5!いいから、バーで氷を探してどんどん持って来て!水でもいいわ、ミスタも私も老化が止まらない!」
いくらスタンドは精神が具現化されたものといっても、スタンドの使用は持ち主の身体的負担がゼロではない。体力やエネルギーを消費する。つまり、体温が上がる。
「なんでよりによって頭を撃たれるのよ、3発も!脳までいってなさそうだから良かったけど、出血が多くて・・・」
血の海で倒れているミスタが目に入った時は、一瞬、最悪の事態を想像した。かろうじて生きていてくれたけど、銃創の場所が場所なうえに複数だから、さすがに私のスタンドでも、すぐには元のように戻せない。傷をふさいでも失った血は戻らないから、しばらくは起き上がることもできないだろう。
「ウエッエッ・・・老化サセルスタンド使イガ撃ッタンダヨ〜ッ!!チョウドイマ、ブチャラティト戦ッテルヨ〜ッ!」
「!?どうしてわかるの?」
「No.6ガ教エテクレルンダヨーッ!オレタチハ離レテテモ会話ガデキルンダヨウッッ!」
それ、早く言ってよ。
「向こうはいったいどうなってるの!?教えて、No.5!」
と、その時、No.5がムンクの叫びのような顔でひときわ大きな悲鳴あげた。
「エエエエエエッ!?ムムム無茶ダッ、ブチャラティ!ヤメローッ!」
ーーよく思うの。
イヤな予感ほどよく当たるのは、なぜかしら、って。
「ブチャラティガッ!ジッパーデ切リ開イテッ!老化サセル男ゴト、列車カラ飛ビ降リヨウトシテルッテ言ッテルヨ〜ッ!!」
息が止まるかと思った。
「何ですって!?」
食堂車を飛び出し、デッキの部分に走る。アブソリュート・ブレスで乗降口のドアを吹き飛ばすと、猛烈な風が車内に吹き込んだ。
「ーっ!!」
目に飛び込んできたのは、先の車両の外壁にへばりつくような二つの人影だった。ブチャラティと、もう一人いる。列車につかまってるというより、何かに<引っ張られて>いるように見えた。
「ブローノ!!」
時速150キロは出ているだろう。
落ちたら死ぬ。確実に。
「釣リ竿ノヤツダッ!!モウヒトリノ敵ガ、スタンドノ釣リ糸デ引ッ張ッテ仲間ヲ助ケテルンダッ!」
「Shit・・・!」
ルナは舌打ちしながらスタンドを発動させた。正直、出来るかどうか自信がない。でも、やるしかない。
「シワシワのおばあちゃんになったら、恨んでやるから・・・!」