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37
「老化させるスタンド!?」
反射的にミスタは天井に向かって愛用のリボルバーの銃口を向けた。
「バレちまったのか!?この亀の中にいるってことがよォ!!」
「落ち着け!ミスタ!」
ブチャラティが鋭く一喝する。
「もし、この亀のことがバレてしまっているのなら、直接的な攻撃をしているはずだ。」
「!!」
「それをしないってことは、まだ見つかっていないっていうことだ。たぶんこの敵は、俺たちがこの列車のどこかに乗り込んだということだけを知り、ルナを捜し出すために、列車全体を無差別に攻撃しているんだ。」
「つ、つまりこの列車は、乗客全員を巻き込んで突っ走ってるってことか!?」
「・・・たぶんな。」
ブチャラティは、気遣うようにチラリとルナに目をやりながら続ける。
「奴らも必死だ。何だってやるだろうさ。しかも平然とな・・・!」
「・・・」
恐らくスタンドなんて知りもしない、大勢の関係のない人間がー、ワケがわからないまま、巻き添え食って死にかけているっていうことか。
ルナは目を伏せて黙り込んでいる。
その身体の横で、握りしめられた拳が白くなっていた。
・・・付き合いは短いけどよ、そういうのを平気で見ていられるタイプじゃあねえってことぐらいは、俺にもわかるぜ。
「こうなったら取るべき選択は二つだ。」
ブチャラティはミスタに歩み寄りながら言った。
「1、ルナを連れてこの列車を脱出する。2、この射程距離のわからん敵を先に捜し出して始末する。」
「当然2だろ。」
ミスタは即答した。
「ルナを連れて脱出するには、列車を止めねばならない。危険が大きすぎる。暗殺の方が確実だ。俺のセックス・ピストルズでの暗殺の方がな!」
「確かに、その通りか・・・しかし、時間はないぞ、ミスタ。ものすごいスピードで、年をとってゆく・・・!」
「ブ、ブチャラティ・・・」
うめくようなナランチャの声に、3人ともはっとして見る。
「手が・・・ボロボロになっていくんだ!崩れていくんだァーーッ・・・」
床についたその手が、乾いた音を立てて干からびていく。身体は骨が浮き出るほど痩せ衰え、髪の色もさっきより白くなっていた。
「ー確かに、ブチャラティ!時間はものすごく少ないようだ!」
「・・・待ってください、ミスタ・・・」
ミスタが手近にあった椅子を掴み寄せ足をかけた、その時。
自分を呼び止めたのは、ブチャラティともルナとも違う声だった。
「行くのは・・・まだ、早い・・・」
「ハルくん!」
もう立ち上がる力がないのか、ジョルノは座ったままこちらを見上げている。100歳の老人のようになった顔の中で、その緑の目だけが異様なほど光っていた。
「なに妙なこと言ってんだ!ジョルノ!一刻を争うことなんだぜ!!」
「待て!聞くんだ、ミスタ!ー何が言いたいんだ、ジョルノ。」
ブチャラティが促すと、ジョルノはふうと息を吐いて、
「老化のスピードが・・・僕たちとブチャラティで違うのは、なぜでしょう。」
と、言った。
「・・・俺とミスタは比較的症状は軽い。ルナはもっとだ。なぜだ・・・?」
「老ける老けないは個人差があるのさ!俺は行くぜ!」
「いいえ・・・無差別に全員、老化で殺そうと攻撃するのなら、目的である彼女まで死なせてしまう危険を侵すことになる。この老化のスピードには条件がある。結論から言います。敵は、男と女を体温の変化で区別しているのだと思います・・・!」
全員がはっと息をのんだ。
男と女を、区別している!?
「女性は身体に脂肪が多いから、男性より体温が変化しにくいってことを、以前何かで読んだことがあります。女性は老化に強く、男性より寿命が長いという説もあるそうです。さっきからちょっと暑いと思いませんか?敵は、ほんのちょっとだけ違う体温差で、老化のスピードを区別しているのです。男は速く、ルナは遅ければそれでいい・・・!」
「確かにもっともらしい推論だぜ!だが、俺とおまえの区別はどうつける!?俺が女だって言うのか!?」
「体温の変化だわ。」
ジョルノに代わって、冷静な声が言った。
「ブローノと私は、今まで冷たいものを飲んでいたから、身体が少しだけ冷えていた。ミスタ、扉を開けた冷蔵庫の前にいたあなたもよ。でもナランチャや他のみんなは、何も飲んでいなかった。」
言いながらルナは、グラスの中から氷を一つ取ると、跪いてナランチャの顔にあてた。
「こ、これは・・・!」
氷に触れたその周辺だけが、元通りのナランチャの顔にーーー!!
ジョルノの言った通りだ!
俺たちは冷やしていたから、老化のスピードが遅くなっていたんだ!
「身体を冷やすんだ!みんなの身体を氷で冷やすんだ!」
「待てミスタ!その氷は、おまえが持っていかなければならないっ!」
ブチャラティが叫ぶ。
はっとしてミスタは、手に持った製氷皿の中を見た。氷の数は、二つだけ。
「この敵を始末することには変わりはないのだ。ミスタ、おまえがその氷を持って敵を倒しに行くんだ。氷が溶けて、スタンドパワーと体力がなくなる前に!」
ミスタは強く頷いた。
つまりこの小さな氷が溶けてなくなっちまったらそれが、タイムリミットっていうわけか!
その時、すっとルナが近づいて来て、
「・・・飲みかけので悪いけど。缶とか瓶は邪魔になると思うから。」
グラスの中に残っていた氷のうち、大きいのをいくつか、ミスタの手のひらに載せる。
「!!だめだルナ!これはおまえが使わなきゃあーんっ?何が邪魔だって?」
「ーこういうこと。」
ふっと笑って彼女は、冷蔵庫からミネラルウォーターの瓶をひとつ取り出すと、
「アブソリュート・ブレス。」
ピシィッ、と、音を立てて中身が凍りついていき、ミスタは目を見張った。
ーそうか!
<見えている>から、能力で支配してー、氷に変化させられるってことか!
「こっちの心配はいらない。でも、すべて凍らせたとしても、この量ではみんなを元に戻すことは出来ないわ。いずれは・・・」
「了解だぜ、ルナ。」
言われなくても理解している。
あくまでこれは対処療法だ。全員を完全に復活させるには、やはり、元から断たなきゃあ駄目なんだ。
ミスタは銃を握り直す。
そして、今度こそ椅子に登り、頭上に腕を伸ばした。
「老化させるスタンド!?」
反射的にミスタは天井に向かって愛用のリボルバーの銃口を向けた。
「バレちまったのか!?この亀の中にいるってことがよォ!!」
「落ち着け!ミスタ!」
ブチャラティが鋭く一喝する。
「もし、この亀のことがバレてしまっているのなら、直接的な攻撃をしているはずだ。」
「!!」
「それをしないってことは、まだ見つかっていないっていうことだ。たぶんこの敵は、俺たちがこの列車のどこかに乗り込んだということだけを知り、ルナを捜し出すために、列車全体を無差別に攻撃しているんだ。」
「つ、つまりこの列車は、乗客全員を巻き込んで突っ走ってるってことか!?」
「・・・たぶんな。」
ブチャラティは、気遣うようにチラリとルナに目をやりながら続ける。
「奴らも必死だ。何だってやるだろうさ。しかも平然とな・・・!」
「・・・」
恐らくスタンドなんて知りもしない、大勢の関係のない人間がー、ワケがわからないまま、巻き添え食って死にかけているっていうことか。
ルナは目を伏せて黙り込んでいる。
その身体の横で、握りしめられた拳が白くなっていた。
・・・付き合いは短いけどよ、そういうのを平気で見ていられるタイプじゃあねえってことぐらいは、俺にもわかるぜ。
「こうなったら取るべき選択は二つだ。」
ブチャラティはミスタに歩み寄りながら言った。
「1、ルナを連れてこの列車を脱出する。2、この射程距離のわからん敵を先に捜し出して始末する。」
「当然2だろ。」
ミスタは即答した。
「ルナを連れて脱出するには、列車を止めねばならない。危険が大きすぎる。暗殺の方が確実だ。俺のセックス・ピストルズでの暗殺の方がな!」
「確かに、その通りか・・・しかし、時間はないぞ、ミスタ。ものすごいスピードで、年をとってゆく・・・!」
「ブ、ブチャラティ・・・」
うめくようなナランチャの声に、3人ともはっとして見る。
「手が・・・ボロボロになっていくんだ!崩れていくんだァーーッ・・・」
床についたその手が、乾いた音を立てて干からびていく。身体は骨が浮き出るほど痩せ衰え、髪の色もさっきより白くなっていた。
「ー確かに、ブチャラティ!時間はものすごく少ないようだ!」
「・・・待ってください、ミスタ・・・」
ミスタが手近にあった椅子を掴み寄せ足をかけた、その時。
自分を呼び止めたのは、ブチャラティともルナとも違う声だった。
「行くのは・・・まだ、早い・・・」
「ハルくん!」
もう立ち上がる力がないのか、ジョルノは座ったままこちらを見上げている。100歳の老人のようになった顔の中で、その緑の目だけが異様なほど光っていた。
「なに妙なこと言ってんだ!ジョルノ!一刻を争うことなんだぜ!!」
「待て!聞くんだ、ミスタ!ー何が言いたいんだ、ジョルノ。」
ブチャラティが促すと、ジョルノはふうと息を吐いて、
「老化のスピードが・・・僕たちとブチャラティで違うのは、なぜでしょう。」
と、言った。
「・・・俺とミスタは比較的症状は軽い。ルナはもっとだ。なぜだ・・・?」
「老ける老けないは個人差があるのさ!俺は行くぜ!」
「いいえ・・・無差別に全員、老化で殺そうと攻撃するのなら、目的である彼女まで死なせてしまう危険を侵すことになる。この老化のスピードには条件がある。結論から言います。敵は、男と女を体温の変化で区別しているのだと思います・・・!」
全員がはっと息をのんだ。
男と女を、区別している!?
「女性は身体に脂肪が多いから、男性より体温が変化しにくいってことを、以前何かで読んだことがあります。女性は老化に強く、男性より寿命が長いという説もあるそうです。さっきからちょっと暑いと思いませんか?敵は、ほんのちょっとだけ違う体温差で、老化のスピードを区別しているのです。男は速く、ルナは遅ければそれでいい・・・!」
「確かにもっともらしい推論だぜ!だが、俺とおまえの区別はどうつける!?俺が女だって言うのか!?」
「体温の変化だわ。」
ジョルノに代わって、冷静な声が言った。
「ブローノと私は、今まで冷たいものを飲んでいたから、身体が少しだけ冷えていた。ミスタ、扉を開けた冷蔵庫の前にいたあなたもよ。でもナランチャや他のみんなは、何も飲んでいなかった。」
言いながらルナは、グラスの中から氷を一つ取ると、跪いてナランチャの顔にあてた。
「こ、これは・・・!」
氷に触れたその周辺だけが、元通りのナランチャの顔にーーー!!
ジョルノの言った通りだ!
俺たちは冷やしていたから、老化のスピードが遅くなっていたんだ!
「身体を冷やすんだ!みんなの身体を氷で冷やすんだ!」
「待てミスタ!その氷は、おまえが持っていかなければならないっ!」
ブチャラティが叫ぶ。
はっとしてミスタは、手に持った製氷皿の中を見た。氷の数は、二つだけ。
「この敵を始末することには変わりはないのだ。ミスタ、おまえがその氷を持って敵を倒しに行くんだ。氷が溶けて、スタンドパワーと体力がなくなる前に!」
ミスタは強く頷いた。
つまりこの小さな氷が溶けてなくなっちまったらそれが、タイムリミットっていうわけか!
その時、すっとルナが近づいて来て、
「・・・飲みかけので悪いけど。缶とか瓶は邪魔になると思うから。」
グラスの中に残っていた氷のうち、大きいのをいくつか、ミスタの手のひらに載せる。
「!!だめだルナ!これはおまえが使わなきゃあーんっ?何が邪魔だって?」
「ーこういうこと。」
ふっと笑って彼女は、冷蔵庫からミネラルウォーターの瓶をひとつ取り出すと、
「アブソリュート・ブレス。」
ピシィッ、と、音を立てて中身が凍りついていき、ミスタは目を見張った。
ーそうか!
<見えている>から、能力で支配してー、氷に変化させられるってことか!
「こっちの心配はいらない。でも、すべて凍らせたとしても、この量ではみんなを元に戻すことは出来ないわ。いずれは・・・」
「了解だぜ、ルナ。」
言われなくても理解している。
あくまでこれは対処療法だ。全員を完全に復活させるには、やはり、元から断たなきゃあ駄目なんだ。
ミスタは銃を握り直す。
そして、今度こそ椅子に登り、頭上に腕を伸ばした。