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36
人が想像できることは実現できる、と言ったのは、ジュール・ベルヌだったかしら・・・
向こうが透けて見えるドーム型の天井を見上げながら、ルナは、そんなことを思い出す。
「・・・鍵穴ではなく、この亀の甲羅にキーそのものを嵌め込むことになっていた。すると亀は、なぜか能力を発現させて、キーが出入り口となってこの空間を作り出し、中に隠れられるようになった。」
ブチャラティの驚きを含んだ声が、不思議な空間に響いた。
「か、亀がスタンド使い・・・!?そんなことってあるのかよォ!」
「驚いた・・・犬とか、ネズミは聞いたことがあるけど。」
「犬ねえ、、、ところで、ルナ、いい加減どいてくれねぇ?ブチャラティの視線が痛えぜ・・・」
「へ?ーやだ!ごめん!」
ミスタに折り重なるように不時着していた自分に気がついて、ルナは慌てて彼の上から飛びのく。
「あはは。道理で落ちても痛くなかったはずだわ〜。」
「・・・」
氷点下の眼ざしのまま、ブチャラティは彼女の手をとってソファに座るように促した。
ネアポリス中央駅に到着した一行は、6番ホームから、予定通りフィレンツェ行き特急に乗ることが出来た。
水飲み場から飛び乗って来たブチャラティが、その手に持っていたーー、亀の中に吸い込まれる形で。
「カッケいいいい〜!!宇宙船みたいな亀だなあ!」
「しかしこの部屋、幻覚とかではない。本物の部屋ですよ、これ。ソファとか家具も本物だ。」
「飲み物が冷えてるぜ。」
「ボスが気を利かせて入れといてくれたってところか。」
言って、ブチャラティは再び天井を見上げた。
「亀ってのは物陰が好きだし、わめいたりウロチョロする生き物じゃあない。これなら安全に、列車に乗ってヴェネツィアまで行けそうだ。」
・・・スタンドを自分の常識に当てはめるな、と、昔、承太郎さんが言っていたけれど。
ルナは、ホテルのスイートルームのリビングのような広い部屋をぐるりと見渡しながら思う。
まさか、亀ハウスに運んでもらうなんてね。
このまま、何もなければいいけど・・・
♢
「なんか、亀の中の部屋のせいかちょっと蒸すなぁ。」
言いながらミスタは冷蔵庫の前にしゃがみ、扉を開けて中を覗き込んだ。
少し前から、壁(と言えるかどうかは不明だが、)に沿った大きなソファでは、アバッキオ、フーゴ、ジョルノの3人が、寝息をたて始めている。
「おいナランチャ、おまえも何か飲むか?冷たいのしかないけどよ。コーラ、ミネラルウォーター、ガス入り、ガス無し、アップル、オレンジ・・・おい!聞いてんのかあ?」
すると、壁に寄りかかって天井を見上げていたナランチャは、耳に手をあててミスタを見た。
「え!?なーんですかあ!?」
「だから、何か飲むのかって聞いてんだ!おまえも少し休んだらどうだ?疲れた顔してるぜ。天井は俺が見張ってっからよ。」
「そうかい!?」
奇妙なほど大きな声で言うと、ナランチャは腰が曲がったような前屈みの姿勢になりながら、よたよたとソファに座る。
「よいしょっと、、、なんか急に肩が凝ったんだよなあ。腰も痛えし。何かあったかいのがいいなあ。胃に優しいの、、、」
「だから!冷たいのしかねえって言ってるだろ!人の話聞いてねーよなあ!?てめー!」
「じゃあ、バナナでいいや・・・」
ナランチャはテーブルのバナナに手を伸ばし、ミスタは、自分用に冷蔵庫からコーラを取り出す。プルトップを開けようとした時、激しく咳き込む音が聞こえた。
・・・なに?
ミスタは自分の目を疑う。
ナランチャの口許からドロっとした赤い塊が吐き出され、その中に見えた白い何か。
あれは・・・歯、か?
「なんか、このバナナ・・・食えないよ。干からびててさあ、コチコチに固いんだよお・・・」
「な、なあんだ、何かの冗談かよ、オメー・・・」
自分の笑い声が引きつる。
なぜ、声が大きいのか。なぜ、動きがひどく鈍いのか。
ミスタの本能が警報を発していた。
「びっくりするぜ・・・なんかそれ、歯、みたいに見えたんだよなァ。ちょっと気持ち悪くて、今イチ笑えねえギャグだよ。はは・・・」
「へ?また何か言ったかい?ミスタ・・・」
「!!!?」
ミスタは今度こそ言葉を失った。
こちらを振り向いたナランチャの、顔中に刻まれたシワ。ほとんど白に近い灰色に変わった髪の毛。どんよりと濁った目。
「小さいんだよォ、声が・・・よく聞こえなかったんだけどさ・・・だからさ、このバナナ、ボロボロなんだってばァ・・・く、食えないよ、、、」
「な、なんだおまえっ!?なんかおまえの顔おかしいぞっ!!ナランチャ!!」
一歩引きながら叫ぶと同時に、ミスタは振り向いた。
「ブチャラティ!!」
「わかってる!スタンド攻撃だ!」
立ち上がったブチャラティは、素早く周囲に視線を走らせながら、
「敵がいるのか・・・!?この列車の中に!」
「ーナランチャ!」
「う・・・ん、、、どうしたんです?何か、あったんですか・・・?」
「っ!!」
ナランチャに駆け寄ろうとしたルナが、目を覚ましたジョルノの顔を見て絶句した。
ナランチャと同様に、ジョルノの顔には深いシワが何本も刻まれ、ブロンドは真っ白に変わっていた。
ミスタは目を見開く。
ナランチャとジョルノだけじゃあねえ。今まで気がつかなかったが、フーゴも、アバッキオも・・・
「と、年をとっている・・・!?」
人が想像できることは実現できる、と言ったのは、ジュール・ベルヌだったかしら・・・
向こうが透けて見えるドーム型の天井を見上げながら、ルナは、そんなことを思い出す。
「・・・鍵穴ではなく、この亀の甲羅にキーそのものを嵌め込むことになっていた。すると亀は、なぜか能力を発現させて、キーが出入り口となってこの空間を作り出し、中に隠れられるようになった。」
ブチャラティの驚きを含んだ声が、不思議な空間に響いた。
「か、亀がスタンド使い・・・!?そんなことってあるのかよォ!」
「驚いた・・・犬とか、ネズミは聞いたことがあるけど。」
「犬ねえ、、、ところで、ルナ、いい加減どいてくれねぇ?ブチャラティの視線が痛えぜ・・・」
「へ?ーやだ!ごめん!」
ミスタに折り重なるように不時着していた自分に気がついて、ルナは慌てて彼の上から飛びのく。
「あはは。道理で落ちても痛くなかったはずだわ〜。」
「・・・」
氷点下の眼ざしのまま、ブチャラティは彼女の手をとってソファに座るように促した。
ネアポリス中央駅に到着した一行は、6番ホームから、予定通りフィレンツェ行き特急に乗ることが出来た。
水飲み場から飛び乗って来たブチャラティが、その手に持っていたーー、亀の中に吸い込まれる形で。
「カッケいいいい〜!!宇宙船みたいな亀だなあ!」
「しかしこの部屋、幻覚とかではない。本物の部屋ですよ、これ。ソファとか家具も本物だ。」
「飲み物が冷えてるぜ。」
「ボスが気を利かせて入れといてくれたってところか。」
言って、ブチャラティは再び天井を見上げた。
「亀ってのは物陰が好きだし、わめいたりウロチョロする生き物じゃあない。これなら安全に、列車に乗ってヴェネツィアまで行けそうだ。」
・・・スタンドを自分の常識に当てはめるな、と、昔、承太郎さんが言っていたけれど。
ルナは、ホテルのスイートルームのリビングのような広い部屋をぐるりと見渡しながら思う。
まさか、亀ハウスに運んでもらうなんてね。
このまま、何もなければいいけど・・・
♢
「なんか、亀の中の部屋のせいかちょっと蒸すなぁ。」
言いながらミスタは冷蔵庫の前にしゃがみ、扉を開けて中を覗き込んだ。
少し前から、壁(と言えるかどうかは不明だが、)に沿った大きなソファでは、アバッキオ、フーゴ、ジョルノの3人が、寝息をたて始めている。
「おいナランチャ、おまえも何か飲むか?冷たいのしかないけどよ。コーラ、ミネラルウォーター、ガス入り、ガス無し、アップル、オレンジ・・・おい!聞いてんのかあ?」
すると、壁に寄りかかって天井を見上げていたナランチャは、耳に手をあててミスタを見た。
「え!?なーんですかあ!?」
「だから、何か飲むのかって聞いてんだ!おまえも少し休んだらどうだ?疲れた顔してるぜ。天井は俺が見張ってっからよ。」
「そうかい!?」
奇妙なほど大きな声で言うと、ナランチャは腰が曲がったような前屈みの姿勢になりながら、よたよたとソファに座る。
「よいしょっと、、、なんか急に肩が凝ったんだよなあ。腰も痛えし。何かあったかいのがいいなあ。胃に優しいの、、、」
「だから!冷たいのしかねえって言ってるだろ!人の話聞いてねーよなあ!?てめー!」
「じゃあ、バナナでいいや・・・」
ナランチャはテーブルのバナナに手を伸ばし、ミスタは、自分用に冷蔵庫からコーラを取り出す。プルトップを開けようとした時、激しく咳き込む音が聞こえた。
・・・なに?
ミスタは自分の目を疑う。
ナランチャの口許からドロっとした赤い塊が吐き出され、その中に見えた白い何か。
あれは・・・歯、か?
「なんか、このバナナ・・・食えないよ。干からびててさあ、コチコチに固いんだよお・・・」
「な、なあんだ、何かの冗談かよ、オメー・・・」
自分の笑い声が引きつる。
なぜ、声が大きいのか。なぜ、動きがひどく鈍いのか。
ミスタの本能が警報を発していた。
「びっくりするぜ・・・なんかそれ、歯、みたいに見えたんだよなァ。ちょっと気持ち悪くて、今イチ笑えねえギャグだよ。はは・・・」
「へ?また何か言ったかい?ミスタ・・・」
「!!!?」
ミスタは今度こそ言葉を失った。
こちらを振り向いたナランチャの、顔中に刻まれたシワ。ほとんど白に近い灰色に変わった髪の毛。どんよりと濁った目。
「小さいんだよォ、声が・・・よく聞こえなかったんだけどさ・・・だからさ、このバナナ、ボロボロなんだってばァ・・・く、食えないよ、、、」
「な、なんだおまえっ!?なんかおまえの顔おかしいぞっ!!ナランチャ!!」
一歩引きながら叫ぶと同時に、ミスタは振り向いた。
「ブチャラティ!!」
「わかってる!スタンド攻撃だ!」
立ち上がったブチャラティは、素早く周囲に視線を走らせながら、
「敵がいるのか・・・!?この列車の中に!」
「ーナランチャ!」
「う・・・ん、、、どうしたんです?何か、あったんですか・・・?」
「っ!!」
ナランチャに駆け寄ろうとしたルナが、目を覚ましたジョルノの顔を見て絶句した。
ナランチャと同様に、ジョルノの顔には深いシワが何本も刻まれ、ブロンドは真っ白に変わっていた。
ミスタは目を見開く。
ナランチャとジョルノだけじゃあねえ。今まで気がつかなかったが、フーゴも、アバッキオも・・・
「と、年をとっている・・・!?」