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27
ーーやっかいな女。
ルナをひとことで表せと言われたら、ミスタは、そう答える。
性格が悪いとか、そういうことじゃあねえ。
むしろよく笑うし、さっぱりしてるし、話しやすい。
いつも、自然体っつーの?
初対面の時から、人に対してかまえたところがねえから、こっちもつい、素が出てしまう。
人の警戒心の壁をたやすく壊す。
ヤバイ場面でも、他の女のようにキャーキャー騒がねえ度胸もあるし、<仕事>の話だとわかれば、余計な口を挟まず距離をおく気遣いもできる。顔もスタイルも一級品。
認める。ルナは、いい女だぜ。
ぶっちゃけーー・・・うらやましいぜ、ブチャラティ。
でも、俺の本能が警告する。
この女には深入りするなと。
マジにハマったら、抜け出せなくなると。
人生は、単純なのが一番だ。
複雑さは迷いにつながり、迷いは弱さを心に招く。
だから俺は、ルナを<そういう>対象として見ないことに決めた。
ブチャラティと争う気はさらさら無いし(新入りのジョルノ、あいつも惚れてるみたいだし)、面倒くさい事態になるのがわかってて、わざわざ自分から参戦するなんていうのは、性に合わない。
あのジョルノも、おもしろい奴だ。
入団初日、あの<アバ茶>を上手くかわしやがった。なかなか見所あるんじゃあねえか?
まあ、とにかく、俺好みの可愛いシニョリーナは、他にいっぱいいる。
なにも俺まで・・・恋焦がれることはない。
「あ〜、これは、病院に行かなきゃあダメですね。」
と、フーゴはミスタの脇腹の傷を見て言った。
ミスタが、カプリ島で敵を始末した後すぐに、ヨットのブチャラティたちも到着していた。
「んなこたあ、わかってる!それまでの応急手当を頼んでるんだ!」
「はいはいー」
「ちょっと待て、フーゴ。」
ブチャラティの声だけが、公衆トイレの入り口の方から聞こえる。
「ルナ、ミスタの傷を診てやってくれないか?撃たれてる。」
ミスタとフーゴが不思議に思っていると、ルナが入り口から顔をのぞかせながら、
「男子トイレってとこが気になるけど・・・いいわよ。」
言って、手洗い台に座っているミスタの前にやって来た。途端、ピストルズが勝手に出て来て騒ぎ出す。
「ルナーーッ!!」
「オレタチ、ヤッツケテヤッタゼーッ!!」
「ブチコンデヤッタゼーッ!!」
「ふふっ。Grazie. あとで、おやつあげるわね。」
歓声を上げるピストルズ。
俺と一緒で美人好きだから、最初から、やたらとルナに懐いている。
「おいおい・・・礼を言うのは、そいつらにじゃあねえだろお。」
「どういうことです?ルナ。傷を治せるんですか?」
「治すわけじゃあないの。元に戻そうとするっていうか・・・えーと、銃弾はここからこう入ってー、背中に抜けてる。貫通したのね。ちょうど急所を外れて良かったわね、ミスタ。」
「良かねーよ!!」
「まあ落ち着いて。余計に出血するわよ?」
くすくす笑って、ルナはサングラスを額の上に押し上げた。
透き通った紫色の瞳に間近で見つめられて、ミスタの心臓が、ドキリと音を立てる。
「ちょっと失礼。直接、触らないと出来ないから。」
そう言ってルナは、少し屈みながら、華奢な白い指で、そうっと、ミスタの脇腹に触れた。
「ーー!!」
肌と肌が触れ合った瞬間、ぞくり、と、腰の後ろが泡立ち、思わず身体ごと震える。
「ごめん、痛かった?」
「いやー・・・大丈夫だ、ルナ。何するのか知らねえが、さっさと頼むぜ。」
おいおいおい・・・やべえだろ、この距離とこの姿勢は!!
ミスタは、顔のすぐ下にある、ルナのいかにも手触りが良さそうな髪や、かすかな甘い匂いや、細い肩を意識に入れないよう、必死だった。
ブチャラティの奴、なに考えてんだ!?
自分の女を、こんなに無防備に男に近寄らせてんじゃあねえよ!
と、心で叫ぶ。
いやでも、たぶんブチャラティに他意はねえんだ。ああ見えて、あいつもちょっと天然だからな・・・
ルナは真剣な表情で、ミスタの傷口を見つめた後、目を閉じた。
長い睫毛が、きめ細かな白い肌に影を作る。丹精込めて作られた、人形のようだった。
・・・まったく、<よく出来てる>ぜ、こいつは。
ミスタが、思わず見惚れた時、
「アブソリュート・ブレス。」
ルナの指先がプラチナ色に輝き、傷口がふさがり始めーー、やがて、綺麗に消え去った。
「すごい・・・」
フーゴが呆然と呟く。
「複雑な処置は出来ないけどね。」
ミスタが礼を言うと、ルナは、微笑を浮かべて踵を返した。
「お安い御用、よ。ジョルノに協力してくれて、ありがとう。」
「・・・」
ミスタは、ふん、と笑って、床に飛び降りる。外に出ると、カプリ島の強すぎる陽ざしに思わず目を細めた。
「そろそろ行こうよ、ブチャラティ!100億リラを隠した場所によお!」
待ちきれないというふうにナランチャが言う。ブチャラティは腕時計にちらりと視線を落とした。
「もうちょっと、待ってくれないか。」
「どうしてです?なんでそんなに、時間を気にしてるんですか?」
フーゴが尋ねた、その時、
「ブチャラティ。」
近づいて来たのは、小柄な白髪頭の老人だった。片目に斜視があるのか、黒目があさっての方向に向いている。
ブチャラティが、はっとして言った。
「ペリーコロさん!」
ーーやっかいな女。
ルナをひとことで表せと言われたら、ミスタは、そう答える。
性格が悪いとか、そういうことじゃあねえ。
むしろよく笑うし、さっぱりしてるし、話しやすい。
いつも、自然体っつーの?
初対面の時から、人に対してかまえたところがねえから、こっちもつい、素が出てしまう。
人の警戒心の壁をたやすく壊す。
ヤバイ場面でも、他の女のようにキャーキャー騒がねえ度胸もあるし、<仕事>の話だとわかれば、余計な口を挟まず距離をおく気遣いもできる。顔もスタイルも一級品。
認める。ルナは、いい女だぜ。
ぶっちゃけーー・・・うらやましいぜ、ブチャラティ。
でも、俺の本能が警告する。
この女には深入りするなと。
マジにハマったら、抜け出せなくなると。
人生は、単純なのが一番だ。
複雑さは迷いにつながり、迷いは弱さを心に招く。
だから俺は、ルナを<そういう>対象として見ないことに決めた。
ブチャラティと争う気はさらさら無いし(新入りのジョルノ、あいつも惚れてるみたいだし)、面倒くさい事態になるのがわかってて、わざわざ自分から参戦するなんていうのは、性に合わない。
あのジョルノも、おもしろい奴だ。
入団初日、あの<アバ茶>を上手くかわしやがった。なかなか見所あるんじゃあねえか?
まあ、とにかく、俺好みの可愛いシニョリーナは、他にいっぱいいる。
なにも俺まで・・・恋焦がれることはない。
「あ〜、これは、病院に行かなきゃあダメですね。」
と、フーゴはミスタの脇腹の傷を見て言った。
ミスタが、カプリ島で敵を始末した後すぐに、ヨットのブチャラティたちも到着していた。
「んなこたあ、わかってる!それまでの応急手当を頼んでるんだ!」
「はいはいー」
「ちょっと待て、フーゴ。」
ブチャラティの声だけが、公衆トイレの入り口の方から聞こえる。
「ルナ、ミスタの傷を診てやってくれないか?撃たれてる。」
ミスタとフーゴが不思議に思っていると、ルナが入り口から顔をのぞかせながら、
「男子トイレってとこが気になるけど・・・いいわよ。」
言って、手洗い台に座っているミスタの前にやって来た。途端、ピストルズが勝手に出て来て騒ぎ出す。
「ルナーーッ!!」
「オレタチ、ヤッツケテヤッタゼーッ!!」
「ブチコンデヤッタゼーッ!!」
「ふふっ。Grazie. あとで、おやつあげるわね。」
歓声を上げるピストルズ。
俺と一緒で美人好きだから、最初から、やたらとルナに懐いている。
「おいおい・・・礼を言うのは、そいつらにじゃあねえだろお。」
「どういうことです?ルナ。傷を治せるんですか?」
「治すわけじゃあないの。元に戻そうとするっていうか・・・えーと、銃弾はここからこう入ってー、背中に抜けてる。貫通したのね。ちょうど急所を外れて良かったわね、ミスタ。」
「良かねーよ!!」
「まあ落ち着いて。余計に出血するわよ?」
くすくす笑って、ルナはサングラスを額の上に押し上げた。
透き通った紫色の瞳に間近で見つめられて、ミスタの心臓が、ドキリと音を立てる。
「ちょっと失礼。直接、触らないと出来ないから。」
そう言ってルナは、少し屈みながら、華奢な白い指で、そうっと、ミスタの脇腹に触れた。
「ーー!!」
肌と肌が触れ合った瞬間、ぞくり、と、腰の後ろが泡立ち、思わず身体ごと震える。
「ごめん、痛かった?」
「いやー・・・大丈夫だ、ルナ。何するのか知らねえが、さっさと頼むぜ。」
おいおいおい・・・やべえだろ、この距離とこの姿勢は!!
ミスタは、顔のすぐ下にある、ルナのいかにも手触りが良さそうな髪や、かすかな甘い匂いや、細い肩を意識に入れないよう、必死だった。
ブチャラティの奴、なに考えてんだ!?
自分の女を、こんなに無防備に男に近寄らせてんじゃあねえよ!
と、心で叫ぶ。
いやでも、たぶんブチャラティに他意はねえんだ。ああ見えて、あいつもちょっと天然だからな・・・
ルナは真剣な表情で、ミスタの傷口を見つめた後、目を閉じた。
長い睫毛が、きめ細かな白い肌に影を作る。丹精込めて作られた、人形のようだった。
・・・まったく、<よく出来てる>ぜ、こいつは。
ミスタが、思わず見惚れた時、
「アブソリュート・ブレス。」
ルナの指先がプラチナ色に輝き、傷口がふさがり始めーー、やがて、綺麗に消え去った。
「すごい・・・」
フーゴが呆然と呟く。
「複雑な処置は出来ないけどね。」
ミスタが礼を言うと、ルナは、微笑を浮かべて踵を返した。
「お安い御用、よ。ジョルノに協力してくれて、ありがとう。」
「・・・」
ミスタは、ふん、と笑って、床に飛び降りる。外に出ると、カプリ島の強すぎる陽ざしに思わず目を細めた。
「そろそろ行こうよ、ブチャラティ!100億リラを隠した場所によお!」
待ちきれないというふうにナランチャが言う。ブチャラティは腕時計にちらりと視線を落とした。
「もうちょっと、待ってくれないか。」
「どうしてです?なんでそんなに、時間を気にしてるんですか?」
フーゴが尋ねた、その時、
「ブチャラティ。」
近づいて来たのは、小柄な白髪頭の老人だった。片目に斜視があるのか、黒目があさっての方向に向いている。
ブチャラティが、はっとして言った。
「ペリーコロさん!」