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31
「ルナは、自分のスタンド能力について何か言っていましたか?」
ルナのいる部屋から廊下に出ると、ジョルノが尋ねた。
「いや。」
ブチャラティは首を横に振る。
「カプリから帰る時に皆に話したーー、あれ以来、特に何も聞いていない。」
『矢の封印を解け、って言われても、どうすればいいのかさっぱりわからないわ。あなたたちのボス、怒らないかしら?せっかく護ってもらっても、私、役に立ちそうにないんだけど。』
ルナは肩をすくめて続けた。
『だいたい、私のママがギャングだったなんて話自体、初耳なんだもの。だから、ボスの若い頃のことなんて、なーんにも知らないわよ?』
『スタンドを出現させる<矢>については?矢を知っていたのは、ソアラさんから矢の話を聞いていたからなんですか?』
と、ジョルノが尋ねた。
『ママから聞いたわけじゃあないわ。矢については・・・日本で、実際に見たことだってあるけど、それは最近の話。ママが亡くなった後よ。』
『へーっ!やっぱり、あのポルポの矢って、何本もあるんだ!』
『ナランチャも、あの矢に刺されてスタンド使いになったの?』
『みんなそうだよ。ジョルノは知らねえけど。』
『・・・』
「<アブソリュート・ブレス>は、強力なスタンドです・・・ルナが認識してさえいれば、人も物もーー、あらゆるものの運命を支配できる。もし敵だったらと思うと、ぞっとします。」
ブチャラティは頷く。
自分とジョルノは、一回やられているから、よくわかる。数あるスタンドの中でも、おそらく最強クラスの能力だろう。底が見えない。
「そんな力があるから、ルナの母親は組織に見つからず、日本まで無事にたどり着けたのかもしれないな。」
「そうですね。パッショーネが今のように巨大な組織だったら別ですが、当時はまだ小さかったようですし。」
「ボスの狙いが気になる。ルナを護衛する目的が、裏切り者のあぶり出して、矢の封印を解かせることーー、それだけとは考えにくい。ルナの家系的なスタンド能力を知っているなら尚更だ。」
「ルナを組織に引き入れるつもりでは?」
「考えられなくはないな。」
「ボスが、もしルナを組織に加えるつもりだとしたらー・・・」
ジョルノは目を伏せて続けた。
「ルナはイエスとは言いませんよ、ブチャラティ。たとえ相手がボスでも、彼女は拒否するでしょう。眉ひとつ動かさず。そんな人です。人に使われるタイプじゃあない。彼女は純粋で、自由だ。」
ーー純粋で、自由。
その言葉は、ブチャラティの心を打つ。
長い間、組織の使い捨てのコマとして生きてきた自分にとって、けっして手に入らなかった憧憬だからだろうか。
だからこそ、自分は、ルナの中に希望の光を見出し、そしてーーーーーー。
どうしようもなく、惹かれるのだろうか・・・
その時ふとブチャラティは、目の前にいる5歳下の部下に対して、羨望にも似た気持ちを抱いているのに気づいた。
ジョルノもまた、ルナと<同じ側>の人間だ。
自分とは違う。
「・・・なるほどな。」
ブチャラティは目を閉じて呟く。
『子供に麻薬を流すようなギャングを消し去るには、みずからギャングにならなくっちゃあいけないってことさ。』
『ブチャラティ、僕は、<ギャング・スター>になります!!』
ルナが、俺を生き返らせてくれた。
そして目的を与えてくれたのはーー、このジョルノなのかもしれない。
「・・・少し他の様子を見て来る。ここは任せていいな?ジョルノ。」
返事が届く前に、階段へと歩き出す。
すると背後で、何か言いたげな溜め息が聞こえた気がした。
31.5
「あー、さっぱりした。」
シャワーから出て、思わずルナは日本語でひとりごちた。
潮風で髪がベタベタしちゃって、なんとなく気持ち悪かったのよ。
バスタオル一枚のまま、クロゼットをごそごそ漁る。
なんと、この家、ポルポの愛人用の別荘の一つなんだって。こんな家がネアポリスにはたくさんあって、そのほとんどの管理をブローノが任されてたとか。うーん、聞くだけで大変そ〜、、、
ラッキー、タグを切ってない新品の下着を発見。ブランドはもちろん、ラ・ペルラ。服のサイズは同じくらいみたい。みんな露出度高めなのが気になるけど。その中でも抑えめな、オフショルダーのフレアトップスをチョイス。ディーゼルのデニムのショートパンツを合わせ、一つに結んだ髪に、柔らかなスカーフをシュシュがわりに結べば、完成!
鏡に全身を映して、チェックする。
うん、動きやすい。ベネ。
ルナが廊下に出ると、裏庭に面した窓際にジョルノがいた。
「着替えたんですね、ルナ。とても素敵ですよ。でも、そんなに綺麗な脚は、できれば僕以外の男には見せたくないです。」
と、さわやかに言う15歳。
「Grazie・・・」
他に何も言えない。
「ハルくんが見張っててくれたのね。ブローノは?」
「1階の様子を見に行きましたよ。シャワー中の恋人を置いてね・・・信用しすぎでしょう、まったく。」
・・・なんで不満そうなのかしら?
「そう。じゃあ、私たちも下にー」
行こっか、と、言いたかったのだけれど。
歩き出した途端、二の腕を強く引き戻されたかと思うと、しなやかに長い二本の腕の中に背後から捕らえられてしまった。
「また、僕の呼び方が元に戻ってますよ。」
あ!と、思った時はもう、遅い。
ジョルノは、片腕を回してルナのウエストを抱き、もう片方の手で彼女の顔を上向けて、キスしていた。
やや厚めの綺麗な形の唇は、さっき、自分に口づけたそれとは、明らかに違う。
「ーーっ、だ、め!!」
ルナに身体を押し戻されると、ジョルノは意外にもすぐに彼女を離した。
が、彼女の束ねた髪をそっとすくい取ると、目を閉じて口づけながら言った。
「やっぱり、あなたとブチャラティが一緒にいるのを見ると、嫉妬しますね・・・」
「・・・」
「Angelo mio、僕はあなたを守ります。敵からも・・・ボスからも。」
「ハルくん・・・」
ジョルノの真っすぐな想いに、ルナは言葉に詰まる。
ジョルノはくすりと笑った。
「あなたにジョルノと呼んでもらうのは、あきらめた方が良いのかな。それとも、またキスして欲しいんですか?僕はその方が嬉しいですけど。」
ルナは慌てて両手で口を押さえる。
かああ、と、顔が熱くなるのがわかった。
「まあ、僕の本名を知っているのはあなただけですから、このままでもいいかと思えてきました。僕を男として意識してもらうっていう当初の目的は、すでに果たしていますし。」
何も言い返せない。
だって、その通りだから。悔しいけど。
「私、下に行くからっ!」
ルナがいたたまれなくなって、踵を返した時だった。
「ナランチャ!!」
階下から聞こえた、フーゴの叫び声。
ルナとジョルノは一瞬、顔を見合わせると、階段へ走った。
「ルナは、自分のスタンド能力について何か言っていましたか?」
ルナのいる部屋から廊下に出ると、ジョルノが尋ねた。
「いや。」
ブチャラティは首を横に振る。
「カプリから帰る時に皆に話したーー、あれ以来、特に何も聞いていない。」
『矢の封印を解け、って言われても、どうすればいいのかさっぱりわからないわ。あなたたちのボス、怒らないかしら?せっかく護ってもらっても、私、役に立ちそうにないんだけど。』
ルナは肩をすくめて続けた。
『だいたい、私のママがギャングだったなんて話自体、初耳なんだもの。だから、ボスの若い頃のことなんて、なーんにも知らないわよ?』
『スタンドを出現させる<矢>については?矢を知っていたのは、ソアラさんから矢の話を聞いていたからなんですか?』
と、ジョルノが尋ねた。
『ママから聞いたわけじゃあないわ。矢については・・・日本で、実際に見たことだってあるけど、それは最近の話。ママが亡くなった後よ。』
『へーっ!やっぱり、あのポルポの矢って、何本もあるんだ!』
『ナランチャも、あの矢に刺されてスタンド使いになったの?』
『みんなそうだよ。ジョルノは知らねえけど。』
『・・・』
「<アブソリュート・ブレス>は、強力なスタンドです・・・ルナが認識してさえいれば、人も物もーー、あらゆるものの運命を支配できる。もし敵だったらと思うと、ぞっとします。」
ブチャラティは頷く。
自分とジョルノは、一回やられているから、よくわかる。数あるスタンドの中でも、おそらく最強クラスの能力だろう。底が見えない。
「そんな力があるから、ルナの母親は組織に見つからず、日本まで無事にたどり着けたのかもしれないな。」
「そうですね。パッショーネが今のように巨大な組織だったら別ですが、当時はまだ小さかったようですし。」
「ボスの狙いが気になる。ルナを護衛する目的が、裏切り者のあぶり出して、矢の封印を解かせることーー、それだけとは考えにくい。ルナの家系的なスタンド能力を知っているなら尚更だ。」
「ルナを組織に引き入れるつもりでは?」
「考えられなくはないな。」
「ボスが、もしルナを組織に加えるつもりだとしたらー・・・」
ジョルノは目を伏せて続けた。
「ルナはイエスとは言いませんよ、ブチャラティ。たとえ相手がボスでも、彼女は拒否するでしょう。眉ひとつ動かさず。そんな人です。人に使われるタイプじゃあない。彼女は純粋で、自由だ。」
ーー純粋で、自由。
その言葉は、ブチャラティの心を打つ。
長い間、組織の使い捨てのコマとして生きてきた自分にとって、けっして手に入らなかった憧憬だからだろうか。
だからこそ、自分は、ルナの中に希望の光を見出し、そしてーーーーーー。
どうしようもなく、惹かれるのだろうか・・・
その時ふとブチャラティは、目の前にいる5歳下の部下に対して、羨望にも似た気持ちを抱いているのに気づいた。
ジョルノもまた、ルナと<同じ側>の人間だ。
自分とは違う。
「・・・なるほどな。」
ブチャラティは目を閉じて呟く。
『子供に麻薬を流すようなギャングを消し去るには、みずからギャングにならなくっちゃあいけないってことさ。』
『ブチャラティ、僕は、<ギャング・スター>になります!!』
ルナが、俺を生き返らせてくれた。
そして目的を与えてくれたのはーー、このジョルノなのかもしれない。
「・・・少し他の様子を見て来る。ここは任せていいな?ジョルノ。」
返事が届く前に、階段へと歩き出す。
すると背後で、何か言いたげな溜め息が聞こえた気がした。
31.5
「あー、さっぱりした。」
シャワーから出て、思わずルナは日本語でひとりごちた。
潮風で髪がベタベタしちゃって、なんとなく気持ち悪かったのよ。
バスタオル一枚のまま、クロゼットをごそごそ漁る。
なんと、この家、ポルポの愛人用の別荘の一つなんだって。こんな家がネアポリスにはたくさんあって、そのほとんどの管理をブローノが任されてたとか。うーん、聞くだけで大変そ〜、、、
ラッキー、タグを切ってない新品の下着を発見。ブランドはもちろん、ラ・ペルラ。服のサイズは同じくらいみたい。みんな露出度高めなのが気になるけど。その中でも抑えめな、オフショルダーのフレアトップスをチョイス。ディーゼルのデニムのショートパンツを合わせ、一つに結んだ髪に、柔らかなスカーフをシュシュがわりに結べば、完成!
鏡に全身を映して、チェックする。
うん、動きやすい。ベネ。
ルナが廊下に出ると、裏庭に面した窓際にジョルノがいた。
「着替えたんですね、ルナ。とても素敵ですよ。でも、そんなに綺麗な脚は、できれば僕以外の男には見せたくないです。」
と、さわやかに言う15歳。
「Grazie・・・」
他に何も言えない。
「ハルくんが見張っててくれたのね。ブローノは?」
「1階の様子を見に行きましたよ。シャワー中の恋人を置いてね・・・信用しすぎでしょう、まったく。」
・・・なんで不満そうなのかしら?
「そう。じゃあ、私たちも下にー」
行こっか、と、言いたかったのだけれど。
歩き出した途端、二の腕を強く引き戻されたかと思うと、しなやかに長い二本の腕の中に背後から捕らえられてしまった。
「また、僕の呼び方が元に戻ってますよ。」
あ!と、思った時はもう、遅い。
ジョルノは、片腕を回してルナのウエストを抱き、もう片方の手で彼女の顔を上向けて、キスしていた。
やや厚めの綺麗な形の唇は、さっき、自分に口づけたそれとは、明らかに違う。
「ーーっ、だ、め!!」
ルナに身体を押し戻されると、ジョルノは意外にもすぐに彼女を離した。
が、彼女の束ねた髪をそっとすくい取ると、目を閉じて口づけながら言った。
「やっぱり、あなたとブチャラティが一緒にいるのを見ると、嫉妬しますね・・・」
「・・・」
「Angelo mio、僕はあなたを守ります。敵からも・・・ボスからも。」
「ハルくん・・・」
ジョルノの真っすぐな想いに、ルナは言葉に詰まる。
ジョルノはくすりと笑った。
「あなたにジョルノと呼んでもらうのは、あきらめた方が良いのかな。それとも、またキスして欲しいんですか?僕はその方が嬉しいですけど。」
ルナは慌てて両手で口を押さえる。
かああ、と、顔が熱くなるのがわかった。
「まあ、僕の本名を知っているのはあなただけですから、このままでもいいかと思えてきました。僕を男として意識してもらうっていう当初の目的は、すでに果たしていますし。」
何も言い返せない。
だって、その通りだから。悔しいけど。
「私、下に行くからっ!」
ルナがいたたまれなくなって、踵を返した時だった。
「ナランチャ!!」
階下から聞こえた、フーゴの叫び声。
ルナとジョルノは一瞬、顔を見合わせると、階段へ走った。