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38
凍らせた飲みものでナランチャを冷やしながら、ルナは天井を見上げる。
高速で走る列車の音にかき消されて、他の音が聞こえない。亀の外の様子をうかがい知ることが出来なかった。
ミスタが出て行ってしばらく経ったが、まだ敵のスタンドは解除されていない。確実に年をとっていっている。
「このスタンド使い、絶対、女の敵だわ・・・」
思わずぼそりと呟くと、フーゴとジョルノとアバッキオのいるソファの前から、ブチャラティが振り向いた。
「大丈夫か?ルナ。無理するな。体温が上がって君が老化したら元も子もないんだ。」
「わかってる。」
男である自分の方がつらいだろうに、私のことばかり心配する。何かあったら自分の命より私を助けることを優先するだろう。任務とは関係なく。
「ブローノ。」
ルナは少し眉をひそめると、
「当たり前のように、私のために自分を犠牲にしないでね。」
言って、凍らせた瓶入りの水をブチャラティへ放った。彼は目を見張りながらそれを手の中へキャッチする。
「・・・ああ。わかった。」
「本当に?」
疑いの眼ざしを向ける彼女に、ブチャラティはふっと笑った。
「別に俺は、自己犠牲がしたいわけじゃあない。優先順位がはっきりしているだけだ。」
「・・・それ、わかってないでしょ。やっぱり。」
と、ルナが溜め息をついたその時、
「ブ、ブチャラティーッ!!ルナーッ!!」
聞き覚えのある声がして、見ると、氷を抱えたミスタのスタンドが、尋常じゃなく慌てた様子で亀の中に飛び込んで来た。
「No.6!?どうした!」
「大変ダッ!!ミスタガーッ!!」
「!?」
♢
ーどこに、どうやって奴らは隠れているのか・・・わかりかけてきたぜ。
プロシュートは運転室を調べながら思う。
捜す発想を4次元的にしなくてはいけないんだ。ブチャラティは駅のホームで、ボスから何か<黒いもの>を受け取った。
「・・・それだ。」
この運転室で、今探すものはそれだ・・・!
「ここが正念場だぜ、ペッシ。思い出すんだ。些細なことでいいんだ。さっき運転室で妙なものはなかったか?黒っぽいもの、とかよ・・・」
「え?ーそ、そうだ兄貴!!オレさっき、運転席の下を見てみようと思ったんだ!何か妙だったんだッ!」
叫びながら座席の下を覗き込んだペッシの大きな身体が固まる。近づいたプロシュートは、床の上にふと違和感を抱いた。
「な、ない・・・すまねえ、気のせいだった。やっぱりそのー・・・当てにしねえでくれよ、オレなんかのカンをー」
「いや、そうでもねえようだぞ。」
プロシュートはきっぱりと言った。
「でかしたぞペッシ。謎は解けたぜ、おまえのおかげですべて理解したぞ!」
「あ、兄貴?」
「なんで電車の運転席の下に、いきなり動物のフンがあるんだ?ネズミなんかじゃあねえ。ネズミとかなら、もうとっくに寿命でくたばってるからな。古いフンじゃあねえ、今しましたって感じだ。いったいどういうことだ、え?」
チラリと視線を走らせる。
列車を動かすための運行装置の下には、小さな扉や空間がたくさんある。
「スタンド能力は、人間だけが持つものとは限らねえ。そしてこの動物は、物陰を移動してるってことだ!グレイトフルデッド!」
鈍い金属音が響き、グレイトフルデッドの拳が装置の下の壁面を破壊する。その裏から現れたものを見て、ペッシが絶叫した。
「な、なんだこりゃあああ!!?亀だよ!亀だァァァァァ!!」
プロシュートの目は、亀の背に埋め込まれたキーと、その赤い宝石部分を通していくつかの人影を捉える。
「ーいない!?」
いや、ブチャラティのチームの連中はいる。始末したミスタ以外、4人。予想通り全員寿命で死にそうだ。しかしブチャラティの姿が見えない。何よりー、
「女はー、ルナはどこだっ!?」
♢
ーー普段の心がけが良かったというか、ギリギリ運が良かったというか・・・
ミスタは薄れてゆく意識の中で、No.5の泣き声を聞いていた。
こいつらがいるってことは、俺はまだ生きてるっていうことか。
しかし身体はピクリとも動かない。不思議と痛みはない。ただ、寒いと思った。
油断した。まさか老化のスタンド使いが、自分を老化させて乗客にまぎれているなんて。手を掴まれた瞬間、身体からエネルギーを急激に吸い取られたような感じがしてー、力が入らなくなった。
「No.5・・・もう一つ、頼みがあるんだが・・・」
「ウエエンッ!ブチャラティノ所ヘナラ、No.6ヲ復活サセタカラ、モウスデニ行ッタヨーッ!ミスタ!アンタノポケットノ中ノ氷ヲ持ッテ、敵ガ二人、亀ニ迫ッテルッテ、知ラセニ行ッタヨォォォ!!」
「それで・・・オーケー、だ・・・俺には、もう氷は・・・必要ねえ、からな・・・」
「ミスタァァァァァ!」
耳鳴りがひどい。視界がかすんでゆく。No.5の泣き声がだんだん遠くなってきた。だが、気のせいだろうか。さっきまでの泣きわめく声とは、少し違うような。
「ばかっ!何がオーケーよ、カッコつけて死ぬなんて許さないからっ!」
目の前を覆い尽くす、まばゆい白い光。
覚えのあるその温もりを感じると、ミスタは安心して目を閉じた。
凍らせた飲みものでナランチャを冷やしながら、ルナは天井を見上げる。
高速で走る列車の音にかき消されて、他の音が聞こえない。亀の外の様子をうかがい知ることが出来なかった。
ミスタが出て行ってしばらく経ったが、まだ敵のスタンドは解除されていない。確実に年をとっていっている。
「このスタンド使い、絶対、女の敵だわ・・・」
思わずぼそりと呟くと、フーゴとジョルノとアバッキオのいるソファの前から、ブチャラティが振り向いた。
「大丈夫か?ルナ。無理するな。体温が上がって君が老化したら元も子もないんだ。」
「わかってる。」
男である自分の方がつらいだろうに、私のことばかり心配する。何かあったら自分の命より私を助けることを優先するだろう。任務とは関係なく。
「ブローノ。」
ルナは少し眉をひそめると、
「当たり前のように、私のために自分を犠牲にしないでね。」
言って、凍らせた瓶入りの水をブチャラティへ放った。彼は目を見張りながらそれを手の中へキャッチする。
「・・・ああ。わかった。」
「本当に?」
疑いの眼ざしを向ける彼女に、ブチャラティはふっと笑った。
「別に俺は、自己犠牲がしたいわけじゃあない。優先順位がはっきりしているだけだ。」
「・・・それ、わかってないでしょ。やっぱり。」
と、ルナが溜め息をついたその時、
「ブ、ブチャラティーッ!!ルナーッ!!」
聞き覚えのある声がして、見ると、氷を抱えたミスタのスタンドが、尋常じゃなく慌てた様子で亀の中に飛び込んで来た。
「No.6!?どうした!」
「大変ダッ!!ミスタガーッ!!」
「!?」
♢
ーどこに、どうやって奴らは隠れているのか・・・わかりかけてきたぜ。
プロシュートは運転室を調べながら思う。
捜す発想を4次元的にしなくてはいけないんだ。ブチャラティは駅のホームで、ボスから何か<黒いもの>を受け取った。
「・・・それだ。」
この運転室で、今探すものはそれだ・・・!
「ここが正念場だぜ、ペッシ。思い出すんだ。些細なことでいいんだ。さっき運転室で妙なものはなかったか?黒っぽいもの、とかよ・・・」
「え?ーそ、そうだ兄貴!!オレさっき、運転席の下を見てみようと思ったんだ!何か妙だったんだッ!」
叫びながら座席の下を覗き込んだペッシの大きな身体が固まる。近づいたプロシュートは、床の上にふと違和感を抱いた。
「な、ない・・・すまねえ、気のせいだった。やっぱりそのー・・・当てにしねえでくれよ、オレなんかのカンをー」
「いや、そうでもねえようだぞ。」
プロシュートはきっぱりと言った。
「でかしたぞペッシ。謎は解けたぜ、おまえのおかげですべて理解したぞ!」
「あ、兄貴?」
「なんで電車の運転席の下に、いきなり動物のフンがあるんだ?ネズミなんかじゃあねえ。ネズミとかなら、もうとっくに寿命でくたばってるからな。古いフンじゃあねえ、今しましたって感じだ。いったいどういうことだ、え?」
チラリと視線を走らせる。
列車を動かすための運行装置の下には、小さな扉や空間がたくさんある。
「スタンド能力は、人間だけが持つものとは限らねえ。そしてこの動物は、物陰を移動してるってことだ!グレイトフルデッド!」
鈍い金属音が響き、グレイトフルデッドの拳が装置の下の壁面を破壊する。その裏から現れたものを見て、ペッシが絶叫した。
「な、なんだこりゃあああ!!?亀だよ!亀だァァァァァ!!」
プロシュートの目は、亀の背に埋め込まれたキーと、その赤い宝石部分を通していくつかの人影を捉える。
「ーいない!?」
いや、ブチャラティのチームの連中はいる。始末したミスタ以外、4人。予想通り全員寿命で死にそうだ。しかしブチャラティの姿が見えない。何よりー、
「女はー、ルナはどこだっ!?」
♢
ーー普段の心がけが良かったというか、ギリギリ運が良かったというか・・・
ミスタは薄れてゆく意識の中で、No.5の泣き声を聞いていた。
こいつらがいるってことは、俺はまだ生きてるっていうことか。
しかし身体はピクリとも動かない。不思議と痛みはない。ただ、寒いと思った。
油断した。まさか老化のスタンド使いが、自分を老化させて乗客にまぎれているなんて。手を掴まれた瞬間、身体からエネルギーを急激に吸い取られたような感じがしてー、力が入らなくなった。
「No.5・・・もう一つ、頼みがあるんだが・・・」
「ウエエンッ!ブチャラティノ所ヘナラ、No.6ヲ復活サセタカラ、モウスデニ行ッタヨーッ!ミスタ!アンタノポケットノ中ノ氷ヲ持ッテ、敵ガ二人、亀ニ迫ッテルッテ、知ラセニ行ッタヨォォォ!!」
「それで・・・オーケー、だ・・・俺には、もう氷は・・・必要ねえ、からな・・・」
「ミスタァァァァァ!」
耳鳴りがひどい。視界がかすんでゆく。No.5の泣き声がだんだん遠くなってきた。だが、気のせいだろうか。さっきまでの泣きわめく声とは、少し違うような。
「ばかっ!何がオーケーよ、カッコつけて死ぬなんて許さないからっ!」
目の前を覆い尽くす、まばゆい白い光。
覚えのあるその温もりを感じると、ミスタは安心して目を閉じた。